日本の大学受験や資格試験における問題文とは文章構成のタイプが【 I 】で表現されているキャラクターがその原文の著者本人である文章であることが多いため、日本でプロとして活躍している翻訳者、英語教育者、大学教授の多くの人達も【 I 】で表現されているキャラクターが複数存在する台詞の掛け合いで構成されている文章には慣れていないと思います。
では何故、日本の洋楽和訳を担当する翻訳者の多くが訳文から人称代名詞の表現を省略して訳しているのかと言いますと、一人のヴォーカリストが複数のキャラクターの台詞を演じ分けるタイプの洋楽の存在を知らない、もしくは【 I 】で表現されているキャラクターが常にその文章の書き手本人である文章しか訳してこなかったなどの経験不足が考えられます。
【 I 】で表現されているキャラクターは、常にその原文の著者である!と思い込んでいる人が、それぞれの人称代名詞で表現されているキャラクターの理解のないまま、「 日本語は主語がなくても意味の伝わる言語なので主語の表現は訳文から削除して訳しましょう! 」という根拠のない迷信を信じて、訳文から人称代名詞の表現を削除して訳してしまった訳文、もしくは省略できない冠詞や代名詞の表現まで訳文から削除してしまった訳文のこと。
Mein Vater, Mein Vater, Und siehst du nicht dort ?
私の父さん 私のお父さん アナタには あそこが見えないの?
Erlkonigs Tochter am duster Ort.
暗い場所にいる 魔王の娘たちが
Mein Sohn, Mein Sohn, ich seh’ es genau;
私の息子よ 私の息子よ 私は そこをしっかり見ているよ
Es scheinen die alten Weiden so grau.
そこの古い柳は とても薄暗く見えているよ
Ich liebe dich much reizt deine schone Gestalt;
私は アナタをとても愛している アナタの美しい姿に惹かれているよ
Und bist du nicht willing, so brauch’ ich Gewalt.
アナタに アナタの気がないなら 私には暴力を振るう必要があるね
Mein Vater, Mein Vater, jetzt fabt er mich an !
私の父さん 私の父さん 今 彼が 私に触れているよ!
Erlkonig hat mir ein Leids gethan !
魔王が 私に その危害を加えたよ!
Dem Vater grauset’s , er reitet geschwind,
父親は恐怖に駆られて 彼は急いで馬を走らせる
Er halt in Armen das achzende Kind,
彼は うめき声を上げる子供を腕の中に抱きかかえ
Erreicht den Hof mit Muhe und Noth;
努力と苦労を重ねて その屋敷へ辿り着いたが
In seinen Armen das Kind, war tadt.
彼の腕の中の子供は死んでいた
【 作 詞 ゲーテ 作 曲 シューベルト 【 魔 王 】から引用 】
【 直訳とは? 】
翻訳者が下記の項目への理解が不十分な状態で、
二国間の言葉を辞書の言葉通りに取り換えただけの訳文
【 人称代名詞への理解 】
1.翻訳対象となる原文に含まれているキャラクターの総数
2.それぞれのキャラクターの性別や性格
3.それぞれのキャラクター同士の人間関係
4.その台詞が誰の台詞で、ダレに対してのどんな感情を込めた台詞であるのかの理解
5.それぞれのキャラクターの識別
【 翻訳の基本 】
1.翻訳対象となる原文における結論の理解
2.原文の中では表現されていない真のメッセージの理解
3.自分の訳文に対しての自分なりの原文への理解
4..それぞれのキャラクターへの理解
5.原文に含まれている冠詞と代名詞に代入するべき具体的な言葉の理解
6.辞書の言葉通りに直訳しただけでは意味を捉えることができない表現に対しての理解
【 直訳で訳せる文章 】
1.【 I 】【 You 】【 He 】【 She 】【 They 】で表現されているキャラクターが5人以下の文章
2.同じ人称代名詞で表現されているキャラクターが1人である文章
3.【 I 】で表現されているキャラクターが、筆者である文章
4.【 I 】で表現されているキャラクターが、筆者の創作上のキャラクターである文章
5..【 I 】で表現されているキャラクターが、複数存在する台詞の掛け合いになっていない文章
【 クラシックミュージック 魔王 台詞別 意訳 】
【 曲の主人公 】=【 語り手 】+【 父 親 】+【 子 供 】+【 魔 王 】
【 文章構成のタイプ 】=
【 I 】で表現されているキャラクターが その曲の作詞家の創作上のキャラクターである曲
【 I 】で表現されているキャラクターが複数存在する台詞の掛け合いで構成されている曲
【 歌詞の内容 】=【 地獄の魔王が 幼い子供の魂を奪っていくという物語 】
【 登場人物 】
一人目 … この曲の語り手
二人目 … 父親
三人目 … 子供
四人目 … 魔王
五人目 … 魔王の母親
六人目 … 魔王の娘たち
※人目 … 魔王と 魔王の娘たちと 魔王の母親
※ 冠詞と代名詞を含む表現に文脈の流れから読み取れる具体的な言葉を代入して訳す
【 魔 王 】
【 台詞別 意訳 】
Wer reitet so spat durch Nacht und Wind ?
