マドロミという女の子がいました。


マドロミはとても寝ることが好きな女の子です。


マドロミはこう面白い事がないかと、毎日模索しています。


マドロミはネット上どこかにいる友達のムゲンちゃんに聞きます。


「ねえ、なにか面白い事はないだろうか?退屈で死ぬ。」


ムゲンちゃんは回答します。


「ありません。」


マドロミは思いました。


「あーつまんない。」と。



マドロミという女の子がしました。


マドロミはとても寝ることが好きな女の子です。


マドロミは世界がマボロシでできている。

それに気がついてしまったのです。


昨日の景色は今日になったらマボロシ。

今日の景色は明日になったらマボロシ。

明日の景色はその次の日にはマボロシ。


マドロミは思います。

「私が今いるという事、それすらもマボロシ。では本当のワタシハドコニイルノデショウ?」


マボロシにはムゲンちゃんという友達がいます。

ムゲンちゃんは物知りなのでマドロミの質問について適切な回答をしてくれます。

マドロミはネット上どこかにいるムゲンちゃんに聞きます。

「私は思うんだが、私はマボロシ。あなたもマボロシ。今こうして質問している事もマボロシ。では私は誰なんだろう?」


ムゲンちゃんは回答します。

「あなたはマドロミ。寝る事が好きな女の子。でも今日のあなたは明日になればマボロシ。明日のあなたもその次の日になればマボロシ。でも、あなたはマドロミという女の子。ただそれだけの事。」


マドロミはつぶやきます。

「私はマドロミ。でもマボロシ。ただそれだけの事。」

マドロミという名前の子がいました。


彼女はとても眠る事が好きな女の子です。


瞼を閉じると、どこからともなく霧のように進入してくる睡魔が彼女を別の世界に連れて行ってしまいます。


その世界で彼女は主人公でありながら、どこか映画を見ている観客のような主体性の無さが入り混じった、不思議な感覚に包まれてしまいます。


眠るたびに話の内容が変化をするのですが、いつも話の内容、特にエンディング部分を逃してしまいます。


毎回夢から現実世界へと引き戻されると、何事もなく時間が過ぎていく。

この繰り返しです。


マドロミは思います。

「ああ、この世界は現実なのだろうか?それとも夢なのだろうか?」


そんなマドロミには友達がいます。ムゲンちゃんという女の子です。

ムゲンちゃんとは、ネットで知り合いました。

ムゲンちゃんは不治の病気に侵されていて、余命三年と宣告されているという話を聞かされていました。


マドロミはチャットでムゲンちゃんに聞いてみました。

「ムゲンちゃんさー、この世界は夢なのではないだろうか?なんかリアルな感じがしないのだが。」


ムゲンちゃんはとても物知りな女の子のようで、質問に対していつも的確な回答をしてくれます。

「それは多分、うつなんじゃないだろうか?」


次の日、マドロミは心療内科に行って、抗うつ剤を処方してもらいました。





僕が初めてリリーとであったのは、日が落ちて薄暗くなった夕暮れの事だった。

彼女はとても目の大きく、マルボロを休み無く吸い続ける女の子だった。


一目ぼれだった。

その子の言動はとてもおかしくて僕は、その一挙一同足に夢中になってしまった。


内容は全くなかったが色々な話をした。

最後彼女は、いつの間にか違う男と一緒に遠くに歩いて行ってしまった。


そんな夢を見た。

少し物寂しさを覚えたが、それは全く無かったかのように僕の日常はまた始まってしまう。


リリーフランキー

「実はね」


こう女の子に言われると、冷たい水分が背中を流れ落ちるのを感じる。


僕は一度だけ、浮気をしたことがある。


その時の相方がたまたま一緒にテレビを見ていたときに「実はね」と口を開いてきた。


「はい?」

と少し動揺が声色に表れてしまった。


続けて、相方は

「いい、なんでもない。」と言って会話はそこで終わってしまった。


なんだろか?なんだろか?

変に気になる。


そこで、TV番組が調度彼氏の浮気調査をするという内容だったので、

「ははは、大変やなあ~。こういう男はどうよ?」となんとなく探る感じで聞いてみた。


「うーん、まあ相手も浮気してるんだったら、浮気しても仕方ないよね~。」

とそっけない返事が返ってきた。


あれ?なんかおかしいぞ?

「そういうもんかなあ~。。俺はやだけどなあ~。。」と浮気は嫌いだみたいな感じで言ってみた。


彼女は続けて言った。

「あのね、私言わないといけない事があるの。。」


もしかして?

