「つまらない」
周りに転がっている数十の死体には目もくれず、ターニャが顔を歪める。
このところ、相手にするのは雑魚ばかりで、肌がひりひりする感覚が、まったくない。
「日本へ行こうかしら」
ぼそりと、ターニャが呟いた。
日本には、彼女の宿敵、カレンがいる。
カレンとは、何度相まみえたことか。未だに決着はついていない。
劉がカレンに倒されてから、世界の三凶から、世界の二凶に変わってしまった。
裏の世界で、カレンとターニャに匹敵する者は、現れていない。
何人か名を上げるために、ターニャに挑んできたが、ことごとく瞬殺された。
ターニャに言わせれば、身の程知らずもはなはだしい。
歯ごたえのある敵を求めて、自ら危険な任務に飛び込んでゆくのだが、彼女を満足させる敵はいなかった。
今では、ターニャが出張ったという噂が流れただけで、敵はなりを潜める。
無人の荒野どころか、空気の中を行くようなものだ。
夜のミナミを徘徊するカレンの前に、全身に殺気を漂わせて、ターニャが立ちはだかった。
「ターニャやんか」
悟の、間の抜けた声がする。
そうだった。カレンには、悟がいたのだ。
気勢を削がれたターニャは、苦笑を浮かべて「ハイッ」と片手を上げた。
夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。
ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?
会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。
無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。
その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。
小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。
奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。
旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。
そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。
ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。
世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。
果たして、勝者は誰か?
奪われた物は誰の手に?