二人の間に、気まずい雰囲気が流れている。
「どうしても、別れるというの」
「ああ」
「一生君を離さないよと言ってくれたのは、あれは嘘だったのね」
「時の流れというのは、残酷なもんさ。その時にはそう思っていたが、今では、君と会うのが苦痛なだけなんだ」
「わかったわ。あなたがそこまで言うなら、もういいわ。別れてあげる」
これほどすんなりと別れられると思っていなかった男はほっとして、伝票をてに取り立ち上がった。
「じゃあな、幸せになれよ」
女は、それにはなにも返さず、自分に背を向け、振り返りもしないで去ってゆく男の姿を、じっと見つめていた。
「私があの時言った言葉は嘘じゃないわよ。時が経っても変わらない」
女が、ぞっとするような笑みを浮かべたあと、物憂げな顔付で立ち上がった。
男は足取りも軽く、解放された気分に浸りながら、夜の町を歩いていた。
暫くすると、男のスマホが振るえた。
見ると、今別れてきたばかりの女からだった。
画面には、女がトラックに飛び込む瞬間が映し出されていた。
男は思い出した。一生離さないと言ったとき、もし約束を破ったら、トラックに身を投げてやるからと言った、女の言葉を。
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