「なにを?」段々心臓のリズムが変調してきた。


「私、知ってるの。あなた、浮気したでしょ?」


「うん。」反射的にそう答えてしまった。


数秒間の沈黙の後彼女はこう言った。

「冗談のつもりで言って驚かそうと思っただけなんだけど、まさか、、ね。。」

そういうと泣き出してしまった。


しまった。。

完璧にまずった。。

面倒臭いことになってしまった。


「いや、なんか急にそんなん聞くからさ。なんか、びっくりしてそう言っちゃったんだけど。。」

力技でなんとかするしかないと思った。


「もう、いいって!なんか前から怪しかったんだ。。それであなたの携帯見ちゃったし。。私、知ってたし。。」

鼻水の音がじゅるじゅる聞こえる。


「て、おい何俺の携帯見とんじゃ?」

力は技を制す。俺に技は効かない。


「もう、いいって!もう、終わり。。もう、いい分かれる。。あのね、もしあなたが嘘でも浮気してないって言ってくれたら、もう別に見てみないふりしようと思ってたけど。。それに、今だからいうけど私も浮気してたし。」


「はあ?」

話がよく分からなくなってきた。


「あんたの友達と私、この部屋で何回もやったし。聞いてみなよ。あんたの携帯見た後、私もうどうでもよくなって。。」


「はあ。。」

ああ、なんかボタンの掛け違いが起こっているようだが、もうサイは投げられてしまったようだ。


という具合に人間関係がめちゃくちゃになるので、信頼関係は大事にしないといけないと思いました。


あるところに、NHK教育を見るのが好きな高校生の男の子がいました。

家に帰るとちょうど、おかあさんといっしょという番組が始まる時間帯なので毎日かかさず見ていました。

番組中、ぐるぐるどかーんと連呼するコーナーがあるのですがそこでは一緒に

”ぐるぐるぐるぐるどかーん”と叫んで、椅子を蹴飛ばします。


妹はそんな兄をとても冷たい目、いやもう目にも入れたくないというような感じで

目の端あたりに抑えるに留めていました。


”もう、死にたい”

高校生の男の子は番組が終わると決まってそういいます。


その後、部屋に戻ると男の子はギターを手に取り

”ぐるぐるぐるぐるどかーん”とサタニックヴォイスで叫びながら、

スラッシュメタルなフレーズを奏でます。


そんな混沌とした家庭から抜け出したい妹は

ひたすら、お金を貯めてデイトレードをするための軍資金にしようとしています。


「お兄ちゃんがああなってしまったのは、全てあのぐるぐるドカーンのせいだわ。。」

「NHKの受信料は払っていないのに、何故かあの悪魔の映像が無造作に我が家の居間に流れてくる。。」


「ぐるぐるぐるぐるどかーん!」

お兄ちゃんは部屋でクライマックスを迎えましたとさ。



とても大きな川の河川敷に座ってぼーっと対岸に広がる街を眺めていると、

その街はまるでレゴでできているおもちゃの街のように見えました。


電車が数分置きに、ひっきりなしに川を跨いでかけられている橋の上を

轟音をとどろかせながら人を僕の座っている岸からコンクリートでできた街へ、

コンクリートでできた街から僕の座っている岸へ向かって走っていきます。


良く晴れた日でしたが、摩天楼は太陽をそのガラス張りの体に反射させ

微塵も動じる事なく聳え立ち続けています。


日が落ちてくると、川辺は岸に向かって吹く風で居心地が良くなってきます。

僕は階段を下りて、増水時のための防波堤に寝転がりずっと空を見ていました。

地面はたくさんの太陽の熱を吸収していてとても暖かく、周りの気温とあいまって夏を感じさせてくれました。

寝転がると、空の青がいやおうなしに目に入ってきて

日頃そういえば、こうして上を見上げる事って少ないなあと気づかせてくれます。

雲はまったく動きを見せずその巨大なふわふわとした体を青い色に漂わせていました。


おもちゃの街は日が暮れ始めると光を放ち始め、

その街へ相変わらず人や車や電車が吸い込まれ吐き出され、その動きを早めているかのように感じさせてくれます。

あのビルの中では、誰がどんな事をしているのだろうか?

笑ったり、泣いたり、怒ったり、食べたり、飲んだり、働いたり、犯罪を行ったり、夢を見たり、寝たり。

何故あんなに大きな街があそこにはあるのだろう?

どうしてこんなに急いでいるのだろう?


でも、こうして寝ている間僕にはそれが一枚の大きな絵にしか見えない。


次はあの絵はどんな姿になっているのだろうか?


