夕暮れの街並み。

 寂しげに背中を丸めて、とぼとぼと歩く初老の男がいた。

 右手には、使い古した黒皮の鞄を下げている。

 男は、定年後嘱託として、長く勤めた会社に残っていた。

 第一線からは外れているので、残業することはない。

 昔はバリバリ仕事していた男にとって、それが寂しかった。

 二年前に妻に先立たれ、家に帰っても一人きりだ。

 男は、酒もギャンブルもやらない。テレビは点けているが、しんとした部屋に居るのがいたたまれないために点けているだけで、あまり目を向けることはない。

 定年退職後は、妻と二人で各地を旅しようと、定年の少し前から話し合っていた。

 それが、定年を待たずして、妻は逝ってしまった。

 一人きりで日がな家に居るなんて耐えられないし、さりとて、なにかしたいことがあるわけでもない。

男は無理を言って、会社に残してもらったが、ある意味邪魔者扱いされている。

 早く、妻の許へ行きたいが、自ら命を絶つ勇気がない。

「おじいちゃーん」

 子供の声に、男は顔を上げた。

 そうだった。今日は、娘が孫を連れて来る日だった。

 まだまだ、俺の人生も捨てたもんじゃない。

 孫の顔を見て、男が相好を崩した。

 

 

 

 

 

 

真実の恋?(現在連載中)

夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。

 

真実の恋?を面白く読んでいただくために

 

 

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プリティドール 

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