水の中。 -74ページ目

水の中。

海外小説のレビューと、創作を。


よそさまのブログを拝見すると、みなさん日記がとてもお上手なんですよね。

こう、小さな日常のひとコマから、「ほー!」と感心するような、とってもいいことが書いてある。
私は感受性のわりとニブイほうなので、日記がとても苦手です。
もっと高尚なことを書きたいのですが、気がつくとアホーな記事ばかりになってしまっていて、せつないのですよ……。

そういうわけで、コンテンツが寂しいので、やはり小説を入れていこうかと思います。
ときどきヘンな小説をのせてる書評ブログとして、あたたかく見逃して(見守って、でなく)くださるとありがたいです。

前のものとまったく雰囲気の違うものにしたいなと思って、今ちょっと準備しているのですが、これが自分で読んでても陰気になるような暗い内容で……。
あまりにアレなので、せめてもう少しやわらかい雰囲気にできないかと、直してます。

ブログ小説なんて、ただでさえ読みにくいので、どうにかならないかなーと一人称にしてみたり。
ああでも、これは本当は一人称では、やりたくないんです。
だって主人公が、男子高校生なんです!!
俺、とか自分が書くのが寒い。
や、やりたくねえ……。

なんか長々と言訳してますが、そういう小説が明日あたりアップされてたら、笑ってやってください。
ああでも、ホントに笑っちゃヤダー!!(どっちだよ)

(ちなみに写真は無関係な黒部渓谷)

「ねえねえ、ちょっと公園寄っていい?」
「また行くのか……?」

ふたりは公園へ。

「(小声でするどく)あっち!あっちにまわりこんで、カップルのフリして、
  自然に歩いて!!」
「(小声で)フリってなんだよ……」


こうして、ドッグランと化している公園の芝生をぐるぐる回り続け、目当ての犬を眺める私。
それに付き合わされる彼。

こんな休日デートを42回くらい繰り返した気がします。
愛犬家な私ですが、よその犬を眺めるのもスキなんです。
大好物。別腹。←?

あ、でも、見るだけで何もしてませんよ(それはそれで変質者ぽいような……)。



人は、一度巡り合った人と二度と別れることは出来ない――
遠い昔に別れてしまった恋人からの、十九年ぶりの電話。「日曜日に会わない?」と彼女は言う。
主人公の山崎は、彼女との出会いから現在へとつづく、記憶の道をたどり始めるが。



著者: 大崎 善生
タイトル: パイロットフィッシュ






「二度と別れることは出来ない」なんて、輪廻転生の物語か?と不安になったのですが、その後にすぐ「人間というものは記憶の集合体だから」という説明がつきます。
たとえ別れても、その人の記憶とともにある、という意味なのですね。

四章に分かれた、この作品。
パイロットフィッシュとは何であるかについては、作中の大切な部分なので説明しないでおきますが、水槽の中にいるような、静かな物語。
語られるエピソードは決して綺麗なものではないのですが、この主人公の一人称というフィルターを通すと、雑音が消えてしまうような、不思議な静けさが全編にただよっています。

正直なところ、四章目の半分は不要。
あまりに説明しすぎてしまっていて、この作品にとって一番大切なものである、雰囲気をそこねてしまっています。読み手をもっと信頼してもいいのでは。

そして渡辺さんを「パイロットフィッシュだった」という、主人公の昔の恋人・由希子の言葉は、唐突な気がします。それを言わせるのであれば、もっと渡辺さん家族とのかかわりを前に持ってきて、生前の彼について、こまやかに描かなくては。
読者にとっては、編集長の沢井さんの死のほうが、よほど印象的ですね。

読み手が、文学というジャンルに求めるもの、それは人生の謎や、自分という名の病に、いくつかの答えを与えてくれることではないかと思います。
そういった意味で言えば、本作にはこれといって目新しい何かは見つかりませんでした。

ただ、読んでいる間の、水槽の中をただようような静けさは心地よく、気持のいい時間を与えてくれる、佳作ではないかと思います。
良い音楽を一曲聴いたような気がする、そういう作品です。

いつも忙しく過ごしている、ちょっとくたびれ気味な方(私だな……)におすすめ。

(評価★★)

更新できるなんて、幸せ……。

実は、ムリヤリ半日休暇をとって、美容院へ行ってました!

