心地よい風が、俊介の頬を撫でていった。

 俊介は、なぜか懐かしい気持ちに捉われて、ふと立ち止まった。

「なんだろう?」 

 声に出して呟いた。

 空を見上げると、抜けるような青空がどこまでも広がっている。

 俊介が、思わず笑みを浮かべる。

 さっきまでのもやもやしていたものが一気に晴れ、頬を撫でていった風と同じように、爽やかな風が心の中に吹いていた。

「生きてると、いいことがあるんだな」 

 またもや、呟く。

 俊介の足に、何かが触れた。

 顔を下げると、足下に小さな黒い仔猫がすり寄っている。

 猫嫌いの俊介だったが、なぜかその仔猫が可愛いと思った。

 しゃがんで、頭を撫でてやる。

 それに応えるように、仔猫がひと声鳴いた。

 俊介が仔猫を抱え上げる。

仔猫は逃げようともせず、大人しく俊介の胸に頭を預けた。

「よしよし、おまえも親に捨てられたのか? やり直そうな、俺と一緒に」

 俊介は仔猫を抱えたまま、悠然とした足取りで歩き出した。

 今しがた抜け出してきた、養護施設へと向かって。

 

 

 

 

 

 

 

 

真実の恋?(現在連載中)

夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。

 

真実の恋?を面白く読んでいただくために

 

 

恋と夜景とお芝居と

ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?

 

絆・猫が変えてくれた人生

会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。

無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。

その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。

小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。

 

プリティドール 

奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。

旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。

そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。

ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。

世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。

果たして、勝者は誰か?

奪われた物は誰の手に?

   

短編小説(夢

 

短編小説(ある夏の日)

 

短編小説(因果)

 

中編小説(人生は一度きり)

 

20行ショート小説集

 

20行ショート小説集②

 

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魔法の言葉集