これは私がまだ結婚していた時のお話です。
「心を許せるママ友」「何でも話せるママ友」なんていうものはそうそう居ないものですが、
私には「K子さん」という特別なママ友がいました。
「超」がつくほどの美人さんでスタイルも抜群。
『無口で物静かだけどしっかり者で頑張り屋』というK子さんは
私が心を許せる数少ないママ友のひとりでした。
長男と結婚し、夫の実家で義父母と同居をしていたK子さん。
義父母は底意地が悪く、その両親に一切逆らえない夫。
全く同じ境遇だったこともあって私とK子さんは知り合ってすぐ
特別な親しい関係になっていたのでした。
そんなK子さんの家は大きくて立派なものの
建ててからかなりの年数が経っていて
家のアチコチにとても大きな問題を抱えていたため
思い切って家を建て替えることにしたんですが・・・
それがとんでもない結末を迎えることになってしまうのです。
家を建て替える事が決まった時、
「知り合いが工務店を経営しているからそこの工務店に頼む」
と言い出したご主人にK子さんは
「変に知り合いに頼むとロクな事がないから絶対にイヤ」と言ったんだそうです。
すると、
「知り合いじゃない！俺が昔からお世話になっている人なんだから頼むのが当然だろう！」
とキレられてしまい、ご主人の両親も
「〇〇（息子の名）がそこに頼みたいって言ってるんだからいいじゃない。第一建て主は〇〇なのよ？何で貴女が反対するの？」と一点張りだったため「分かりました
もういいです」と仕方なくOKしたとのことでした。
もういいです」と仕方なくOKしたとのことでした。そして、その数ヶ月後、出来上がったのは立派な御殿・・・・
ではなくて、見た目だけが立派な「張りぼて御殿」でした。
相場の1.5倍くらいの施行費を取られたあげく
窓は開かない・閉められない、床はビー玉が転がり放題
「うぐいす張り」の如く歩くたびにキュッキュッと鳴る廊下
脱衣場はすぐに腐り、床下収納からは風が吹き上がってくるという近所で大評判の欠陥住宅だったのでした。
もし赤の他人に頼んでおけば
「ちょ、待てよ！！何なんだよこれは！今すぐ直せっ！」と言えたものを
変に知り合いに頼んでしまったもんだからそんな風には言えなくなってしまい
「ほら！だから言ったじゃないの！変に知り合いに頼むとこうなるから嫌だって！」とK子さんは大激怒。
その激怒っぷりがあまりに凄かったので、さすがのご主人も黙っているわけにいかなくなり
「あのですね･･･家のことでちょっと困ってるんですけど･･･」みたいな超低姿勢で言ってみたら
「あ、それはね～、まぁ大体そういうもんだから！気にしない気にしない！」と訳の分からない説明でスルーされたんだとか。
そもそも嫁姑問題・嫁舅問題があった上に起こったこの欠陥住宅事件。
結局この夫婦、その後離婚してしまいました。
しかもただ単にK子さんが家から追い出されて「THE END」だったといいます。
可愛い子供を3人も産んで、その子供たちを心の底から愛し
大事に大事に育てていたのに、
慰謝料も貰えず3人の子供たちを全て取り上げられて
丸裸で追い出されたそうです。
何で「THE ENDだったといいます」とか「追い出されたそうです」とか
まるで他人から伝え聞いたような言い方をしているのか・・・というと
本当に他人から伝え聞いた話だからです。
実はその時私はすでに夫の家から逃げ出していて別居中だったんです。
当時はまだ携帯などない時代。
K子さんに私の実家の電話番号を教える余裕もないまま夫の家から逃げてしまったので、
それ以来私とK子さんが連絡を取ることは出来なくなってしまったのでした。
その後、風の噂で耳にしたのは「一人で田舎に帰った」ということだけ。
「さよなら」の一言も言えないまま今生の別れとなってしまったK子さん。
「今頃どこで何をしているんだろう」「元気で暮らしてるのかな？」と
今でも度々思い出しては溜息をつくばかりです。
もう一度だけでもいいからK子ちゃんに会いたい