いつもくたびれたサラリーマンみたいな日記ばかり(かといって下の記事みたいなのも寒いしな……)なので、ひさびさに乙女な話題が書けて嬉しいです。

たいしてこだわりもないくせに、北青山のオシャレサロンへ行ってる私ですが、なんと担当の人が、いきなり退職してしまったそうで。

それを伝える電話をくれていたらしいのですが、私の書いた自分の電話番号、何故か間違っていて……。 ←社会人として基本的におかしい
まあ、聞かされていたところで、どうしようもないのですが。

しかし、新しい担当の男の子が
「絶対、ステキにしますから!まかせてください!」
と頑張ってくれました。
カラーも春っぽく変えてもらって満足。

それにしても、いつもマシンガントークなこの男の子が、黙って真剣にカットしてくれてる姿は、なかなかカッコよかったです。

顔は面白いのになあ。

うちの祖母は、とても気が強いひと。

そして、自分のことしか考えていないひと。


これは悪口でもなんでもなく、事実です。私には忘れられない思い出があります。

まだ小学生だったころ、近所で火事がありました。
その時、他の家族は外出中で、家には祖母と私の二人きり。
「火事だぞー!」
と近所は大騒ぎになり、大勢の人が飛び出してきて、バケツリレーで消火活動が始まりました。その時です。

「さ、早く逃げなきゃ!!」
「おばあちゃん?」

何故か缶のようなものを抱えた祖母が、玄関を飛び出して行ったのです。
お年寄りがあんなに速く走るのを見たのは、後にも先にも、あの時だけです。

「おばあちゃん、燃えてるのは、まだ三軒先だよー!」
子供の私の叫びは届かず、祖母は遠くへ走り去り、見えなくなりました。
すぐに消防車が到着して、火事はボヤで済み、だいぶ経ってから祖母は家に戻って来ました。後から聞いたところによると、抱えて逃げた缶には、祖母の全財産が入っていたそうです。
私を連れて行くわけでもなく、我が家の貴重品を持ち出すわけでもなく、自分の大事なものだけを抱えて走り去る祖母――

というエピソードに象徴されるような温かい交流(……)を長年つづけてきたせいで、私はこの祖母が死んだ時、果たして自分が泣けるのかどうか、疑問なのです。

……泣くかもな。
そういえば、素手でゴキブリをとってくれて助けてくれたこと、あったし。
そうだ、毛虫もとってくれたっけ。
ああでも、私が飼っていた十姉妹が死んだとき、つまんでゴミ箱に捨てた ことだけは赦せないな……。

世の中のおばあちゃん話を聞くと、孫思いの優しい人ばかりで、私にとってはまるでファンタジーの世界です。

ただ、この祖母のおかげで、私はこの世の厳しさを、早い段階から教えられたような気がします。

もちろん、教えてくれなくてもいいのですが。

いま読んでいるハードボイルド、これはダン・シモンズの「ダーウィンの剃刀」という作品なのですが、これの解説者がそろって(ページを上段下段に分けて、解説者が二人いるというナゾ……)ディック・フランシスを挙げていて、不思議だなと。
まったく共通点はないと思うのですが。

ディック・フランシスと比較するような作家は、どう考えても椋鳩十くらいしか思いつかない……(いや、本気です)。

人に言ったことのない話ですが、私はフランシス作品を読んで、どうしても馬に乗りたくなり、しばらく乗馬をやってました。ここが本・書評ジャンルでなければ書けないイタイ動機。
読者をその気にさせるくらい、フランシスの馬描写は素晴しい。騎乗するときの、ゾクゾクするような緊張感は、一流の作家であり、一流の騎手であったこの人だからこそ書けるものなのでしょう。

著者: ディック フランシス, Dick Francis, 菊池 光
タイトル: 不屈







そのフランシスの、ハヤカワ・ミステリ文庫で刊行されている、「競馬シリーズ」
有名と言えば有名な、知らない人はまったく知らないのではと思われるこの作品群、「競馬シリーズ」というネーミングそのものが、新しい読者を遠ざけている気もするのですが……。
イメージされるものが、実際の作品とかなり違いますよね。

基本的には競馬業界を舞台にしているという点で共通しているものの、一作ごとに主人公は違い、その職業もさまざま。
パイロットだったり、映画スターだったり、会計士だったり、銀行員だったりと、そういったあらゆる業界を覗き見するのも、このシリーズの楽しみのひとつ。
どの作品も期待を裏切らない上質のミステリーで、おおうと唸るような一文にもたくさん出会えたり。

ただ、ここ数年の作品は、かつてのレベルより一段落ちるように思えてなりません。
フランシスが高齢であるというより、人生にすっかり満足してしまった人の作品という雰囲気があって、どうも魅力が薄いのです。

ミステリー界で最も素晴しいシリーズであるだけに、ちょっと寂しいですね。



というのが、誰にでもあると思います。

私が一番おどろいたのは、
彼女のイメージで、カクテルを」
と、お洒落バーのカウンターでオーダーしたカレ。

私はスツールからころげおちそーなくらいビックリしたのですが、さすがはプロ、カウンターの中のバーテンさんは、なんだか白いボンヤリした液体をつくってくださいました(ありがとう!)。

その彼は、たしかギョーカイな広告屋さんだったのですが、付き合ったという程の仲でもなく、その日を境に会わなくなりました。
白っぽいカクテルを見ると、今でもそのことを思い出します。

