U-17W杯韓国2007 #6 - 日本代表総括 -
今回選ばれたメンバー以外に、高い選手、速い選手は他にもいたに違いない。しかし城福監督は、「人とボールが動くサッカー」というぶれないコンセプトをもとに、21名のメンバーをチョイスした。そして、身長、体格に捉われない選考は、新しい日本サッカーの方向性をプレゼンする良い機会になるはずだった。
しかし・・・・。
不運だったのは、対戦相手がいずれも身体能力の高いアフリカ系主体のチームだったこと。特に、優勝候補ナイジェリアとフランス(先発の7人がアフリカ系!)の2戦は4倍近いシュートを放たれる劣勢の展開に。決勝トーナメント進出の常連ともいえるU-20とは違って、U-17では結果を残せていない、相手は優勝候補、そういう現実を踏まえても、消化不良のプレゼンになってしまった。「人とボールが動くサッカー」というコンセプトを揺らぎないものにすることが出来なかった、という意味で。
選手個々を評価するなら、柿谷、岡本、鈴木、水沼、端戸、河野、廣永の7人が良かったかな、と(フランス戦の廣永は良くなかったが)。特にアタッキングエリアで仕掛けることの出来る柿谷、水沼、端戸、河野の攻撃陣には順調に成長して欲しい。
といっても2ヶ月後の10月31日~11月11日の日程で、早くもU-19アジア選手権2008予選 が始まる。89年組みと融合する選手が今回のU-17メンバーから何人入ってきて、生き残れるのか?金崎夢生、香川真司、山本康裕たちとのポジション争いは今から楽しみだ。
U-17W杯韓国2007 #5
U-17 World Cup Korea 2007
グループD 第3戦
8月25(水)19:00 K.O @Goyang
【得点】
1-0 45分・柿谷曜一朗
1-1 68分・Said MEHAMHA
1-2 70分・Emmanuel RIVIERE
【シュート数】
JPN 5 FRA 20
- U-17日本代表 -
GK : 廣永
DF : 高橋、金井、鈴木、吉田
MF : 水沼〔75分・斉藤〕、岡本、山田、端戸
FW : 大塚〔62分・河野〕、柿谷〔82分・田中〕
- Review -
柿谷がスタメンに入っていることを知り期待感が高まった人も多かったのではないだろうか?ナイジェリア戦と同じく4倍近いシュートを浴びる劣勢の展開だったにもかかわらず、ゴールの予感は漂い続けた。
その予感が的中したのは前半終了間際。鈴木のクリアボールをセンターサークル内で受けた柿谷が大きなフェイントを入れ即ターン、GKの位置を確認した直後にGKの頭上を越す超ロングシュートを決めて見せた。おそらく、GKが前に出過ぎているということはずっと感じていて、ボールをもらう前にシュートまでのイメージは出来上がっていたに違いない。ボールを受ける前のフェイント、躊躇なくシュートを打ちに行った判断、そしてシュートの精度と、いずれもワールドクラスだった。この一連の流れを見ただけで彼が特別の才能を持った選手だということがわかる。
試合は後半、フランスが順当に逆転することになるが、日本にとっては決勝トーナメント進出の可能性を残したスコア(可能性は極めて低いが)で試合を終えることができたのが救い、とポジティブに考えたい。ダイレクトやワンタッチパスで小気味良くボールが動くサッカーの片鱗を見ることができたし、自分から仕掛けることのできる選手が複数いたのも今後に期待感を抱かせる。
もちろん不満、懸念はいっぱいあるわけだが、総括はグループリーグ敗退が決定したあとに改めて。
U-17W杯韓国2007 #4
U-17 World Cup Korea 2007
グループD 第3戦
8月25(水)19:00 K.O @Goyang
- Preview -
第2戦でハイチがフランスと引き分ける波乱を起こしてくれたため、日本は勝つか引き分ければ決勝トーナメント進出が決定する有利な状況で最終戦を迎えることになった。相手は6年前に1-5で惨敗したフランス。しかし、この年代のフランスが世界大会に進出するのは1987年、2001年に次いで3回目であり、決してナイジェリアのような優勝候補の常連ではない。今回のチームも欧州予選4位、1-2ナイジェリア、1-1ハイチと、決して手も足も出ない状況にはならないだろう。
