飲酒運転の厳罰化・取締強化、さらにはマスコミの注目は、飲酒運転を減らすために大きな効力があります。 しかし光あれば影があるように、これらのことにも飲酒運転撲滅にとって良いことばかりではありません。
飲食店の協力を得られづらいのでは?
ここ3~4日は、お酒を提供した飲食店経営者が飲酒運転ほう助で逮捕されたというニュースが増えています。 駐車場をもつ居酒屋さんは、さぞかし不安な毎日を過ごされていると思います。 飲酒運転をしたひとの多くが、居酒屋などで飲んでいたことが先日の調査で明らかになっています。 ですので、飲食店に対する対策が必要であるということは大勢の意見に一致するところです。
となると、まず最初に実施しなければならないことは何でしょうか?
私は、駐車場のある居酒屋での飲食後の運転についての実態調査を行うべきだと思っていました。 自動車で来店するお客様の割合、飲酒運転で帰るお客様の割合、どれくらい飲むのか、お客様にとっての運転代行の適正価格、他の交通手段のある場所とない場所での比較、、、
そういった調査は実施されているのでしょうか? 私が調べている限り、調査結果は公表されていませんし、調査されたとも思えません。
実際には、「飲酒運転ほう助で逮捕」を行ってしまったのです。
今から飲食店に調査アンケートを送付したところで、正直な回答が得られるとは思えません。
例えば
Q. あなたのお店では、飲酒運転の疑いのあるお客様にお酒を販売しますか(選択肢)?
1) 積極的に販売する
2) お客様の判断に委ねるが、特に注意はしない
3) お客様の判断に委ねるが、口頭で注意を促す
4) 飲酒運転をしないように掲示・口頭注意を積極的に行っている
5) 運転手への酒類販売を行わないように、お客様・従業員に徹底するように求めている
という設問があったとしましょう。
飲酒運転ほう助での逮捕前であれば、
1 - 5%
2 - 55%
3 - 30%
4 - 7%
5 - 3%
くらいですかね? 平均で2.5点です。
でも、逮捕のニュースが流れていますので、今から調査したら
1- 0%
2 - 5%
3 - 15%
4 - 50%
5 - 30%
となってもおかしくないですよね。 これですと平均で4点です。
こんな数値を元に対策を立てても、机上の空論になってしまいませんか?
問題は他にもある
飲酒運転で事故を起こしたときに、逃げてしまう運転手が増えているそうです。 その場合、飲食店と共謀して飲酒量を少なく証言させるような事件が発生しないとも限りません。
事故を起こし、逃亡し、飲食店に連絡し(ビール一杯しか飲んでないということにする、などなど)、アルコール量が減ってから出頭する、、、なんてことになりそうです。
飲食店も、ほう助で逮捕されて店を潰されるよりは、嘘の証言をするほうを選択する可能性が高まっているように感じます。 厳罰化・取締強化・過熱するマスコミ報道基本的には賛成です。 しかしながら、これらの「負」の部分にも目を向けなければ、飲酒運転を根本解決することは難しいのではないでしょうか?