美容外科が一般的になるにつれ、患者さんの知識も数年前とは比べ物にならないくらい増えております。
特に人気のオペの埋没法ですが、患者様の要望のレベルが昨今上がりすぎているためか
なかなか厳しい指摘をされてしまうこともあります。
それでも、その中でこれは流石に許してほしいなーというものがいくつかあります。
そんな美容外科医の胸の内、考えていることを教えちゃいます の第2弾です。
今回は「直後の仕上がり」です
SNSでの集客の負の面なのですが、インスタグラムでもxでも、上がっている症例はほぼチャンピオン症例になります。
チャンピオン症例というのは同じ施術でのモニター写真の中で、一番映える写真のことです
つまり美容外科医のモニター写真にはストックがたくさんあって、なるべく変化が大きいもの、もともと美人だけどさらに美人になったものなど、SNSでのインプレッションの高いものを厳選してネットにあげる先生が多いのです。
埋没法だと、直後の写真をインターネットで調べると出てくるのは、「腫れていない」
「もう完成」のようなチャンピオン症例ばかりです。
もちろんそんな症例も20例に1.2例くらいはあるんです。しかし、一般的な経過とは違うのだということをぜひ理解してほいのです。SNSの症例が普通だと思うとほとんどの埋没手術は失敗と見做されてしまいます。
さて、腫れに関しては直後が腫れていないというのはよくあることですが、局所麻酔をするときに運悪く小さい血管に当たると内出血が強く出て、もちろん腫れてしまいます。これは防げない現象なのです。
それに、手術の次の日が一番腫れるというのも知っておいて欲しいものです。 たまたま腫れなくて、たまたま完成に近いラインが術直後に出たものがSNSに載せられるというだけなのです
腫れが引かないからという理由で1週間くらいで検診にいらっしゃる患者様もたまにいますが、埋没法といえど1週間は腫れるのです。しかし、1週間も腫れる様であれば、SNSで直後から腫れないという情報が広まってしまったせいで失敗だと思われてしまう不安を与えることになります。
また、SNSの映えをよくするために埋没の糸を緩く結んでしまう先生もいます。
これには2つの効果があります。
通常埋没の糸はしっかり糸を皮膚の中に埋めるためにある程度キツく結ぶ必要がありますが、強く結ぶほど腫れは大きくなりますし、糸の埋没される部分は食い込みが強くなるので術後は台形のラインになりやすいです。
これを緩く結ぶことで腫れを少なく、術直後から綺麗なラインになるのです。しかし、必ずしもこれがいいことではなく、
ゆるく結べば埋没糸は浅い、皮膚に近い位置に埋まるので糸が透けて見えやすくなったり、二重も長続きせず取れやすくなってしまいます。
まとめです。SNSに出てくる直後から腫れず、ラインも完成形であるのはチャンピオン写真ばかりSNSに投稿されてしまっていることから広まった大きな誤解です。
通常の経過では埋没法といえども、1週間は腫れるし、ラインにもカクツキがあるし、内出血が出た場合には治るのに2週間はかかるのです。