あと少しだ。

 植田は、自分に言い聞かせていた。

 息が上がり、手にも足にも力が入らない。だが、ここで挫けるわけにはいかない。

 決めたのだ、頂上まで行くと。てっぺんまで登って、なにをやっても駄目な人生に区切りをつけ、新しい人生を歩もうと。

 ここで挫けてしまったら、もう俺は一生立ち直れない。

 その思いが、疲れた手足を動かし続けている。

 植田は、このために特訓をした。装備も揃えた。

 ロッククライミングに慣れた者にとっては、ほんの初級程度の岩山だろうが、運動が苦手で、これまで努力をしたことのない植田にとっては、20メートルの崖は、あまりにも高すぎる。 途中で転落すれば、ほぼ間違いなく死ぬ。

 半分ほど登ったところで、植田は下を見た。眼が眩みそうになった。

 そうだ。俺は、いつでも下ばかり見て、上を見ようとしなかった。

 もう、下を見るのはやめようと思った。

 植田は、上を見続けて、じりじりと登っていった。

 徐々にゴールが近づいてくる。

 ついに、植田の手が頂上に掛かった。そのまま、最後の気力を振り絞って、身体を上げていった。

 身体が頂上に上がると、仰向いて空を見た。

 どこまでも青い空を見つめる植田の両目から、とめどもなく涙が溢れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

真実の恋?(現在連載中)

夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。

 

真実の恋?を面白く読んでいただくために

 

 

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プリティドール 

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