「この男を、殺しておしまい」

 紗那姫は、小手に縛られて跪かされた小太郎を見て、家来に金切声で命令した。

 小太郎は、悲しみを帯びた目で、紗那姫を見返している。

「ええい、なにをしておるのじゃ。はやく、この男を殺してたも」 

 眦を吊り上げて、紗那姫が声を荒げた。

「し、しかし、姫」

 家来のひとりが、悲痛な声を出した。

「このお方は、姫様の実の弟君であらせられますぞ」

「それが、どうしたというのじゃ。弟とはいえ、我が家に害をなす者。成敗するのが当然であろう」

「害を成すって? 父上を毒殺し、お家を乗っ取ろうとしたのは、姉上であろう。姉上こそ、お家に害を成す者ではありませぬか」

 小太郎の言葉に、紗那姫の顔が引き攣った。 

「なにを言う、小太郎。お主こそ、父上を暗殺した諜報人ではないかえ」

 二人は知らなかったが、二人の父親を暗殺した諜報人は母親だった。

 愛人のいるのが発覚して、殺してしまったのだ。ついでに、その愛人を殿さまに仕立てるべく、実の子供も殺そうとしていた。

姉弟の仲がよくないのをいいことに、紗那姫に嘘を噴き込み、まずは聡明な弟を殺してから、次に扱い易い紗那姫を亡き者にしようと画策していた。

げに恐ろしきは、愛欲に目が眩んだ人の闇である。

 

 

 

 

 

 

 

真実の恋?(現在連載中)

夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。

 

真実の恋?を面白く読んでいただくために

 

 

恋と夜景とお芝居と

ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?

 

絆・猫が変えてくれた人生

会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。

無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。

その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。

小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。

 

プリティドール 

奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。

旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。

そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。

ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。

世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。

果たして、勝者は誰か?

奪われた物は誰の手に?

   

短編小説(夢

 

短編小説(ある夏の日)

 

短編小説(因果)

 

中編小説(人生は一度きり)

 

20行ショート小説集

 

20行ショート小説集②

 

僕の好きな1作シリーズ

 

魔法の言葉集