[あらすじ]
ある事情から借金を背負い、建設会社の事務として働きながら、水商売も検討している沙織。
ある雨の日、彼女の元に若くて美しい男が訪ねてきた。彼は、沙織が幼いころ家を出て行った父の恋人だった。彼は沙織に、沙織の父「卑弥呼」が癌で余命いくばくもないことを告げ、卑弥呼が運営するゲイの為の老人ホームを手伝わないか、と持ちかける…。
「ゲイのための老人ホーム」「若くて美しい、父親の恋人」「細野晴臣の音楽」「犬童一心監督・渡辺あや脚本(ジョゼ虎と同じ)」。これだけ期待を持たせる要素が満載なら、もう行くしかない。そう思って、長蛇の列にもめげずに観に行ってきました、「メゾン・ド・ヒミコ」。本当は舞台挨拶も見たかったけど、予想以上の人気で売り切れ。
物語は淡々と流れていく。「ジョゼと虎と魚たち」の妻夫木くんほどの陽性のキャラクターがいないせいか、画面からは絶えず哀しさのようなものが漂う。沙織の職場の同僚、ゲイの老人ホーム、それを取り巻く人々。さまざまな人間関係がつむがれていく中、沙織(柴崎コウ)と春彦(オダギリジョー)は恋愛感情だけでは説明のつかない引力をお互いに感じていく。
穏やかに眠る卑弥呼の隣で春彦が叫ぶシーンは圧巻だった。
「欲望が欲しいんだよ! 自分を駆り立てるような欲望がさ。この人が死んでいくの見てると、俺生きたいって思えなくなるんだよ」
良い場面はたくさんあったのだけど、もうひとつメリハリが足りないというか、状況に感情移入できないままいろんな人が死んだり、去ったりしていってしまった印象を受けた。もう少し幸せなシーンがあったら良かったな。
余談だけど、この映画のなかではオダギリジョーがびっくりするほどかっこよかった。隠れ“オダギリジョー萌え”映画認定。
BGM:母が教え給ひし歌/ドヴォルザーク
