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ほんのにちようび

心に残った本のあらすじと感想をつづります。

(時に映画、マンガ、音楽などについても)

neko

猫に未来はない

長田弘  

角川書店 ★★★☆


再読のきっかけは「猫村さん」。

続けて猫ものが読みたくなって久々に手に取ったら、予想外に良くてびっくりした。前に読んだときはどうして印象に残らなかったのだろう。


猫嫌いで「全日本反猫同盟」を作ろうとまで思っていた長田さんが、猫が大好きな女の人と結婚して猫を飼い始め、やがてひとりの家族として猫を愛するようになるまでをつづったエッセイ。


長田さんと猫との距離が少しずつ近づいていく様子もほんわかしていてなごむのだけれど、それ以上に素敵なのが文章。さすが詩人だけあって、えらぶ言葉のひとつひとつに朝露がのっかっているかのようにみずみずしい。長田さんと猫のゆるやかな物語を読んでいるかのような、それでいて、大きな詩を読んでいるかのような。


どこを切り取ってみても、切り取ってしまった時点でこの文章の本当の魅力が失われてしまう気がするけど、たとえば日曜の朝の描写はこんな感じ。


まだ重たい町のまぶたがかすかにふるえながらおしあげられようとし、うつぶせてねむっていた家々の影を、太陽の暖かい指さきが、ひんやりとした夜の感触を残している平たい通りのうえからようやく揺り起こそうとしている、そんな時間でした。


収録された3作のうち、表題となっているエッセイは、はっとするような美しい終わり方をする。あとの2つのエッセイは必要なかったなあ。表題のエッセイのみだったら、5つ星でもよいぐらい。


猫エッセイのジャンルでは最高峰かも。名作として名高い「ノラや」より、こっちのほうが好き。


BGM:サンダーロード/↑THE HIGH-LOWS↓

NANA


噂のNANA映画版を観てきました。


恋人を追って上京する奈々(愛称:ハチ)と、音楽のために上京するナナが、偶然同じ列車に乗り合わせる。意気投合した二人は、道中語り明かした後に駅で別れるが、数日後お互いちょうど部屋を探しているところで再会し、一緒に暮らすことを決めて・・・というお話。


原作は全部読んでいたけど、映画版もかなり良かった。現実感のうすい登場人物を実写化するのって大変そうなのに、ほぼ見事に再現されていてびっくり。とくに中島美嘉演じるナナなんて、本物よりナナっぽかった(中島美嘉演じるナナが最初にあって、それを後で漫画化したかと思うぐらい)。ハチは原作より女のしたたかさ控えめで少女らしさ多めだったので、これまた宮崎あおいのいやみのないかわいらしさがぴったり。話も原作からうまく切り取ってあって、まとまっていたと思う。


特に心に残ったのは、ナナが恋人だった蓮と別れる回想シーンと、同じくナナと蓮の入浴シーン。

別れのシーンで、旅立つ蓮とずっと離れずにいたナナが、発車を知らせるブザーの音で転がるように降りてきて、そのままへたりこむ。それをみたバンド仲間のノブが叫びながらドアに走り寄るけれど、蓮の表情を見ると何も言わずに列車から離れる。この一連の動作が無声なのがまたなんとも・・・。

入浴シーンはネタばれになりそうなので控えるけど、中島美嘉がとっても女の子できゅんとする。


女の人の多くは、自分の夢を求め続けるナナと、恋愛に自分の重心をゆだねるハチの両方の要素を持っているんだろう。だから、こうやってそれぞれの要素を別個の存在として明確に比較できるこのストーリーが、単なる恋愛話以上のリアリティを持つ。とは言っても、やっぱり「血中少女漫画度」が高い人ほど楽しめる話かな。


余談ですが・・・

NANA公式サイトの掲示板を見て改めて思ったのだけど、最近こんな文章をネットでよく見かける。

「私ゎナナが好きヵなぁ。シンちゃんゎィメージと違いすぎw」

な、なんでそんなところが小文字・・・?正直言って私には頭悪そうとしか思えないのですが、「かわいい」の範疇に入るのかしら、これ。


猫:ジェネレーション・ギャップってやつですわね。



追記:続編制作が決まったみたいです。段々と話が濃くなってくるけど、宮崎あおいに耐えられるのかしら…。それから、トラックバックをいただいたのですが、NANA占いというものが存在するとか。

http://u-maker.com/17624.html

ちなみに私はレン(一見おとなしそうに見えても人並みはずれた好奇心と冒険心を持っていて云々)で、開運口癖は「びんよよよーん」らしい。明日会社で使ってみようかな。難易度高いなあ。


