蝉の声が、辺り一面に鳴り響いている。

 今年も暑い夏だ。

 西本はハンカチで汗を拭きながら、緩い坂道をゆっくりと登ってゆく。

 ここへ来るのは、何年ぶりになるのか。

 妻と別れてから、一度も来たことはない。

 坂道を登り切った先に、かつて妻と暮らしていた家がある。

 夫婦仲は悪くなかったのに、つい間が差して、部下の女性と浮気してしまった。

 いい歳をして、娘のような年齢の女性に、入れあげてしまったのだ。

 西本から別れを切り出したとき、妻はあっさりと頷いてくれた。

 修羅場を覚悟していた西本は拍子抜けしたものの、これで晴れて浮気相手をと一緒になれると安堵もした。

ところが、妻と別れた途端、浮気相手が行方不明になってしまった。

 どれだけ探しても、未だに行方はわかっていない。

 今日、西本がここへ来たのは、かつての妻が末期の癌で余命いくばくもなく、最後に会いたいと、たっての頼みを受けたからだ。

「あなたの浮気相手は、わたしが殺して埋めたわ」

 妻の告白を聞いて、西本は衝撃を受けた。

「なんで、わたしがあっさり離婚に応じたと思う? あなたに、とことん孤独な苦しみを味あわせるためよ」

 元妻が、ぞっとするような笑みを顔に張りつかたまま崩折れ、息を引き取った。

 

 

 

 

 

真実の恋?(現在連載中)

夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。

 

真実の恋?を面白く読んでいただくために

 

 

恋と夜景とお芝居と

ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?

 

絆・猫が変えてくれた人生

会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。

無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。

その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。

小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。

 

プリティドール 

奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。

旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。

そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。

ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。

世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。

果たして、勝者は誰か?

奪われた物は誰の手に?

   

短編小説(夢

 

短編小説(ある夏の日)

 

短編小説(因果)

 

中編小説(人生は一度きり)

 

20行ショート小説集

 

僕の好きな1作シリーズ

 

魔法の言葉集