と言うわけで休日出勤後、腹ごしらえして、頭空っぽで楽しめそうなこれを観てきた。
ターミネーター:ニュー・フェイト(2019)
TERMINATOR: DARK FATE
監督 : ティム・ミラー 製作・製作総指揮・原案 : ジェームズ・キャメロン 原案・脚本 : デヴィッド・ゴイヤー、ジャスティン・ローズ 原案 : チャールズ・イグリー、ジョシュ・フリードマ 脚本 : ビリー・レイ 製作 : デヴィッド・エリソン 撮影 : ケン・セング 編集 : ジュリアン・クラーク 音楽 : ジャンキーXL、トム・ホルケンボルフ
出演 : リンダ・ハミルトン、アーノルド・シュワルツェネッガー、マッケンジー・デイヴィス、ナタリア・レイエス、ガブリエル・ルナ、ディエゴ・ボネータ
「ターミネーター」は1作目と2作目をその昔劇場で観て大いに満足した。ただその後「3」はTVで少し観たくらいで「4」と15年の「再起動:ジェネシス」に至っては存在さえ忘れていたくらいだ(笑)。
よってキャメロンが「3以降は無かったことにする!」と言ったかどうかはわからないが「2」の正統続編という謳い文句のこれ、それなりに期待して久々に劇場ターミネーターを拝むべく臨んだのであった!
で、うーん、困った(笑) 。
約30年ぶりのリブートでは無い「続編」として、懐かしさも含めて嫌いじゃ無いし、全編アクションのつるべうちも、特に前半のメキシコシークエンスは怒涛の展開で大変好みなんだけど、冒頭から「あれれ?」がちょっと多いんだよなあ。
(以下ネタバレ多し。ご勘弁を!)
「2」でサラたちが回避できたと思ったスカイネットが支配する未来は、やっぱり機械(今回はAIの「リージョン」)が人類を敵とみなして戦争を仕掛けてくるという、別の未来が待っていただけだという設定は、まあ、良しとしよう。
ただ、せっかく守り抜いたジョンが新たなT-800の襲撃にあうという冒頭がね…。
「2」で自分を無償で守る存在であり、相棒かつ父親代わりにもなった「心」を通わせたT-800と涙ながらに別れたのだから、いきなりの「再会」に、サラはともかく、ジョンは一瞬でも嬉しそうな顔をしても良いはずなんだよね。それもないままってのがまず「うん?「2」の続編だよね?」と疑問符がついてしまったのだ。(ちなみにあのジョンのエドワード・ファーロングも若い顔のシュワもCGなんすかね?)
予告編で観て「ああ、また「3」みたいな女型のターミネーターが来るんだな」と勘違いしていた、未来からの女戦士グレースは、無茶苦茶美人でなくとも俺好みの微乳で(笑)、凛々しくて好みだし、新たな敵ターミネーターREV-4も憎々しくもずる賢くて悪くない。T-1000の不気味さには負けるけど。
ただ、ひたすらこいつから1作目のサラ、2作目のジョンの立場になるダニー(思えば彼女も酷い目にあっているよなあ)を守る、という作劇は、結局1と2と一緒じゃん、と途中で気付いてしまうのだ(笑)。
話はそれるけどタイムワープ物って大体「未来からやって来る」のは男なんだよね。「時をかける少女」から「君の名は。」、そして俺が大好きな「ある日どこかで」などのラブストーリーもそうだし、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」もまたしかり。
「君を守るために未来からやって来た」なんて言われたら、そりゃ惚れるわ!」と1作目を一緒に観た当時の彼女(現かみさん)が言っていたのもうなづけたのだった(笑)。
と、1作目は未来から来たカイルとサラのラブストーリーも絡むのだが、今回は女同士だからそうはならない(笑)。2作目のジョンを守る前作とは違うターミネーターというこちらの予想の上を行く設定もない。
実は未来のリーダーを生む「サラ」ではなく「リーダーそのものになる「ジョン」の立場であるダニー。彼女を守るために未来から来た女戦士グレースは、前述の通り俺好み&機械強化しても時間が経てばヘロヘロになるって描写もいいし、そのヘロヘログレースを救おうとするダニーとの信頼関係が増す描写も好みだ。