BGM:GLAMOROUS SKY/NANA starring MIKA NAKASHIMA

ほし よりこ
きょうの猫村さん  ★★☆

友人に「この本かなりいいよ!今度貸すよ」と勧められ、そのうち読もうと思っていたら、今日、別の友人が「面白いからあげる」とくれた本がこれ。なんだかご縁を感じたのでさっそく読んでみました。


内容は、といえば「猫村ねこ」というの家政婦さんが、なぞの多いお金持ちのお屋敷で働くことになって・・・というお話。特にすごく面白いというシーンがあるわけではないけれど、小島功みたいなゆるい線とほんわかストーリーでなごめる。お屋敷の美人な奥様を猫村さんがマッサージしてあげるシーンなんか、特にほのぼのとしていて、ついこっちもにんまりしてしまう。

なにより、擬人化されている猫村さんが時々完全に猫に戻ったようなしぐさをするのが、猫好きにはかなりツボ。


ちなみに、この本もネットのコンテンツを書籍化したものらしい。そういう目で見てみると、猫村さんが某巨大掲示板のアスキーアートにちょっと似ているような気もするから不思議。


追記:今日は選挙以外ひきこもっていたので、思わず再読してしまいました。猫村さんがお屋敷に遊びに来た不良学生のリーゼントに「ちょっとごめんなさいね」と顔をすりすりするところが新たなツボ。この本、読めば読むほどのするめタイプかも。


さらに追記:この本を最初に勧めてくれた友人が、ここ数日、毎日「今日の心境」と題して猫村さんの「爪とぎシーン」や「エプロンきゅっきゅっ」を写メールで送ってくるようになりました。こんな使い方までできるとは、やるなこの本。



猫:「著作権」って知ってるのかしら、うちの飼い主…。


BGM;猫になりたい/スピッツ

こんどはコミック限定で、「私の100冊(未完成なうえに順不同)」をセレクト。


輝く第一位は・・・


 1 BANANA FISH/吉田秋生

 2 あしたのジョー/ちばてつや

 3 ピンポン/松本太洋

 4 スラムダンク/井上雄彦

 5 タッチ/あだち充

 6 花より男子/神尾葉子

 7 赤ちゃんと僕/羅川真里茂

 8 やじきた学園道中記/市東亮子

 9 めぞん一刻/高橋留美子

10 有閑倶楽部/一条ゆかり

11 Oh! my ダーリン/上田美和

12 I love her/いくえみ稜

13 動物のお医者さん/佐々木倫子

14 BASARA/田村由美

15 テレプシコーラ/山岸涼子

16 ハチミツとクローバー/羽海野チカ

17 NANA/矢沢あい

18 恋文日和/ジョージ朝倉

19 王家の紋章/ 細川智栄子&芙~みん


20 アドルフに告ぐ(あるいは「火の鳥」「ブラック・ジャック」)/手塚治虫

21 シティハンター/北条司

22 美味しんぼ/雁屋哲、花咲アキラ

23 ドラゴンボール/鳥山明

24 ヒカルの碁/ほったゆみ、小畑健

25 BECK/ハロルド作石

26 ギャラリーフェイク/細野不二彦

27 最終兵器彼女/高橋しん

28 MASTERキートン(あるいは「YAWARA!」)/浦沢直樹

29 龍-RON-/村上もとか

30 プラネテス/幸村誠

31 ピアノの森(あるいは「花田少年史」)/一色まこと

32 編集王/土田世紀

33 サユリ1号/村上かつら

34 聖―天才・羽生が恐れた男/山本おさむ

  

