早く、ここから脱出して、報せなくては。

 板倉は、うず高く積まれた木箱の陰に隠れて、周りの様子を窺った。

 倉庫全体に妨害電波が張り巡らされ、通信は遮断されている。

 入口付近には、マシンガンを持った男が十人が、油断なく入口に目を注いでいる。

 鬼頭組を甘く見ていた。

 このまま、仲間が踏み込んでくれば、全員ハチの巣にされてしまう。

 ここで麻薬の取引があるとの情報を得て、板倉は三日前から隠れていた。

 情報が確実になった時、仲間に連絡を取る手はずだっただ、まさか電波を遮断されようとは、予測もしなかった。

 近頃のヤクザは、やることが洒落ている。などと、感心している場合ではない。

 板倉から連絡がなければ、中の様子を窺ってくるに違いない。 

 そうなる前に、なんとかここから抜け出して、この状況を仲間に報せなければ。

 だが、出入り口は一箇所しかない。

 こうなったら、入口の男共の注意を逸らして、その隙に脱出するしかない。

 木箱を押したあと素早く移動して、男の一人からマシンガンを奪い、ありったけの弾をばら撒きながら、脱出するのだ。それ以外に、脱出の方法はない。

 覚悟を決めた板倉は、隠れていた木箱を渾身の力で押した。

 多数の木箱が、大きな音を立てて崩れた。

 男共が、一斉にこちを見る。

 男共の目線には、木箱に押し潰された板倉の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

真実の恋?(現在連載中)

夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。

 

真実の恋?を面白く読んでいただくために

 

 

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プリティドール 

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