金は、人を狂わせる。
昨日まで真面目に生きていたサラリーマンが、宝くじで三億当たった途端に、人が変わったようになる。
俺は、そういう人間を何人も見てきた。
自分は大丈夫と思っていても、いざ大金が転がり込むと、変わるものなのだ。
金による人の変わりようは、大きく分けて二種類ある。
ひとつは、気持ちがビッグになり、分不相応に散財しまくる奴。
後先考えずに見栄だけで、乗りもしないスーパーカーを買ってみたり、不必要な宝石や時計をかいまくる。
そして、いずれは破産する。
もうひとつは、人間不信に陥る奴。
自分に寄ってくる人間は、すべて自分の持っている金目当てだと思い込み、人嫌いになってゆく。
事実、金に群がる輩は多い。
寄付を募ったり、普段は疎遠なくせに、遠い親戚であってもすり寄ってくる。
そんな奴らは、たかるだけたかって、持ち金がなくなると、あっさりとフェードアウトしてしまう。
俺は、つくづく人間の醜さに失望している。
俺は誰かって？
金を持っている奴らを食い物にする詐欺師さ。
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