・・・うーん。自分では結構マンガ読むほうだと思っていたけど、100冊は全然無理でした。なんか忘れてるものがある気もするけど、ひとまずここまで。



BGM:ババロア/スピッツ

kikuchi

CDは株券ではない

菊池成孔

ぴあ ★★★


ずっと愛読していたタワーレコードHP内の連載が、ついに本になった。

http://www.bounce.com/articleset/articleset.php/135


音楽史や作曲法を熟知した筆者が、軽~い口調で最新ヒット曲の売れ行き予想と感想をつづっているもの。売れ行き予想はあんまり当たってないけど、辛口で的確、時々おちゃらけたレビューが面白い。


モーニング娘。を「早くプロレス団体にしてしまってくれ」だとか、鬼束ちひろに対して「僕はこの人がデビューしたときから、裸にしか興味がなかった」だとか、言いたい放題。



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余談だが、このテキストは本で見るよりホームページで読んだほうがメリハリがあって面白い。

今まで、文章を読む媒体として本よりネットの方が良い、と思ったことなんかなかったので、これはちょっと衝撃。考えてみると、ブログが普及してから、ネット上での文章の表現方法(効果的に太字・色字を使ったり、行間の空きで期待度を膨らませたりするような、「侍魂」をはじめとするテキストサイトが(多分)開発した方法)の水準が飛躍的に上がっているように感じる。


成長期までのメインの媒体が「本」だった私たちぐらいの世代までは、まだ「ネットの文章は目が疲れるし、整然としていないから読みにくい」などといった刷り込みがあるが、世代がさらに下の、最初からネットの文章がメイン媒体の人々にとっては、むしろ本の方が読みにくいと感じるのだろうか?今の私がこの本に感じているように。


だとしたら、やっぱり本は消えていくしかないのだろうか。


猫:そうすると、管理人はいずれ仕事がなくなってしまいますわね。それなら、私も今のうちに次の飼い主を・・・



BGM:Foolish Games/Jewel

島田 洋七
佐賀のがばいばあちゃん
徳間書店 ★★☆

コメディアン島田洋七が、祖母と過ごした自身の少年時代を描いた本。父親が原爆の後遺症でなくなり、貧困に耐えかねた母親が昭広(洋七)をあずけたのが、佐賀に住むおばあちゃんだった。このおばあちゃん、豪快でキュートで、なんともあたたかい。

「ばあちゃん、英語なんかさっぱりわからん」

「じゃあ答案用紙に『私は日本人です』って書いとけ」

(中略)

「歴史も苦手でなあ…」

「答案用紙に、『過去には、こだわりません』って書いとけ!」


うーん、いいおばあちゃんだ。


文字が少なめなのでするするっと読める。疲れたときに良いかも。


BGM:おかしな2人/Unicorn

himiko


[あらすじ]

ある事情から借金を背負い、建設会社の事務として働きながら、水商売も検討している沙織。

ある雨の日、彼女の元に若くて美しい男が訪ねてきた。彼は、沙織が幼いころ家を出て行った父の恋人だった。彼は沙織に、沙織の父「卑弥呼」が癌で余命いくばくもないことを告げ、卑弥呼が運営するゲイの為の老人ホームを手伝わないか、と持ちかける…。


「ゲイのための老人ホーム」「若くて美しい、父親の恋人」「細野晴臣の音楽」「犬童一心監督・渡辺あや脚本(ジョゼ虎と同じ)」。これだけ期待を持たせる要素が満載なら、もう行くしかない。そう思って、長蛇の列にもめげずに観に行ってきました、「メゾン・ド・ヒミコ」。本当は舞台挨拶も見たかったけど、予想以上の人気で売り切れ。


物語は淡々と流れていく。「ジョゼと虎と魚たち」の妻夫木くんほどの陽性のキャラクターがいないせいか、画面からは絶えず哀しさのようなものが漂う。沙織の職場の同僚、ゲイの老人ホーム、それを取り巻く人々。さまざまな人間関係がつむがれていく中、沙織(柴崎コウ)と春彦(オダギリジョー)は恋愛感情だけでは説明のつかない引力をお互いに感じていく。


穏やかに眠る卑弥呼の隣で春彦が叫ぶシーンは圧巻だった。

欲望が欲しいんだよ! 自分を駆り立てるような欲望がさ。この人が死んでいくの見てると、俺生きたいって思えなくなるんだよ


良い場面はたくさんあったのだけど、もうひとつメリハリが足りないというか、状況に感情移入できないままいろんな人が死んだり、去ったりしていってしまった印象を受けた。もう少し幸せなシーンがあったら良かったな。


