「つまらない」 

 周りに転がっている数十の死体には目もくれず、ターニャが顔を歪める。

 このところ、相手にするのは雑魚ばかりで、肌がひりひりする感覚が、まったくない。

「日本へ行こうかしら」 

 ぼそりと、ターニャが呟いた。

 日本には、彼女の宿敵、カレンがいる。

 カレンとは、何度相まみえたことか。未だに決着はついていない。

 劉がカレンに倒されてから、世界の三凶から、世界の二凶に変わってしまった。

 裏の世界で、カレンとターニャに匹敵する者は、現れていない。

 何人か名を上げるために、ターニャに挑んできたが、ことごとく瞬殺された。

 ターニャに言わせれば、身の程知らずもはなはだしい。

 歯ごたえのある敵を求めて、自ら危険な任務に飛び込んでゆくのだが、彼女を満足させる敵はいなかった。

 今では、ターニャが出張ったという噂が流れただけで、敵はなりを潜める。

 無人の荒野どころか、空気の中を行くようなものだ。

 夜のミナミを徘徊するカレンの前に、全身に殺気を漂わせて、ターニャが立ちはだかった。

「ターニャやんか」

 悟の、間の抜けた声がする。

 そうだった。カレンには、悟がいたのだ。

 気勢を削がれたターニャは、苦笑を浮かべて「ハイッ」と片手を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

真実の恋?(現在連載中)

夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。

 

真実の恋?を面白く読んでいただくために

 

 

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プリティドール 

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