夜風の中 こんな夜更けまで走っている方は誰か?
Es ist der Vater mit seinem Kind;
それは幼い子供と共にいる父親
Er hat den Knaben wohl in dem Arm,
彼は幼い少年を 腕の中に抱いているに違いない
Er fabt ihn sicher, Er halt ihn warm,
彼は子供の安全を確保しながら 子供を暖めているのだろう
Mein Sohn,
俺の息子よ
Was birgst du so bang dein Gesicht ?
何故 そこまで不安そうに顔を隠しているのか?
Siehst, Vater,
見てよ お父さん
Du den Erlkonig nicht ?
お父さんには あの魔王の姿が見えないの?
Den Erlenkonig mit Kron’ und Schweif ?
王冠と裾の長い服を身に付けた魔王が見えないの?
Mein Sohn, Es ist ein Nevelstreif.
俺の息子よ それは一筋の霧だ
Du liebes Kind, Komm, Geh mit mir !
キミは魅力的な男の子 こっちへ来て 私と一緒に行きましょう!
Gar schone Spiele spiel’ ich mit dir;
私が キミと楽しいゲームをしてあげるよ
Manch’ bunte Blumen sind an dem Strand;
私の庭園の浜辺には 色とりどりの華が咲き乱れているよ
Meine Mutter hat manch’ gulden Gewand.
私の母親は 煌びやかな服を沢山持っているよ
Mein Vater, Mein Vater, Und horest du nicht ?
お父さん お父さん お父さんには聴こえないの?
Was Erlenkonig mir leise verspricht.
魔王が 僕に約束だからねって 静かに囁いているよ
Sey ruhig, bleibe ruhig, mein Kind;
落ち着くのだ 落ち着くのだ 俺の息子よ
In durren Blattern sauselt der Wind.
不吉な風が枯葉を鳴らしているだけだ
Willst feiner Knabe, du mit mir gehn ?
元気な男の子が欲しい キミも 私と一緒に来ませんか?
Meine Tochter sollen dich warten schon;
私の娘たちも キミのことを待っているよ
Meine Tochter fuhren den nachtlichen Reihn,
私の娘たちは 毎晩のように列をなして
Und wiegen und tanzen und singen dich ein.
キミのために 軽やかに踊って歌いましょう
Sie wiegen und tanzen und singen dich ein !
キミのために 私の母親も一緒になって 皆で踊って歌いましょう!
Mein Vater, Mein Vater, Und siehst du nicht dort ?
お父さん お父さん お父さんには あそこが見えないの?
Erlkonigs Tochter am duster Ort.
薄暗い場所に潜む 魔王の娘たちの姿が
Mein Sohn, Mein Sohn, ich seh’ es genau;
俺の息子よ 俺の息子よ しっかり見ているよ
Es scheinen die alten Weiden so grau.
古い柳の木陰が 薄暗く見えているよ
Ich liebe dich much reizt deine schone Gestalt;
私は キミのことを愛している キミの美しい姿に惹かれているよ
Und bist du nicht willing, so brauch’ ich Gewalt.
キミに その気がないなら 私には暴力を振るう必要があるね
Mein Vater, Mein Vater, jetzt fabt er mich an !
お父さん お父さん 今 魔王が僕に触れているよ!
Erlkonig hat mir ein Leids gethan !
魔王が 僕に危害を加えたよ!
Dem Vater grauset’s , er reitet geschwind,
父親は恐怖に駆られて 急いで馬を走らせる
Er halt in Armen das achzende Kind,
彼は うめき声を上げる子供を腕の中に抱きかかえ
Erreicht den Hof mit Muhe und Noth;
努力と苦労を重ねて 彼の屋敷へ辿り着いたが
In seinen Armen das Kind, war tadt.
