- 向田 邦子
- 夜中の薔薇
- 講談社 ★★☆
向田邦子最後のエッセイ集。
「この中に収録されている『手袋をさがす』がすごい共感できるから、読んでみて」と、友人が貸してくれた。
向田邦子には若いころ、なかなか気に入る手袋がなくて、手袋なしで過ごした冬があった。すると、みんなが心配して「手袋はどうした」と聞くので、余計に意地になってしまった。すると、上司がふと、「君のやっていることは手袋のだけの問題ではないかもしれないねえ」と忠告してくれたという。その助言によって、彼女は自分がないものねだりで、いつも上ばかり見て満足を知らない人間であることを改めて実感した。そして彼女は、どうせこのような性格に生まれたのだから、自分の求めるものをとことん追い続けよう、と決心し夢に向かって走り始める・・・。
要約するとこんな内容。確かにすごく納得できるエッセイだった。卒業して数年経つ今、まわりは段々と自分にあった手袋を見つけはじめている。それは結婚だったり、仕事だったり、海外での生活だったり、没頭できる趣味だったりと人それぞれだ。私にとっての手袋はすぐつかめそうに思える日もあれば、何億光年も先にあって、ほとんど絶望的だと感じるときもある。
ときどき思い出すことばなのだけど、「サユリ1号」というマンガのなかで、かっこよくなりきれない男の子に女の子が言うセリフがある。
「いっぱい焦って 知ったかぶって のたうち回って
かっこ悪い時期をきっちりくぐれば
今あこがれているモノ ぜんぶイタにつくようになるよ」
今は自分にとってちょうどそんな時期なのだろうか、とも思ったりする。あらゆるかっこ悪い思いをくぐっていけば、いつか求めている手袋は手に入るだろうか。
BGM:ロックンロール/くるり