「気が進まねえな」

 もの憂げな口調で、樋口が言う。

「兄弟ぇ、よく考えてみろよ。悪い話じゃねえだろ」

 樋口の目を真っ直ぐに見据えながら、ドスの利いた声で、青木が言う。

「考えるまでもねえ。この話は断る。いくら兄弟分でもな」

「そうかい。兄弟分の俺が、これだけ頼んでも駄目かい」

 青木の目が、すっと細まった。

「兄弟分なら、こんな話は最初(はな)から持ってくるまいよ。おまえ、もしかして、欲に目が眩んだな」

 剣呑な雰囲気を漂わせる青木とは対照的に、樋口の態度は落ち着いたものだ。

「なに言ってやがる。俺はな、おめえのためを思って、この話を持ってきてやったんだ」

 憤然と立ち上がった青木を、樋口は醒めた目で見ていた。

「もう、おめえとは兄弟分でもなんでもない。これきりで終(し)めぇだ。これからは、俺の好きにやらせてもらうぜ」

 吐き捨てるように言って、青木が出ていった。

「馬鹿が」

 樋口が、机から銃を取出し腰に差すと、青木の後を追った。

 青木は知らないが、彼は幼い頃、両親の離婚で引き裂かれた、樋口の本当の弟なのだ。

 その弟が、金のためにみすみす命を落とすのを、実の兄としては、黙っておくわけにはいかなかった。

 

 

 

 

 

真実の恋?(現在連載中)

夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。

 

真実の恋?を面白く読んでいただくために

 

 

恋と夜景とお芝居と

ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?

 

絆・猫が変えてくれた人生

会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。

無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。

その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。

小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。

 

プリティドール 

奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。

旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。

そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。

ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。

世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。

果たして、勝者は誰か?

奪われた物は誰の手に?

   

短編小説(夢

 

短編小説(ある夏の日)

 

短編小説(因果)

 

中編小説(人生は一度きり)

 

20行ショート小説集

 

僕の好きな1作シリーズ

 

魔法の言葉集