五人くらいに話して聞かせたら、五人とも爆笑でした。まあ、そうだろな……。

私はそれがイヤだったというより、百回くらいそんな真似をしてそうな、堂に入ったカンジがイヤだったのですが。

ねえ。

「戦士志願」に始まる、マイルズを主人公としたスペース・オペラ。
そのシリーズの中篇三篇を一冊に仕上げた冒険譚です。


本当は最新刊「遺伝子の使命」(原題の『アトスのイーサン』の方が合ってますよねコレ)を紹介したいところなのですが、シリーズの本筋とはあまり関係ない物語なので、マイルズ主役である、こちらを紹介。


著者: ロイス・マクマスター ビジョルド, Lois McMaster Bujold, 小木曽 絢子
タイトル: 無限の境界



これがそもそもどういうシリーズかというと、バラヤーという陰謀うずまく惑星に摂政の息子として生まれたマイルズが、口先とパワーだけで乗っ取った傭兵部隊を引き連れて提督を名乗り、あっちこっちで問題を起こしたり人助けをしたり誘拐されたり死にかけたり……(息切れ)する物語。

こう書くと陽気な冒険物のようですが、母親のお腹にいるうちに陰謀によってハンデを背負わされたマイルズが、バラヤーという封建社会のしがらみと闘いつつ、自分を獲得していく物語でもあります。

私は、この我の強い、せかせかしたマイルズというキャラクターが決して好きではないのですが、彼の諦めないしぶとさには、いつもいつも感心させられ、いつのまにか応援してしまっています。顔だけが取り柄と言われながら、いつもマイルズにいいように使われている、イトコのイワンの気持が、ちょっぴり分かるような……。

稀代のストーリーテラーであるビジョルドは、長編がとても上手。複雑な糸の絡み合った物語を、怒涛の展開でクライマックスへ持っていくのですが、本書の三つの物語を読んでみると、中篇もピシリと決まっていて、気持がいいです。

本書の中では、バラヤーの因習のこる山間へマイルズが父親の代理として殺人事件の調査に出向く「喪の山」が印象的。悩みぬいて犯人に与える罰が、とてもとても、彼らしい。

バラヤーは非常にややこしい社会なのですが、ネイスミス提督という別の名を持ちながらも、そういった自分のしがらみや出自を決して捨てることのできないマイルズだからこそ、読者に愛されているのではないかなと思います。

シリーズ既刊は、すべてお薦め。SF好き以外の方もどうぞ。

(評価★★★★★)


それは筋トレ……。

腹筋と背筋と腕立てとストレッチを忘れて、早や二ヶ月。
なんだか衰えを感じます。
一時は友達と格闘技系の教室にも通っていたとゆーのに(←どうなりたいんだ……)

ところで、用事があって品川へ行っていたのですが、あそこの駅ビル(アトレ品川)3Fのクイーンズ伊勢丹、イイですね。美味しそうなものが、たくさんありました。
同ビル1FにあるDEAN&DELUCAはキレイなんだけど、私のココロの適正価格から遠すぎるので(店員さん多いから、人件費がかかってるんだな……)、こちらでいろいろ買いましたよ。満足。

そういうわけで、へろへろ筋肉で更新が滞ってますが、明日は「まるで~」の最終話をアップしたいと思います。

いや、でもですね、ここで書かせてもらってるおかげで、心の筋肉はちょっと鍛えられた気がするんですが。どうでしょう。

(ちなみに写真は品川。ひとさまのおうちの高層マンションから撮影)
同僚のBさんは、とってもうっかり者で、あわてんぼう。

アクセルとブレーキを間違えて壁に激突してしまったり(生きててよかった……)、シュレッダーにネクタイを削られてしまったり(ネクタイで済んでよかった……)という、いまどきドラマでも見ないような失敗をしてくれる、伝説のひと。

そんな彼が好きで好きで仕方ないのは、となりの課の、とっても有能でゴージャスな女性。
それを周囲に知られているという事実を、本人のみが知りません(不倫なんかもそうですよね)。

ある日、Bさんと彼女を含めた何人かで、お疲れさま会のようなものがあって、それがたまたまバレンタインデーの前日でした。
「何かあげたほうがいいわよね」
という彼女の言葉に、後輩にあたる私がチョコレートを用意して、男性陣にプレゼント。
Bさんは彼女から手渡されたチョコに大変カンゲキしてしまい、
「さすが○○さんだよね!すごいステキなチョコで、とっても美味しかったよー!!」
と大興奮。

すみません、それ買ったの私なんです。
しかも時間がなくて、近所でテキトーに買ったチョコなんです。

どうしても言えないままでいた、それが昨年のバレンタイン。

今年は彼にも愛のあるチョコが届くといいな。