現実の生活と砂の女
男は学校の先生で既婚、趣味は昆虫採集。
自分の名前を冠した新種の昆虫を探しに寂しい砂丘にやってくる。
あちこちに砂の巨大な窪みが有り、
それぞれの底には家がある不思議な光景だ。
まばらな時刻表のバスに乗り遅れた男は、仕方なくハシゴを使って、
蟻地獄の底のような場所にある一人暮らしの女の家に一泊する。
次の日の朝、ハシゴが外されており砂の外の世界には帰れない。
一泊のつもりがハシゴが無いので元の生活に戻れない。
何度もトライしても脱出できない。
あきらめた男はそこに住む女と生活を始める。
その生活の中で、いろいろ工夫をして自分の世界を作り始める。
砂の底の家でのいろいろな楽しみを増やしてゆき、
その家の女とも男女の仲になる。
ある日、同棲しているその女が妊娠する。
厄介な妊娠の仕方だったので女の容態が悪くなり、
砂の底から村人を呼んで病院に運んでもらう。
砂の底と外の世界を繋ぐハシゴは、村人が忘れて架かったまま。
読んでいる外の世界の自分(私)は、「やっとこんな所から出られる」と。
そしてこの重苦しさから開放されるのだと思った。
でも、この本の中の男は逃げ出さない。
そう、逃げ出すなどという考えすらなくなっている。
なぜなら、すでに砂の底が生活の全てになっているから。
阿部公房 の 「砂の女」 のあらすじです。
砂の底にいても、外の世界で先生をやっていても、
つまるところ人は自分の世界を生きているだけなのです。
私はこの小説のあらすじを例え話でよく引用します。(小)
なべさん鐵工見学
なべさんところの会社を見学させていただきました。
特殊コレットが主な仕事だと聞いておりました。
コレットとはドリル系の回転工具とか、
旋盤で削りたい物をつかむ部分で、
とても精密なものです。
ここの会社のすごい所は、
所有している機械がほとんど動いていないところです。
ヒマな訳ではありません。
品物が特注なので、その品物にピッタリな機械を選定して加工するという、
何とも贅沢な加工方法なのです。
一台、何万、何十万円の機械ではありません。
それらが惜しげもなく次の加工の機会を待っているのです。(機械と機会は偶然です)
どちらかと言うと、切削(硬い刃物で削る)よりも研削(精密に砥石で削る)が主なようで、
見学させていただいて、「なるほど、これなら1ミクロン以内が狙えるな」 と、思いました。
詳しくは、秘密の漏洩になるので言いませんが、
しっかりした良い機械を使い、加工と、測定と、検査をどれだけキッチリやるかです。
私たち試作業(モデル屋)は3D形状の再現とキレイさを主に追い求めてきたので、
精度に胸を張れる所は少ないのではと思います。
なべさん。貴重なお時間をありがとうございました。(小)
何かこう…技術展
7/7~9 ポートメッセなごやで開催されていました、
難加工技術展2010に行ってまいりました。
どうも、日刊工業新聞社様主催の展示会には人が集まらん。
どうも、そんな気がします。
狙いがコア過ぎるなのかもしれません。
昨年、同主催のインテックス大阪での微細精密加工展2009に、
出展しておりましたウチが言うのですから間違いございません。
特に出展各社様にはお気の毒としか言いようのない閑散さで、
3日トータルで10,000人は入っていないでしょう。
(速報値では2日でまだ6000人くらい)
その中でも、中身の濃いすばらしい内容のご商談があった事を、
不景気に四苦八苦しておりますワタクシからではございますが、
心からお祈り申し上げます。
合掌。
さて、いつも出張は新幹線のグリーン車(緑の座布団持参での自由席)
と決めておりますが、本日は、名古屋行き。
ウチの(中)工場長に薦められまして、近鉄特急に乗りました。
少し古い車体らしく、揺れで食している弁当が箸から落ちたほどで、
そのすばらしい乗り心地に、感謝、感謝、ああ感謝です。
さて名古屋に着いたのが午後3時前。(閉会は午後5時)
タクシーに乗るやいなや、横山やすしのごとく、
「運ちゃん、ポートメッセなごやまで急いでや!」
「にいさん、関西の人?」(にいさんって年や無いんスけど)
「いや、ワテ、江戸っ子ですねん」(それ、鶴光のネタや)
と、不毛な会話の後、ポートメッセなごやに、
フリスキーを前にした猫のごとく、まっしぐらにタクシーは進みます。
「ピピピッ…」 到着。
¥6,800也…。
「大阪-名古屋より高いやんけ!!怒るで、しかし!!!」(小)