・ 山口大学教育学部附属小学校の塗膜の分析では、全ての塗膜中鉛は0.5%を越え、最高値が8.64%、最低値が0.53%で、附属幼稚園にある塗膜の全てが0.06%のアメリカの基準を越えていました。
また、0.5%を越えていたものは6か所で、最高値12.83%~最低値0.50%の範囲でした(入江ら、1997)。
このように、鉛を含んだペンキは日本でも使われており、子どもたちの鉛中毒の原因となる潜在的可能性があります。
その後、この学校・幼稚園では、鉛系のペンキを使用した遊具は、ほとんど撤去し、塗り替えの塗料は鉛を含まない水性塗料を使用しているようです。遊具も自然素材を生かすものに転換したそうです(私信、2002)。
塩化ビニルには安定剤として鉛やカドミウム化合物が使われていることがあります。アメリカでは塩化ビニル製ブラインドが古くなり、その中に含まれていた鉛により子どもが中毒になった事件があります。塩化ビニルなどは安全なものと考えないで潜在的な鉛源として考えるべきかも知れません。
鉛は一般廃棄物や有害廃棄物焼却工場の煙から排出されることが知られています。周辺の環境中鉛測定はほとんどされていません。
ダイオキシンで問題になった大阪府大阪府能勢町のごみ焼却施設と同型の37施設を環境庁が調べたところ、9割に当たる33施設の冷却水から水銀、鉛などの重金属が検出されています(朝日新聞1998年12月16日)。
また、埼玉県東部のごみ焼却場周辺の民家のほこりに、日本の土壌平均の数十倍から百倍以上の鉛が含まれていることが、日本工業大学の佐藤茂夫助教授の調査でわかりました(毎日新聞1998年10月22日)。
このように焼却場周辺では高濃度の鉛汚染が発生する可能性があります。
地表に浅いくぼみを作り焼却灰を捨てていますが、鉛は壊れてなくなることは永遠にありません。
鉛の寿命と比較すると最終処分場の底に敷く薄いプラスチックシートはごく短い寿命しかもっていません。
いずれ漏れだしてくるでしょう。
さらに、現在降っている酸性雨は鉛を含む金属を溶けだしやすくします。
このようなやっかいな重金属を浅いくぼみに捨てることは再考を要します。
鉛中毒は、過去のものではありません。最近の日本でも、貧血を起こした女性を検査したところ、血中に高濃度の鉛が検出されています。
有害無益な鉛の環境中濃度を高めるような行為は認めるわけにはいきません。
廃棄物処理法の最悪な方法の1つである焼却や、廃自動車を野積みにして雨に曝しておくといった行為は、一般人に対する人権侵害です。
また、狩猟や魚釣りをする人も、もし最終処分場や焼却場が不安であるならば、散弾や重りに使われている鉛について考えてください。
用途
蓄電池・塗料・プラスチック安定剤・ブラウン管・クリスタルガラス・陶磁器の釉薬・ハンダ・プリント基板・小型シール鉛蓄電池・ 絵の具のチューブ・プラスチック着色剤(赤と黄)・その他