懐かしい匂いを、風が運んできた。

 それは、私が大好きだったお袋の作った、カレーコロッケの匂いだった。

古きよき昭和の時代が去ってから、かれこれ30年。

 今は、夕暮れ時に町を歩いても、夕飯の匂いなんてどこからもしやしない。

 私は思わず立ち止まり、辺りを見回した。

 見渡す限りマンションが立ち並び、一戸建ての家などほとんどない区域だ。

 共働きが多いのか、ほとんどの窓には明かりが点いていない。

 ふと、気付いた。私は、なんでここにいるのかと。

 定年と同時に妻を失い、失意に暮れた私は、家から一歩も出ない日々を過ごしていたはずだ。それなのに、気付いたら見知らぬ町を歩いている。

 もしかして、認知症?

 そう思ったが、よく考えてみると、認知症にかかった人間が認知症などと思うはずないと、そう思い返した。

 だったら、なぜここに?

 その答えは、直ぐに見つかった。

 ここは、すっかり姿を変えているとはいえ、私が生まれた町だったのだ。

 もの心のつかないうちに引っ越したので忘れていたが、町のシンボルのようにそびえ立つ大きな杉の木を見て、母親に抱かれている昔の写真を思い出したのだ。

 これで、カレーコロッケの匂いも説明がつく。随分と前に亡くなった母親が、私を元気付けてくれようとしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

真実の恋?(現在連載中)

夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。

 

真実の恋?を面白く読んでいただくために

 

 

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