「わかりました。やれば、いいんでしょ」 

 松永が語気を荒げた。

 上司に反抗するように、それだけ言うと背中を向けた。

 松永の口は固く結ばれ、目は爛々と燃えている。、 

 上司の命令は無茶なものだった。

 最初松永は、それに異を唱えていたが、頑として譲らぬ上司に臆病者呼ばわりされ、キレてしまったのだ。

 こうなったら、松永は燃える。

 元来、怖い者知らずで向こう見ずなところがある男なのだ。

 その松永が反対するということは、よほど無茶な命令に違いなかったが、引き受けた以上は、どんな困難が待ち受けていようと、必ずやってやると誓っている。

 松永は、死を覚悟している。

 今、最もホットな某国へ飛んで、狂気を宿したその国の統治者に独占インタビューを行うという仕事は、確かに成功すれば、雑誌は跳ぶように売れるだろう。

 しかし、失敗すれば、間違いなく死あるのみだ。

 松永は売れない雑誌の記者で、起死回生のために、編集長が打ち出した企画がそれだった。松永は、某国へ飛んだ。

 が、失敗した。

 某国にクーデターが起こり、松永は空港へ着くなり、日本へ引き返してきた。

 日本の土を踏んだ松永に喜びはなく、ただただ複雑な心境だった。

 

 

 

 

 

 

真実の恋?(現在連載中)

夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。

 

真実の恋?を面白く読んでいただくために

 

 

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