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R.I.P Mr. Micheal Cascuna

マイケル.カスクーナが亡くなったことを今日SNSで知りました。1990年代の終わりくらいに一度お会いして短い会話をした記憶があります。温厚な紳士でした。マイケルは1970〜80年代前半といういわゆるジャズが不遇であった時代にありながら自分の信頼するミュージシャンのプロデューサーを務め、それが70年代後半のいわゆるハードバップ.リバイバルから80年代中期のブルーノートレコードの復活につながっていきました。個人的には若い頃ウディ.ショウに心酔していたので、彼のアルバムのプロデューサーとしていつも名前は見ていましたし、彼のプロデュースしたアルバムは手元にたくさんあります。。Woody Shaw, Bobby Hutcherson, Cedar Walton, Dexter Gordonなど、60年代後半(デックスは除くとして)のブルーノートに参加した若手のミュージシャンへのサポートが厚かったと思います(血縁はなかったけどゆるーいつながりの家族のようだったという記述を見たことがあります)。晩年期はMosaicレーベルから学術的価値のあるコンプリート盤を数多くリリースしました。 ジャズはアメリカン.オリジナル.アートフォームですが、それを社会に周知させる大きな仕事をされたと思います。彼がプロデュースした作品の多くが若い頃の自分にとって血肉となったことは間違いありません。

 

ありがとうございました。

生成AIと音楽

随分前に買ったRussell Garciaのprofessional composer arrangerを読み返しています。この本はジャズの作曲やアレンジについて書かれた恐らくは最初の本で、book1が1950年代に、book2が1970年代に出ています。ラッセルは1910年代の生まれで、いわゆるウエストコースト系のアレンジャーの1世代上、すなわち、ビル.ホルマンやマーティ.ペイチらの師匠格に当たります。20世紀中期のジャズの和声のアカデミック化、すなわちミヨーやテデスコやシェーンベルグといった当時のクラシックの理論がジャズに導入されてころにその結節点みたいなところにいた人なのです。映画音楽の大家になっちゃったので、いわゆるウエストコーストジャズの本でもほとんど名前が上がってこない人なのです。彼は常々「音楽で1番大事なのはhuman emotionだ」と言っています。book2のメロディの章でもこれが書いてあって、「何が良いメロディを作るのかということについての科学的、数学的な形式はまだ考案されていない」
と書いています。これは50年前の考えで、今の生成AIのスペックは想定されていません。が、恐らくは今でもそうした科学的、数学的な形式は存在しないでしょう。音楽という表現手法は生成AIに侵食されない最後の領域の一つではないかと思います。メロディがそうであるならば、即席作曲のような性質を持つジャズインプロビゼーションは生成AIには更に難しいことだろうと思われます。但しジャズのマーケットは小さいので、生成AIでコストかけてやるかとなのか、という問題もあるかもしれません。

Don't break the rule, Go beyond it!

バリー.ハリスのワークショップには随分と足を運びました。火曜日の夜にNYCに滞在してたら夜8時くらいから夜中の12時まで必ず参加してました。東京でも開催してるのを知ってからは東京は全部参加したと思うし、アメリカに住んでない人間としてはおそらく日本人で一番たくさん参加してたのではないかと思っています。彼のワークショップはビバップの「てにをは」を学べる最高の学校でした。幸いにも5年前に行った時にはラージアンサンブルのリハーサルにも参加できて、最後の最後に非常に大きな学びの経験をすることができました。そんな中でいちばんに印象に残ってるバリーさんの言葉が今日のブログのタイトルです。ニューヨークで聞いた言葉だったと思います。

 

「ルールを破るな。乗り越えろ。」

 

掟破りではダメなのです。型があるからこそ様式美があるので、型を壊すというのは「形無し」であって単なる破壊です(今のお笑いがこれだと感じます)。「型」の中に軸足を置いてどれだけ面白いことができるか、を考えることこそ大事なのだ、と。この言葉を聞いたのはもう20年くらい前のことなんですが、いまだに鮮明に頭の中に残っています。いい言葉だなぁ、と思います。