昨日は東京でのイベントは大盛況。持分の立ち仕事は早めに切り上げたかったけど、なんやかやで最後まで。
色んなブースに知り合いも多くて、5年半のこちらの仕事の広がりを実感。充実感を感じながらイベントだったなあ。
新幹線ではうつらうつらしたけど乗り過ごすことなく帰宅。心地よい疲れで昨夜はいつもの夜更かしすることなくぐっすりでありました。
明けて今朝。起床後まずクリーニング出してネットを見たら、な、なんと「映画秘宝」休刊のニュースがあ(涙)。
俺のボンクラ映画鑑賞を、四半世紀に渡って支えてくれた「映画秘宝」。
日の当たらないB級映画に光を当て、世間的にはA級とされる映画もその裏の裏まで掘り下げてくれた素晴らしい雑誌だったのに。
テーマごとにさらに掘り下げたムック類や「特撮秘宝」他の不定期刊行のムックもすべてなくなってしまうなんて「悲報」以外のなんでもないぞ。
当時の宝島社を飛び出した町山大将が立ち上げた映画秘宝。現在の発行社である洋泉社が親会社の宝島社に吸収されるにあたり、宝島社が秘宝の継続発行の意思がないことを受けての休刊だそうで。
80年代サブカルの旗手であった当時のB5判型の「宝島」を発行していたとは思えない措置だ。
秘宝はかなり売れていたはずだし、何より商売抜きに古今東西関係なく様々な映画の側面にも踏み入った各種の記事が読めなくなるのは本当に悲しい。
シネコンですました顔で上映される映画ばかりが映画じゃないぞと、発刊当時から胸をすく思いで愛読していただけにやり切れない思いでいっぱいだわな。
そんな気分のまま、今日はシネコンも賑わす話題作、40年の結着の映画を鑑賞。これはまた別の話で。
ああ、しかしほんと残念だなあ…。
しかしその想いと裏腹に、かつて学徒出陣が行われた、あの雨の日。
土砂降りの中「万歳」と共に送り出した若者たち。その多くが帰らぬ人となった苦い記憶。
その同じ場所で、やっと本当のオリンピックの開会式が行われる。
たくさんの外国選手を迎えて人々が願った平和の祭典が今始まろうとしている。
晴れ渡った空を嬉しそうに見上げながら「あの時は雨でしたからね」の一言。
そこに込められた共通の想い。
文字通り万感の思いの元、強制されることなく起こる歓喜の「バンザイ!」
もう泣けて泣けてしょうがなかった。
金栗四三が大きく頷くだけで嬉しくなる。
嘉納治五郎が笑顔で振り向いてくれた。
俺のオリンピックが皆んなのオリンピックになった!と田畑政治が、岩田幸彰がねぎらい合う。
その一人一人の気持ちの高揚にシンクロしてまた泣けてくる(笑)。
ぴったりの大友良英の音楽がまた良いのだ。
シーズンごとにマイナーチェンジをしていたタイトルバック映像も素晴らしかったなあ。
毎回、映画や有名曲と同じのサブタイトルも秀逸だったし。
古今亭志ん生の「富久」を縦軸に、オリンピック関係者以外のドラマも絡めた、クドカンの脚本の面白さは勿論だが、キャストが本当に適材適所だった。皆にドラマがあり、見せ場があった。(ピエール瀧はつくづく残念だったが)
戦国や幕末ものとはまた違う「群像劇」として、じっくり楽しませてもらった、終わってみれば素晴らしい大河ドラマだった。
さて来年だ。
劇中何度も言われていた「世界に見せたい日本」を今回もしっかり見せることができるかな?
恐らく今回だって田畑のまーちゃんみたいな熱い想いを持っている人がいるだろう。
そんな人々の想いが溢れる素晴らしい大会になるといいなあ。
端っこの方で仕事に関わることもある中、しっかり見てみたいと思うのであった。
さて、今日日曜は親父の快気祝いの挨拶まわりで少しも自分の時間がなかったが、明日は久々の月曜休みでの戻りだ。色々こなす用事も済ませて寒い郡山に戻るとします。
いやあ、土曜は床屋に映画、買い物とシャキシャキ動いていたのに昨日はどんより曇りで寒かったこともあり、家に引きこもっていたなあ。
殆どYouTubeを観ていたのだけどたまにはこんなオタクな1日も悪くはないな。
白状すればYouTubeではBiSHばっかり見ていたのだが(笑)、いやいやこれはいかん、溜まっているDVDも少しは観ようと取り出したのがこれ。
夕陽の用心棒(1965年)
UNA PISTOLA PER RINGO
A PISTOL FOR RINGO/A GUN FOR RINGO [米]
監督・脚本 : ドゥッチオ・テッサリ 製作 : ルチアーノ・エルコリ、アルベルト・パリエーゼ 脚本 : アルフォンソ・バルカザール 撮影 : フランシスコ・マリン 音楽 : エンニオ・モリコーネ
出演 : モンゴメリー・ウッド(ジュリアーノ・ジェンマ)、フェルナンド・サンチョ、ジョージ・マーティン、ハリー・ハモンド、アントニオ・カザス、ニエヴェス・ナヴァロ、ホセ・マヌエル・マルタン、マヌエル・ムニス
久々にジェンマ主演のマカロニウエスタンを鑑賞。もっともまだジェンマが「モンゴメリー・ウッド」なるアメリカ人風変名で出演したした3本のうちの1本だ。
本国では大ヒットし、ジェンマがその後マカロニウエスタンの貴公子として、出来はともかく(笑)多くの作品に出まくることになったマカロニデビュー作なのに、何故か日本では劇場公開されず、ご覧の通りのB級臭がプンプンするあんまりな題名でテレビ放映されたっきりの一品なのだ。
