緊迫した空気が、双方の部隊に流れていた。
実力が伯仲していて、どちらも動けない。
先に動いた方が不利になるのは明白だ。
こうなった時、後は精神力の強い方が勝つ。
誰か一人でもこの空気に負けてしまったら、部隊は全滅の憂き目に合う。
じりじりと、時が過ぎてゆく。
共に精鋭揃いなのか、まる一昼夜経っても、どちらの部隊からも、緊張に耐えかねた者はでない。
まだ、戦闘に突入していないというのに、戦士の顔は、みな疲弊していた。
それほど、この一日の緊張感は半端ではなかった。
いくら精鋭とはいえ、もう限度だと思われた。
「かかれぇ~」
その号令は、双方の部隊長から、同時に発せられた。
双方の銃口から、一斉に轟音が轟く。
戦場は、濛々たる硝煙に包まれた。
双方の戦士が、ばたばたと倒れていく。
それでも、轟音は止まない。
激しい戦闘が、一時間ほど続いた後、途端に銃声が止んだ。
硝煙が薄れ、視界が戻った時、生きている戦士の姿はなかった。
誰もが、銃を手にしたまま、絶命していた。
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