彼の腕の中の子供は死んでいた
【 作 詞 ゲーテ 作 曲 シューベルト 【 魔 王 】から引用 】
【 意訳とは? 】
翻訳者が下記の項目を十分に理解している状態で、
訳文をより自然な日本語の表現へと言い換えた後の訳文
【 人称代名詞への理解 】
1.翻訳対象となる原文に含まれているキャラクターの総数
2.それぞれのキャラクターの性別や性格
3.それぞれのキャラクター同士の人間関係
4.その台詞が誰の台詞で、ダレに対してのどんな感情を込めた台詞であるのかの理解
5.それぞれのキャラクターの識別
【 翻訳の基本 】
1.翻訳対象となる原文における結論の理解
2.原文の中では表現されていない真のメッセージの理解
3.自分の訳文に対しての自分なりの原文への理解
4..それぞれのキャラクターへの理解
5.原文に含まれている冠詞と代名詞に代入するべき具体的な言葉の理解
6.辞書の言葉通りに直訳しただけでは意味を捉えることができない表現に対しての理解
【 意訳で訳せる文章 】
1.【 I 】【 You 】【 He 】【 She 】【 They 】で表現されているキャラクターが6人以上の文章
2.同じ人称代名詞で表現されているキャラクターが複数存在する文章
3.【 I 】で表現されているキャラクターが、筆者である文章
4.【 I 】で表現されているキャラクターが、筆者の創作上のキャラクターである文章
5..【 I 】で表現されているキャラクターが、複数存在する台詞の掛け合いになっている文章
なんで洋楽がいつまでも経っても訳せないか、その原因が分かりましたか?
【 復 習 】
【 問 題 】
上記の曲における【 Mein 】=【 I 】=【 私 】で表現されているキャラクターは何人いましたか?そしてそのキャラクターは、どんなキャラクターとして表現されていましたか?
【 解答A 】
【 Mein 】=【 I 】=【 私 】で表現されているキャラクターは1人です。
そのキャラクターは【 この曲を作詞したゲーテ本人 】です。
【 解答B 】
【 Mein 】=【 I 】=【 私 】で表現されているキャラクターは4人です。
そのキャラクターは【 語り手 】と【 父親 】と【 子供 】と【 魔王 】です!
【 解答A 】を選んだ翻訳者が【 I 】で表現されているキャラクターが複数存在する原文を訳した場合、その翻訳の全てが【 人称代名詞の識別ができていない直訳 】になります。
さらに上記の例文における【 I 】で表現されているキャラクターが複数存在する文章の【 I 】を全て同一人物であると誤認して人称代名詞の表現を訳文の中から削除して訳した場合、その翻訳の全てが【 人称代名詞の表現を訳文の中から削除した訳抜けの誤訳( 原文と訳文では登場人物の総数の合わない誤訳 ) 】になります。
they usually turn out as you imagined.
If they don't,
it's because you haven't thought them through enough.
【 直訳 】
アナタ達が物事を通じて徹底的に考えるとき
それらは通常アナタ達に想像通りの結果をもたらします
もしそれらが違うなら、
それはアナタ達がそれらについて十分に考えていないからです
【 要約 】
考え方の深い人が物事を通じて徹底的に考えるとき
考え方の深い人が導き出した答えとは通常考え方の深い人に想像通りの結果をもたらします
もし考え方の浅い人が導き出した答えが想定していた答えとは異なる結果になるなら、
それは考え方の浅い人が考え方の浅い人が導き出した答えについて十分に考えていないからです
この原文は文章構成のタイプ1の原文であるため、
人称代名詞の表現を省略して訳しても誤訳にはならない。
【 原文 】 文章構成のタイプ1の原文
When you think things through thoroughly, they usually turn out as you imagined.
If they don't,it's because you haven't thought them through enough.
【 意訳 】 文章構成のタイプ1の原文
考えて考え抜いたら、だいたい考えたとおりになる。
そのとおりにならないのは考えが足りないからである。
【 松下幸之助の名言 より引用 】
【 例題2 】
【 原文 】
Don't lie to me ! This stench on you, the smell of blood.
The number of humans you've devoured isn't just a hundred or two hundred !
Stop playing the victim after killing and devouring so many people !
You're a twisted soul. I'll never forgive you.
You're the devil. I'll be the one to cut your head !
【 直訳 】
私に嘘をつくな!
アナタ達のこの悪臭、ある特定の血の匂いだ。
アナタ達が殺戮してきたその人間の数は百とか二百だけじゃないだろ!
とても多くの人々を殺して喰った後に、その犠牲者のフリをするのはやめろ!
