生成AIと音楽 | music-geek

生成AIと音楽

随分前に買ったRussell Garciaのprofessional composer arrangerを読み返しています。この本はジャズの作曲やアレンジについて書かれた恐らくは最初の本で、book1が1950年代に、book2が1970年代に出ています。ラッセルは1910年代の生まれで、いわゆるウエストコースト系のアレンジャーの1世代上、すなわち、ビル.ホルマンやマーティ.ペイチらの師匠格に当たります。20世紀中期のジャズの和声のアカデミック化、すなわちミヨーやテデスコやシェーンベルグといった当時のクラシックの理論がジャズに導入されてころにその結節点みたいなところにいた人なのです。映画音楽の大家になっちゃったので、いわゆるウエストコーストジャズの本でもほとんど名前が上がってこない人なのです。彼は常々「音楽で1番大事なのはhuman emotionだ」と言っています。book2のメロディの章でもこれが書いてあって、「何が良いメロディを作るのかということについての科学的、数学的な形式はまだ考案されていない」
と書いています。これは50年前の考えで、今の生成AIのスペックは想定されていません。が、恐らくは今でもそうした科学的、数学的な形式は存在しないでしょう。音楽という表現手法は生成AIに侵食されない最後の領域の一つではないかと思います。メロディがそうであるならば、即席作曲のような性質を持つジャズインプロビゼーションは生成AIには更に難しいことだろうと思われます。但しジャズのマーケットは小さいので、生成AIでコストかけてやるかとなのか、という問題もあるかもしれません。