これはジェンマの「リンゴ」シリーズの第1作、原題は「リンゴのためのピストル」なんだが、この「リンゴ」って名前が「ジャンゴ 」ほどインパクトがなく、特に日本ではどうしても果物のリンゴと被ってかっこ良くないせいか、正当な続編も以前記事を書いたが「続荒野の1ドル銀貨」と、全然内容も主人公も違う別の作品の続編タイトルで公開された可哀想なシリーズだったりもする。
さてこの作品、セルジオ・レオーネ監督、クリント・イーストウッド主演の「荒野の用心棒」と「夕陽のガンマン」をパクった、カッコいいけど安易なタイトルに一瞬色めき立ったものの、流石に中学生でもわかるそのバッタもん感&ジェンマ主演ということで当時の俺も真剣に観ていなかったから、全く内容を覚えていなかったのだった(笑)。
ストーリーはシンプル。「エンジェルフェイス」の異名を持つ凄腕のガンマン、リンゴが、正当防衛ながら捕まって牢屋にいると、メキシコの盗賊サンチョ(あのフェルナンド・サンチョがそのままの役名だ!)一味が町の銀行を襲う。
金を強奪したもののサンチョが怪我をしたこともあり、町の保安官らの追撃もあり無理して国境を越えることを諦め、農場に乗り込みここを占拠。人質をとって立て篭る。
一味を殲滅せんとする大佐は軍の出動要請をするが、この農場は保安官のフィアンセ、ルビーとその父親が住んでいる。軍がくれば人質の無事が保証できないことを案じた保安官は、リンゴを釈放、報酬と引き換えにサンチョの元に送り込み、ルビーら人質の奪還を要請するのだが…。
と、書き出したらなんか凄え面白そうに見えるじゃないか(笑)。まあ、確かに悪くはない。しかし設定の割にどちらかというとコメディ寄りとも言えるちょっと気の抜けたところのある一本なのだ(笑)。
監督のドゥッチョ・テッサリは「荒野の用心棒」の脚本も書いた人で、後にアラン・ドロンの「ビッグガン」なんて傑作も撮っているのだが、基本的に陽性の作風が合うジェンマとの相性がいいのか、コンビ作が非常に多い。このマカロニ聖書ボックスを買った一番の理由である「荒野の大活劇」もこのコンビの作品だしね。
ジェンマはマカロニウエスタン初出演とは思えない、飄々とした主人公を楽しそうに演じている。
仕事を依頼してきた保安官に金をサンチョから取り返した時の報酬を要求しながら、そのサンチョに保安官との取引の裏側をバラしながら、俺が逃してやるから分け前を3割をよこせとさらに吹っかけるなどなかなかの悪どさ(笑)。
その実やはり保安官に協力していることがバレてリンチにあっても尚、4割出すならもっと別の情報を教えてやるとサンチョにうそぶくなど、爽やかな顔に似合わないしたたかさも楽しいところなのだ(笑)。
左のフェルナンド・サンチョが例の如くもう漫画みたいな悪役。これまた以前書いた「南から来た用心棒」のゴルドと、ほぼ同じだ(笑)。
銀行強盗に居合わせた人々に「動くなよ」と言い残して外に出て、ホールドアップしていた連中がホッと動き出すといきなり戻ってきて「動くなと言っただろ!」とあっさり撃つわ、農場の人質の使用人をあまりに簡単に殺すなど、安定の悪辣ぶり(笑)。
部下もなかなか個性揃いなのもいい。まあ、みんなリンゴに簡単にあしらわれるんだけど(笑)。
人の命の安さも含め、こうしたところが本当にマカロニウエスタンらしくていいやね(笑)。
おまけにリンゴは何かという「俺の理念に反する」とか言って相手の言うことを殆ど聞かないのだが(笑)、ジェンマが爽やかな顔でニカって笑って言うと、今ひとつ頭の良くないサンチョ他が必ず言い含められてしまうのも笑えるところだ。
とは言え、全体としては今ひとつピリっと締まりのないのも確か。
保安官の恋人ルビーの親である農場主が、サンチョの女ドロレスを利用しようと、レディとして扱っているうちに本当に惚れてしまうとか、舞台がクリスマス前後なのはいいとして、前述のように簡単に使用人が殺されている状況なのに、クリスマスツリーの飾り付けをするルビー他の神経も良く分からず、この辺りになると笑わせたいのかなんだが判然としないのも事実なのだ(笑)。
銃捌きや身の軽さから凄腕なのをさりげなく見せながら、ハンサムだけど食わせ者のリンゴは、ジェンマの持つ陽性の魅力もあって魅力的ではある。
この「リンゴ」は人気となり、「ジャンゴ 」や「サルタナ」同様に、題名にその名前を冠する作品も多数作られたりするのだが、思えば前述のジェンマ主演リンゴの正統続編「続荒野の1ドル銀貨」は、出ている俳優、女優がかなり被っているけど全然違う設定になっていて、リンゴも同じ人間とは思えないほど暗かったなあ(笑)。話はまあ面白かったけど。
因みに音楽はエンニオ・モリコーネながら俺好みの哀愁のメロディではない。アメリカ西部劇調の明るいメロディで、これもエンジェルフェイスのジェンマには似合っているのは確かだ。
2013年10月7日、そのジュリアーノ・ジェンマも鬼籍に入られた。
その葬送曲として選ばれたのは、このジェンマのマカロニウエスタンデビュー作「夕陽の用心棒」のマウリツィオ・グラフが歌ったテーマだったそうだ…。なんか良い話だなあ😭
では予告編とそのテーマ曲をどぞ!