「あの頃はよかったなぁ」

 斉藤が、含みかけていた盃を止めて、虚ろな目で宙を見た。

「どうした? 突然に」

 佐倉が怪訝な顔をする。

「いや、なにね。こうやっておまえと飲んでると、学生の頃を思い出しちまってな。あの頃は俺達、将来のことなんてなにも考えずに、青春を楽しんでたなって」

 そう言って、斉藤が盃を呷った。

「そうだな。あの頃は楽しかったよな」

 佐倉も懐かしそうな顔をして、酒を口に流し込む。

「でもな、いくら懐かしがっていたって、もう戻ってはきやしないぜ」 

 我に返ったように、佐倉の口元が引き締まる。

「わかってるよ。わかっちゃいるさ」

 斉藤が苦笑を浮かべる。

「俺達、どこで道を間違えたんだろうな」

「道を間違えたのは、おまえだけさ」

「そうだな」

 佐倉の言葉に、斉藤は怒りもせず、素直に頷いた。

「俺は、もう行くぜ。約束は忘れるなよ」、

 立ち上がる佐倉に、斉藤がもう一度大きく頷いた。

「ああ、これを飲んだら自首するよ。おまえのところにな」

 

 

 

 

 

 

 

真実の恋?(現在連載中)

夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。

 

真実の恋?を面白く読んでいただくために

 

 

恋と夜景とお芝居と

ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?

 

絆・猫が変えてくれた人生

会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。

無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。

その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。

小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。

 

プリティドール 

奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。

旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。

そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。

ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。

世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。

果たして、勝者は誰か?

奪われた物は誰の手に?

   

短編小説(夢

 

短編小説(ある夏の日)

 

短編小説(因果)

 

中編小説(人生は一度きり)

 

20行ショート小説集

 

20行ショート小説集②

 

僕の好きな1作シリーズ

 

魔法の言葉集