余談だけど、この映画のなかではオダギリジョーがびっくりするほどかっこよかった。隠れ“オダギリジョー萌え”映画認定。



BGM:母が教え給ひし歌/ドヴォルザーク

奥田 英朗
サウス・バウンド
角川書店 ★★☆

[あらすじ]

二郎の父親は、今まで一度も会社勤めをしたことがない。昔は「過激派」とかいうのだったらしくて、今も役所や学校に文句をつけることがしばしばだ。しかし、二郎はごく普通の男の子で、不良グループに目をつけられたことでひそかに頭を悩ませている。そんなある日、父の知り合いだというアキラおじさんという人がうちにやってきて…


奥田英朗にしては珍しい、少年の視点で描かれた作品。少年の会話などがいまいちリアルでなく、現代っ子ぽさもうすいため(どうしてもこういうところが気になってしまう。「日曜日の夕刊 」しかり)主人公には感情移入しにくかったけれど、話としては良くできていた。


特に途中で二郎一家が東京を去り、沖縄へ移住するあたりから面白くなっていく。「過激派」の父が実は沖縄の英雄の子孫だったり、新しく住みはじめた土地が開発問題をめぐって争いが起こっている場所だったり、二郎が新しく通うことになった学校に東京で不登校だった少女がいたり、興味を引くサイドストーリー満載。しかも、最後には「地図にない島」まで出てくるのだ。


ああ、なんだか「てのひら島はどこにある(佐藤さとる)」を読み返したくなってきたな。


BGM:タイムロス/クラムボン

fes


ROCK IN JAPAN FESTIVALに行ってきました!

http://www.rijfes.co.jp/05/index.html


今年は諸事情により1日目に参戦(今回で3回目)。民生、クラムボン、GOING UNDER GROUND、スピッツにスカパラという豪華メンバーだった去年に比べるとやや弱いかなあ、なんて思っていたけれど、行ってみたら思いがけない感動もあって、やっぱりすごく良かった。


私にとって、今年の最大の見所は真心ブラザーズ。しかも、名曲「サマーヌード」が生で聴きたい!という、それだけの理由で(他の曲あまり知らないし)。どうしても前列で見たい!と思うほどのアーティストが今年はいなかったので、木陰に座ってGlass stage(3つあるうち最大のステージ)をのんびり眺める。


渋谷さんの挨拶を経て、オープニングアクトはACIDMAN。「赤燈」なんかが結構良くて、太陽の下でのんびり聞くには心地よい音楽。その後、屋台エリアへ食料を調達しにいき(どれも結構おいしい)、ふたたび木陰でKREVAを聴く。よく通る彼の声は屋台エリアまで響きわたっていた。初めて行った2003年のFESで一番楽しかったのが意外にもKICK THE CAN CREWだったので、KREVAにもちょっぴり期待していたけど、今回はいまいちだったかなあ。KICKのときは曲順といい選曲といい、これ以外にはない!と思えるほどのベストチョイスだったし、会場とステージの一体感もすごかったけど、今回はよくわからないお友達(失礼)がステージにいっぱい出てきて、??という感じだった。


そして、そのあとはYUKI。私たちはおおいにJUDY AND MARYの洗礼を受けた世代だけれど、正直YUKIちゃんのソロには興味が持てなくて、「ビョーク意識してるのかなあ、このひと」なんて、ずっと醒めた目で見ていた。しかし、「JOY」ぐらいから彼女の曲が自分の意識にひっかかりはじめたことと、菊池成孔の連載「CDは株券ではない」http://www.bounce.com/interview/article.php/2009 を読んだのがきっかけで、再び彼女の存在が気になりはじめていた。


YUKIちゃんが登場すると、明らかに会場の空気が変わった。いつの間にか増えていた観客から、口々に「かわいい・・・」というため息のような声がもれる。バレリーナの衣装みたいにひらひらふわふわしたワンピースで登場したYUKIちゃんはすさまじいオーラを放っていて、朝からずっと座ってみていた私たちも思わず立ち上がって前のほうへ引き寄せられていった。彼女の本当のかわいらしさは、童顔のルックスだとか幼子のようにむちむちしたすべすべの肌なんかではなく、ステージ上をふわふわ跳ね回ったり、衣装についたリボンで目隠しをして遊んでみたりするその無邪気さ。見とれてしまった。声も生で聴くと一段とすばらしくて、映画タッチの主題歌「歓びの種」なんかは終わるのがもったいないぐらいにいい曲だった。最後に歌ったのは「ハローグッバイ」。


