10月7日に放送された「林先生が驚く初耳学」の中で
BMIに関する情報があったのですが、そのことについてお話しさせて頂きます。
衝撃！ダイエットのタブー！『BMIには何の根拠もなく金儲けのために利用された数値』
番組の中では
「BMIは保険会社が肥満の基準を作り金儲けのために広めた数値」
「金儲けのために一人の男が広めた適当な数値」という表現を使っていました。
メトロポリタン生命のルイ・ダブリンがBMIを利用して顧客を増やしたり
顧客に高い保険料を支払わせて大儲けをしたのは事実ですが、
だからといって「BMIは何の根拠もない無意味な数値」としてしまうのは
見た人に大きな誤解をさせる表現ではないかと思います。
『BMI (Body Mass Index)=ボディマス指数』について
簡単に分かりやすく説明させて頂きます。
BMIは1835年、ベルギーの数学者・統計学者であるアドルフ・ケトレーによって考案されたもので、その後ドイツの衛生学者イグナーツ・カウプによって「小児の発育指数」として普及しています。
1972年、専門家らの研究によってこの指数が「体脂肪率とよく相関する」ということが明らかにされ、それ以後「BMI」と呼称されるようになったものです。
肥満は、糖尿病・高血圧・脳疾患・心疾患などの病気を引き起こす可能性が高い危険因子です。
また肥満と反対の「痩せ」にも、栄養不良・慢性進行性疾患などを生じる可能性があり良くありません。
「自分の体がどの位置に分類されるのか」ということを把握することは、それらの疾患の予防や改善のためにとても重要なことです。
そのために数学者であり統計学者でもあるアドルフ・ケトレーが考え出した計算式がBMIなんです。
そしてここからが一番重要なポイントになります。
BMIの計算式は世界共通であるものの、現在肥満の判定基準は国により異なっているんです。
世界保健機関(WHO)・米国国立衛生研究所(NIH)・英国国民保健サービス(NHS)では、
BMI25以上を「過体重」 30以上を「肥満 」としていて、
ドイツ・フランス・イタリアもこの判定基準を採用しています。
その一方、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)では、
「アジア系アメリカ人は内臓脂肪がたまりやすい」ということを考慮し
「BMI23以上から注意すべき」としています。
そして我が国、日本ですが、
日本肥満学会ではBMI22の場合を標準体重としていて
25以上を肥満、18.5未満を低体重としています。
確かにBMIでは正確な判断をすることはできません。
BMIは「体重を身長で2回割った数値」ですから、
例えば全く同じ体型をしていても身長が高い人の場合BMIは数値が大きくなってしまう、といった問題が出てきます。
また体脂肪率が全く考慮されていないため
「体脂肪は少ないのに筋肉が多いので体重が重い」という人は、健康的であるにも関わらず「肥満」と判定されてしまい、
逆に「体脂肪率は高いが筋肉が少ないので低体重」という一番危険な隠れ肥満のような人が「痩せ」と判定されてしまいます。
「アドルフケトレー本人が肥満度を算出するには曖昧な指数と言っていた」というのもこの点についてです。
こういったように問題点はかなりあるのは事実なんですが
「BMIを上回る指標は今のところ他にない」
「計算式が簡単で誰にでも計算出来る」
「指標になるものが全くないより参考のひとつとして利用した方がいい」
こういったことから現在でも世界中でBMIが利用されているわけです。
BMIが本当に何の根拠もない完全に間違った計算式で、
利用する価値が全くないものだったら、とっくの昔に廃止されているはずです。
でも今現在もその価値が認められ世界中で利用されているのですから
「BMIには何の根拠もない」とか「金儲けのために一人の男が広めた適当な数値」という言い方には大きな語弊があると思いますし
視聴者に不安を与えるような表現をするのはどうなのか？と思いました
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