流れ星に三度願いを唱えると、その願いが叶うという。

 北条は、降るように星が見える山の中腹にテントを張って、流れ星を待っていた。

 もう、五日になる。

 北条には、どうしても叶えたい願いがあった。

 たとえ何日かかろうとも、流れ星に願いをするまでは、ここから動かないつもりだ。

 食料は、ひと月分持ってきてある。

 それから、更に十日が過ぎた。

 山の天気は気まぐれだ。夕方までいくら晴れていても、夜には崩れることがよくある。

 この半月で、星が見えたのは半分くらいだ。

 食料はまだあるが、飲み水に苦労した。

 ひと月くらいは缶詰とカンパンで生きていけるので、さほど荷物としては重くならないが、水をひと月分も持ってくるわけにはいかない。

 北条は、テントから五キロある湧水の確保だけで日中を過ごしていた。

 テント暮らしもほぼ一ヶ月。

 北条は辛抱強く待っていた。

 そろそろ食料も尽きかけようかという北条に、とうとう奇跡が訪れた。

 ここ最近で、珍しく満天の星空。

 食い入るように天を仰いでいた北条の目に、流れ星が飛び込んできた。

 それを認めるや、北条は早口で三度唱えた。

「彼女ができますように、彼女ができますように、彼女ができますように」

 

 

 

 

 

 

 

真実の恋?(現在連載中)

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