私が見てきたすべてのこと 無駄じゃないよって君に言って欲しい



彼女が最後に歌ったその歌詞が、終わってからもしばらく頭のなかで響いていた。一緒に行った友達は感動してちょっと泣いていたみたい。


そのあとは、今年新しくできた茶屋ビレッジというカフェスペースでひとやすみ。Beard Papaのマンゴー・アイスシャワーというおいしいカキ氷を食べながら、後半戦について相談する。友達の今回のお目当てはBump of chickenで、「絶対前で見たい!」というので、Dragon Ashの段階から前の方でスタンバイ。Ashのkjはさかんに観客をあおっていて、「モッシュもダイブも禁止なんて言われてるけど、みんな気にせずダイブしちゃってください!」などとのたまう。おいおい、それはダメでしょ。Ashにはもうかつての勢いやエネルギーはなかったけど、昔好きだった「Under Age's song」を生で聴けたのは予想外でちょっとうれしかった。


それにしてもバンプのファンはものすごかった。今日一番の熱狂。本当に「熱狂」とか「狂乱」とかそういうすさまじさ。うっかり前の方に行ってしまったせいで、前後ものすごいファンにはさまれて酸欠になりかけた。新曲「プラネタリウム」から「天体観測」まで、コアなファンじゃなくても楽しめるラインナップだったけど、ちょっと気を失いかけてたので正直あんまり良くわからなかった(苦笑)。


最後はLake stageに移動して、真心ブラザーズ。YO-KINGと桜井さんのゆる~いMCと歌で、会場自体がほんわかしたいい空気。彼らは活動も長いせいか、「ステージに住んでいるのでは?」と思えるような慣れと力の抜け具合がいい感じだった。新曲、「拝啓、ジョンレノン」、そして待ち望んでいた「エンドレスサマーヌード」が聴けたのがうれしかった。YUKIと真心のステージからはあたたかさと愛があふれていた。あの夫婦、本当にすごいわ。


そして、アンコールの「空にまいあがれ」を聞きながら、帰途へ。

Glass stageからは大きな花火があがっていた。



BGM:歓びの種/YUKI

向田 邦子
夜中の薔薇
講談社 ★★☆

向田邦子最後のエッセイ集。

「この中に収録されている『手袋をさがす』がすごい共感できるから、読んでみて」と、友人が貸してくれた。


向田邦子には若いころ、なかなか気に入る手袋がなくて、手袋なしで過ごした冬があった。すると、みんなが心配して「手袋はどうした」と聞くので、余計に意地になってしまった。すると、上司がふと、「君のやっていることは手袋のだけの問題ではないかもしれないねえ」と忠告してくれたという。その助言によって、彼女は自分がないものねだりで、いつも上ばかり見て満足を知らない人間であることを改めて実感した。そして彼女は、どうせこのような性格に生まれたのだから、自分の求めるものをとことん追い続けよう、と決心し夢に向かって走り始める・・・。


要約するとこんな内容。確かにすごく納得できるエッセイだった。卒業して数年経つ今、まわりは段々と自分にあった手袋を見つけはじめている。それは結婚だったり、仕事だったり、海外での生活だったり、没頭できる趣味だったりと人それぞれだ。私にとっての手袋はすぐつかめそうに思える日もあれば、何億光年も先にあって、ほとんど絶望的だと感じるときもある。


ときどき思い出すことばなのだけど、「サユリ1号」というマンガのなかで、かっこよくなりきれない男の子に女の子が言うセリフがある。


「いっぱい焦って 知ったかぶって のたうち回って

かっこ悪い時期をきっちりくぐれば

今あこがれているモノ ぜんぶイタにつくようになるよ」


今は自分にとってちょうどそんな時期なのだろうか、とも思ったりする。あらゆるかっこ悪い思いをくぐっていけば、いつか求めている手袋は手に入るだろうか。



BGM:ロックンロール/くるり