夢を見ていた。悪夢だ。
この頃、毎晩同じ夢を見る。うなされて、何度も起きる。
夢の中で、俺はどうすることもできない。
寝るのが怖いが、如何せん、俺は寝ないと持たない体質なのだ。
だから、悪夢で目が覚めても、直ぐに眠ってしまう。
そして、続きを見る。
毎晩、毎晩、この繰り返しだ。
ともすれば、気が狂いそうになるが、俺はなんとか耐えていた。
俺がこの夢を見るようになったのは、一年前だ。
結婚して、半年ほどが過ぎた頃からだった。
付き合っている時は優しくて大人しかった妻が、結婚すると途端に豹変した。
束縛は激しいし、少しでも逆らおうものなら、怒声は飛ぶわ、物は飛んでくるわ、あげくに、回し蹴りまで飛んでくる。
俺は知らなかったが、妻は空手三段だった。
俺の悪夢は、妻に責められている夢だ。
だから、俺はなんとか正気を保っていられる。
なぜならば、現実と一緒だからだ。
離婚すれば、この悪夢から逃れられるのはわかっているが、俺はそうしない。
なぜかって？
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