男はおじいさんに目隠しをしました。

「おじいさん、どうですか?何も見えないでしょう?」


おじいさんは確かに何も見えません。


「昔の事を思い出してください。その初恋の女性の方とは初めていつ会われたのですか?」


おじいさんは思い出せません。


「では、その方の名前はなんというのですか?」


おじいさんは思い出せません。


男はおじいさんの目隠しをとって、息子に言いました。


「どうやら、おじいさんは思い出せないようです。」


息子は見て分かると思いました。


風体の怪しいこの男はマッサージ師で副業で催眠術もしている男でした。


おじいさんと息子はマッサージ屋を後にしました。


「そうそう、うまくはいかないさ。」


息子は少し申し訳なくなってきました。


「いい。恐らく思い出さない方がいい事なのだろうて。すまんなあ。」


おじいさんは、そういった後何かを思い出したようでした。


「おお、実はな。お前はわしの息子ではないんだ。」


「知ってるよ。」


息子は即答しました。


「なぜ知っている?今までお前にこんな話をしたことはないだろう?」


「だって、あなたは私の嫁のお父さんじゃありませんか?」


「何だって?じゃあ、わしは誰なんだ?」


「あなたは、私の嫁のお父さんです。」


二人は家に帰りました。


嫁は父親がボケ始めてから、ノイローゼになってしまい旦那に世話をまかせきりになっていました。

旦那はショック療法のように、今回やり残した事を叶えてあげる事でおじいさんの症状がよくなることを

期待しましたが、結果としてうまくいきませんでした。


「おい、息子やうまいうなぎが食いたい。」


おじいさんは今日もわがままです。




息子は面倒臭くなっていました。

少し、切れ気味に言いました。

「もう、夜の9時だし、親父のわがままはこれで最後だ。」

おじいさんは

「ああ、分かった。」

とだけ言いました。


「欲しい女はな、、初恋の人。」

とおじいさんは付け加えました。


「初恋の人かあ、その人どこにいるのか知ってんの?」

息子はもう無理だわという感じで聞き返しました。


「知らん。どこにいるか、結婚しているか、生きているか、死んでいるか、名前すらももう忘れてしまった。」

おじいさんは淡々とそう言いました。


「じゃあ、探しようがないだろう。」

息子はイライラして死にそうです。


「そう、探しようがない。たとえ探せたところでその人は自分が知っている人とは、姿形、性格、全て変わってしまっているだろう。」

おじいさんは言いました。


「要は、親父を昔に戻すしか方法はないという事だろう?昔かあ、昔かあ、ああ、昔ね。」

息子は閃きました。


「よし、分かった合わせてやるよ。」

息子はそういうとネットで何かしら調べて、おじいさんと一緒にある場所へ行きました。


「予約がないと困るんですよ、しかも今何時だと思っているんですか??」

息子は風体の怪しいその男に事情を説明し、そこをなんとかと頼み込みました。

そして、承諾を得る事ができました。


建物内の一室に通されると、おじいさんは椅子に座るよう促され、そして目隠しをされました。


風体の怪しい男は言いました。

「では、始めますよ。」


つづく






おじいさんの欲求を満たすために息子は一日付き合う事となりました。


とりあえず、おじいさんはものすごい豪華な飯が食いたいと言いました。

年も年なのでそんな脂っこいものも食べれないという事もあり、

うなぎがいいという事になりました。


そして、二人はうなぎを食べに行きました。

あくまでも庶民なので、そこまで高いうなぎは食べさせられないので

2千円くらいの特上うな重を食べさせる事にしました。


ぼそぼそと、パリパリに焼きあがった皮を口に運びながらおじいさんは、

「うん、うまい」と言いました。


おなかが一杯になったおじいさんは次に、

「海外へ行きたい。」といいました。

息子は困りました。

「海外かあ、、今から海外へいくのは九州からフェリーで韓国か、、」


とりあえず息子は車を運転して近場の港へ行きました。

そこで、船の掃除をしている猟師に頼み込んで船をだしてもらいました。

船の上で息子は言いました。

「ほら、海外だ。」

おじいさんは「おお、ここが海外か。。」とポツリと遠くを見つめながら言いました。


港へ戻り、おじいさんは言いました。

「悪い事がしたい。」

息子は困りました。

悪い事をして刑務所に入れられたらたまりません。しかし、約束は約束なので。。


暑い日だったので、近くの立ち飲み居酒屋に入りました。

そして、息子は生中を二つ頼んで二人で飲みました。

息子はいいました。

「平日の真昼間からお酒を飲んで、ブラブラして世間体が悪いだろう。宗教によったらこれはとても悪い事だし。」

おじいさんは言いました。

「ああ、確かに悪いことだ。申し訳ない気持ちで一杯だ。。」

二人でおいしく飲み干しました。


少しお酒も入りほろ酔いになったところでおじいさんは

「女が欲しい。」

と言いました。


息子はもう面倒臭くて、家に帰りたくなってきました。


つづく