小児医療では、
風邪といえばすぐに薬を処方されてそれで終わり、という診療が多かったりします。
皮膚に湿疹があればすぐに塗り薬、というのもザラです。
はたして、子どもたちに対してそんなにすぐに薬は必要なのでしょうか?
病気を患った子どもに必要なものは、薬のような化学物質ではなく、
まずは「何もしない」ということです。
その代わりといってはなんですが、日常生活の中で自然の栄養素が必要であり、親の十分な愛情が必要なのです。
今の小児医療では、
熱=解熱剤
咳=咳止め
痰、緑色の鼻水=抗生物質
湿疹=ステロイドの塗り薬
などなど、何かの症状に対して医師の説明も少ない状態で、すぐに「薬出しとくね~」と医師が処方する医療が主流になっていませんか?
(※ちなみに、「薬出しとく」と、「薬が必要」は、まったく意味が違います!)
数十年前までは、青っ鼻(緑色の鼻水)が出ていても、服で拭くだけで何もしない時代でした。
それが今では、「青っ鼻が出ています!抗生剤を処方してください!」などという訴えもよく聞きます・・・
しかしながら、このような親御さんの訴えに対して、薬という化学物質を加えるだけの医療は、本当の医療ではないと思うのです。
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薬には「今が使い時!」というタイミングがあります。
実際、私が表参道首藤クリニックで小児に薬を処方するのは、年に数回程度です。
受診した子どもの中で、今、本当に薬が必要な小児は、20人~30人に1人程度でしょう。
私の経験では、夜間の救急外来でさえ、今すぐ薬が本当に必要な小児は5人~10人に1名程度のものだと推察します。
当院では、どういう時はすぐに受診すべきで、どういう時は家で様子をみてもよい、
普段はどういうものを食べさせ、どういうことに気を付ければ健康な子どもが育つか、
などといった指導をするものですから、それが理解できれば親御さんが受診する頻度は徐々に減っていきますし、それが理想です。
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必要のない風邪薬をやめた小児がどうなるかというと、
半年もすれば身体が成長し、風邪をひきにくい、もしくは風邪をひいても治りが早い、つよい子どもになります。
もちろん、本当の意味の「薬」である毎日の食事や、生活環境を整えて、親御さんがしっかりしている必要はありますが。
余計な薬をやめるという「引き算の小児医療」が、これから先は必要だと思います。
薬の「使い時」とはいつなのか?
どのようなことに気を付ければ健康で病気になりにくい子どもに育つのか?
・・・ そういったことをちゃんと保護者の方に説明し、指導するのが小児科医の本当の役割だと思います。
より好ましい生活習慣や、正しい食生活の習慣を子どもに身に着けていただき、
病気につよい子どもを育てていただくことが、
将来その子が大人になってもがんや難病、生活習慣病にならないことにつながるという、
この「引き算の小児医療」こそが、最高の予防医学、予防医療なのです。
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本当の薬とは、普段処方される化学物質ではなく、毎日の食事なのです。
細胞が欲しいのは、化学物質ではなく、天然の栄養素です。
毎日の食事で天然の良質な栄養素を与え続けるということが、本当の薬といえるでしょう。
「薬を飲めば健康になる」と勘違いしませんように。
不要な化学物質を与えない「引き算の小児医療」にもっと目を向けるべきです。