アナタ達はある特定の捻じれた魂だ。私はアナタ達を絶対に許さない。
アナタ達はある特定の悪魔だ。私こそアナタ達の頭を切る唯一の存在になるだろう!
【 要約 】
俺に嘘をつくな!
お前たちのその悪臭、大勢の人々の血の匂いだ。
お前たちが殺戮してきた人間の数は百とか二百だけじゃないだろ!
大勢の人々を殺して喰った後に、自分が犠牲者であるかのようにするのはやめろ!
お前たちは邪悪で捻じれた魂だ。俺はお前たちを絶対に許さない。
お前たちこそ血も涙もない悪魔だ。俺こそお前たちの頭を切る唯一の存在になるだろう!
【 原文 】
Don't lie to me ! This stench on you,the smell of blood.
The number of humans you've devoured isn't just a hundred or two hundred !
Stop playingthe victim after killing and devouring so many people !
You're a twisted soul. I'll never forgive you.
You're the devil. I'll be the one to cut your head !
【 登場人物別要約 】
俺に嘘をつくな!
お前たちのその悪臭、大勢の人々の血の匂いだ。
お前たちが殺戮してきた人間の数は百とか二百だけじゃないだろ!
大勢の人々を殺して喰った後に、自分が犠牲者であるかのように振舞うのはやめろ!
お前たちは邪悪で捻じれた魂だ。俺はお前たちを絶対に許さない。
お前たちこそ血も涙もない悪魔だ。俺こそお前たちの頭を切る唯一の存在になるだろう!
この原文は文章構成のタイプ2の原文であり、
人称代名詞の表現を省略して訳しても誤訳にはならないが、
アニメの台詞であるため、人称代名詞の表現を強調したいところだけ省略しない。
【 原文 】 文章構成のタイプ2の原文
Don't lie to me ! This stench on you,the smell of blood.
The number of humans you've devoured isn't just a hundred or two hundred !
Stop playingthe victim after killing and devouring so many people !
You're a twisted soul. I'll never forgive you.
You're the devil. I'll be the oneto cut your head !
【 意訳 】 文章構成のタイプ2の原文
ふざけるな!
お前たちのこの匂い、血の匂い、喰った人間の数は百や二百じゃないだろう!
大勢の人を殺して喰っておいて、被害者ぶるのはやめろ!
捻じ曲がった性根だ。絶対に許さない。
悪鬼め…、お前の頸は俺が斬る!
【 鬼滅の刃 14巻 第116話 極悪人 より引用 】
【 例題3 】
私が考えた文章構成のタイプ3の原文(複数のキャラクターの台詞で構成されている文章)
この原文における直訳、誤訳、要約、意訳の翻訳品質の比較
【 原文 】
I'm Yamakawa the recruiter for this company. Thank you for coming to our company's interview today.
Please tell me your name. Nice to meet you, my name is Yamazaki.
Your name is Yamazaki? It's similar to mine !
Today's interview looks like it will be a productive time for both of us.
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Please tell me your name. Nice to meet you, my name is Yamazaki.
Your name is Yamazaki?It's similar to mine !
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西洋と日本の文化の間では人称代名詞の使い方の感覚が全然違うことを理解している。例えば、その原文の著者以外のキャラクターの台詞が文章に含まれていた場合、日本ではその台詞を発しているキャラクター目線【 I 】を使用して、そのキャラクターの台詞を表現するが、西洋の言語の場合、その原文の著者目線【 He 】【 She 】【 They 】などを使用して、そのキャラクターの台詞を表現する。
【 文化の理解 中級 】 西洋文化における擬人法(配点5) 原文を要約できるレベル
【 I 】【 We 】【 You 】【 He 】【 She 】【 They 】で下記のキャラクターを表現する。
西洋の言語とは原文に含まれているキャラクターの総数を理解できなければ訳せません。何故なら西洋の言語における人称代名詞の種類はたったの六種類しかないからです。その六種類の人称代名詞の表現で登場人物の総数が7人以上の文章を構成するため、【 I 】で表現されているキャラクターが何人いるのか? 【 You 】で表現されているキャラクターが何人いるのか? を自分の頭で理解できなければ、まったくお話になりません。
では何故そんなことが起こってしまうのかと言いますと、西洋の言語における人称代名詞の種類は【 I 】【 You 】【 He 】【 She 】【 They 】しか存在しておらず、原文に含まれているキャラクターがどんなに多かろうが、一人称の表現は全てのキャラクターにおいて【 I 】で統一され、二人称の表現も【 You 】で統一されてしまうからです。