秋晴れの週末、サイクリングに出かけました。幾つもの山の細道を越えていくと桜の花が咲いています。四季桜なのでしょうか。途中の谷川には幾つもの滝が流れています。マイナスイオンが満ちています。森林浴をしながらひたすらマウンテンバイクを漕いでいくと峠らしき所に着きました。
途中には牛肉の最高峰の一つ「松阪牛」が肥育されています。牛たちがこちらを見ています。何とものどこな光景、リラックスしてストレスはゼロといった感じ。大切に育てられてるのでしょう。お昼になると牛を散歩させる人もいます。体調が悪いと牛小屋で寝泊まりする大切のしよう。ビールを飲ませては焼酎でマッサージをして血行をよくして美味しい霜降り肉に仕上げます。牛が売られていく朝、牛は涙を流すと言います。手塩に育てられた牛たちは、美味しいお肉になります。
ここは峠の山寺。無住のお寺です。本堂の脇には柿が鈴なりに実っています。だれも食べる人はいないようです。
狭い切り通しの峠を越えるといきなり視界が開けました。日本の棚田百選に指定されている石の芸術「深野の棚田」です。その広々とした景色。目を見張ります。遠くには名峰伊勢三山の局ヶ岳の鋭鋒が見えます。そして、中央には白猪山がそびえています。伊勢三山のもう一つ堀坂山はここからは白猪山の山陰になって見えていません。
かなりの急斜面です。そして、大量の石垣。石の芸術とはこのことなのでしょう。
石垣にはベゴニアが咲いています。薄紅色の花びらにはいっぱい朝露が着いています。もう少し早く来れば、雲海が見えたかも知れません。ここは櫛田川の下降霧ができて秋口に雲海になります。雲の上の棚田を見たことがあります。雲の上にベゴニアが咲くなんて。それにしても立派な花崗岩です。
ドローンによる空撮をするとこんな感じになります。右中央には伊勢三山の白猪山が見えます。標高は820m。深野の棚田は白猪山の中腹にあります。山頂には石尊が祭られていて、鹿島から神様が鹿に乗ってきてここに鎮座されたとか。春と秋には祭典が行われます。
この花崗岩の石垣、1773年、江戸時代の宝暦3年に大崩落を起こしました。1ヶ月間大雨となり棚田のある上郷地区は海になったと記録にあります。こんな斜面なのに海になるとは。そして、山頂から花崗岩が崩落して地域を土石流が飲み込みました。白猪山とは「しらいしさん」白い石の山という意味です。つまり山頂に白い花崗岩が今でも露出しています。人々は崩落した花崗岩で石垣を築きました。重機もなくふいごて運び、土を盛りました。新しい棚田の収穫量は崩落以前の1.5倍になりました。こうして、人々は災いを幸いにピンチをチャンスに変えてきました。棚田のお米は、今でもハザがけをする田んぼもあり、寒暖の差が大きいため美味しくなります。しかも100%天からの清水なので谷川の水はこの上なく綺麗です。
この空撮から見えるのは、土石流の後に集落が作られたことが分かります。白猪山中腹が夏明、長野など上郷の集落、川沿いの河岸段丘には本郷の集落があります。江戸初期の災害がいかに甚大な物だったかを集落と棚田が物語っています。夏明とは肥料をやらなくても豊かに実る田畑を言います。「米は土で採れ」という諺があります。
今日のサイクリングを4分の動画にまとめました。途中、ドローンによる空撮もご覧いただけます。4K画像なので高精細です。