ポイントはひとつ。引き分け狙いのサッカーをしないこと。あくまでも勝ちにいくサッカーに徹することだ。「人とボールが動くサッカー」を標榜する城福ジャパンのサッカーは、ボールを持っている選手を他の選手がどんどん追い越していく攻撃的なサッカーであり、撃ち合いを好む。これまで積み重ねて醸成してきたサッカーとは違ったスタイルで戦うと選手たちが迷う可能性があるから。日本は歴史的に見ても守りに入ると弱いから。
柿谷を先発で。
これほどわかりやすいメッセージはないだろう。引き分け狙いではなく、勝ちに行くんだ、というメッセージ。城福監督が選手たちにどういう戦い方を望むのか?そのメッセージは先発メンバーを見ればわかるような気がする。
U-17W杯韓国2007 #3
U-17 World Cup Korea 2007
グループD 第2戦
8月22(水)20:00 K.O @Gwangyang
【得点】
0-1 21分・Ganiyu OSENI
0-2 31分・Macauley CHRISANTUS
0-3 82分・Macauley CHRISANTUS
【シュート数】
JPN 6 NGA 23
- U-17日本代表 -
GK : 廣永
DF : 高橋、金井、甲斐、吉田
MF : 水沼〔75分・河野〕、岡本、山田、米本〔55分・柿谷〕
FW : 斉藤〔65分・大塚〕、端戸
- Review -
やはり個々の能力の違いは歴然としていた。日本にとってはノーチャンスの試合だったわけだが、同年代の最強チームのひとつと戦えたことを収穫と考えたいところだ。2年後のU-20W杯で、また同じ世界の舞台でナイジェリアと戦い、ヒデと同じ感覚に襲われればいい。そして、ヒデさえも成し遂げられなかったナイジェリアへの雪辱を果たすことができれば、その先には大きな可能性が拡がっているはずだ。そのための努力を(代表も候補も、代表を目指す無名も)続けること。
東アジアとアフリカでは身体の成長過程に差があるんだから。「Preview」でも触れたが、今回の完敗でこの世代の評価が落ちることはない。むしろ、35分~前半終了の時間帯で日本の時間を作ることができたことを評価したい。
今日の完敗は引きずらないですね。おそらく。2ヶ月前のプレ大会での惨敗が生きている。今日フランスがハイチと引き分けたため、ナイジェリアの1位通過がほぼ決定。日本、フランス、ハイチはそれぞれ2位から4位になる可能性を残したまま最終戦を迎えることに。
U-17W杯韓国2007 #2
U-17 World Cup Korea 2007
グループD 第2戦
8月22(水)22:00 K.O @Gwangyang
- Preview -
U-17と五輪(U-23)で2度ナイジェリアと真剣勝負をしている中田英寿は、2度ともナイジェリアに愕然としている。U-17ではナイジェリア選手の純粋な身体的能力の高さに愕然とし、五輪ではそのナイジェリアがほとんど成長していないことに愕然としている。でも、ナイジェリアは成長していなかった・・・というヒデの言葉を額面通りに受け取ることはできない。なぜなら93年U-17ワールドユースだけではなく、ナイジェリアは96年五輪でも優勝しているのだから。
つまり、ナイジェリアが成長していなかった、のではなく、ナイジェリアが成長した以上に日本の(もしくはヒデの)フィジカルが成長し、両国の実力が拮抗してきたということだと思うのだ。17歳ではどうしようもなかった‘差’が、3年後には充分に戦えるくらいの‘差’に縮まっていた、と。
今回のU-17代表も、ちょうど2ヶ月前の6月21日にプレ大会でナイジェリアと対戦し、0-5で完敗している。柿谷や大塚がいなかったから、失点した時間帯が悪かったから、と苦しいエクスキューズに逃げることも出来るが、やはりこの年代(U-17)での東アジアとアフリカの身体的能力差は簡単に埋めることはできないのだろう。
17歳では歯が立たなくても、3年後には充分に戦えるはず。そう考えると、もし、明日の試合で日本が大敗したとしても、この世代の評価が落ちることはないと思うのだ。明日チェックしたいのは、日本の‘反発力’。失点を重ねたとしても意気消沈しない、戦う意欲や折れない心を見ておきたい。撃沈も覚悟の上で。