ただいくら強化していても「人間」のグレースの「自己犠牲の仕方」がちょっとねえ。彼女というより「ダニーの選択」なんだが、ここ、大いに不満なのだ。
未来から「そうなること」を知ってダニーが過去に送ったかと思うと、ちょっと複雑な気分になってしまうのだ。
この2人の枠組みに、世間的には基地外のお尋ね者、ある意味本作の主人公サラ・コナーズが絡むのだけど、老けても尚リンダ・ハミルトンは無茶苦茶カッコいい。これは認める。
だけどかつての「タフな母親」から「危ないおばちゃん」に見えてしまうのが、これまたなんとも…(笑)。
最初のREV-4の襲撃で危機一髪のグレースとダニーを助けるシーン。REV-4に「トドメを刺せなかった」ならまだしも、トドメを刺す前に「あの2人、車盗みやがって!」と回れ右しちゃう(笑)という「あれれ?」に始まり、ダニーが狙われていると分かると「かつての私」=「ターミネーターから狙われる普通の女性」の先輩風吹かしているように見えるのもちょっと引いてしまうのだ(笑)。
まあ、目の前で息子殺されてやさぐれ続けターミネーター狩りしていたのも理解するが、「私が人類の未来を救った」自負が強すぎるのもちょっとね(笑)。
結局別の未来になっただけなんで、徒労感が半端ないのもわかるんだけど、そうなったことが分かると余計に「ただの危険なオバさん」に見えてしまうのが難点なのだ。
で、サラ共々再登場のシュワルツネッガーだ。
予告編で観た時から老けていたから、よもや「ターミネーター」としての登板じゃ無いと勝手に思っていたのだが、なんと冒頭ジョンを殺したT-800と同一の個体だとは!サラと同じく驚いたなあ(笑)
もちろん「目的」を果たし、さらに未来が変わって「新たな指令」が来ないまま人間社会に溶け込んだってのはまあいいよ。「人の気持ちを理解」する学習能力もあることはわかる。ただ「家族」を得て、正体隠して同居生活するのは少し無理がないかねえ。
「ジョン抹殺」以外は誰かが教えなければ、人間世界では無茶するT-800が、困っている女性とその息子に「自ら寄り添う」というのができたってことに違和感を拭えなかったのだ。
何より「ロボットだよね?老けるのか?」ってのが、シュワ登場から最後まで拭えなくて(笑)。
「生体組織被っているけど、これは人間同様経年劣化する」ってのを本作で全く言及してくれないから(俺が見落としただけ?)記憶する限り、1でも2でも台詞や描写でそんな設定を言ってないと思うので、「ロボットなのに老けた」が、事あるごとに呪文のように立ち上がってしまって楽しめないのなんの(笑)。
とまあ、書き出したらツッコミだらけになっちゃったな(笑)。
とにかく車工場の激闘から大型トラックで追いこみかけてくるカーチェイス(あ、ここも「2」みたいか)、など、エンドタイトルでも流れていた哀愁あるギターの調べも含め、メキシコシークエンスはほんと好みで良かった。
舞台がアメリカに移ってからも、夜の不法移民収容所から空軍基地、そしてラストのダムと、それぞれアクションもたっぷりで飽きない。
ただ、どこもスケール感があまりない「箱庭」ぽくて(笑)。やはり「街中」で周りの迷惑顧みずに追いつ追われつ、壊しまくりの大アクションが観たかったなあ、という不満もやはり残るのであった。
それにしても「女戦士」ばっかりってのは時代だよなあ。
ほんとアクションものは男女機会均等法以上に女性上位になってる気がしますな。
サブタイトルの「ニューフェイト」、原題通り「ダークフェイト」で良かったんじゃない?と、タイトルまでケチつけてますが(笑)、観ている間は休日出勤のモヤモヤは景気良いアクションで払拭されたけど、別のモヤモヤが後からどんどん湧いてくる一本でした(笑)。
キャメロン、本当にこれやりたかったのかな?
1作目の、低予算でも痺れるストーリー、2作目の1作目の裏をかいた設定と、それを活かしたドラマの面白さ、アクションのスケールアップ、見たこともない「液体金属」の敵!と比べると、おおおお!と燃えるシーンが無いのが痛いところ。
ダダンダダンダダッダンのテーマもこれが最後になるのかな?