本日、市議会臨時会が開催され、大和市の令和7年度予算は可決・成立しました。
先日、私が書いたブログでは今後行政が取り得る手法として
「暫定予算(期限を決めて、問題となっている点以外の予算を通す)」
「骨格予算(義務的経費だけを通して、それ以外は問題となっている点も含めて全て先送りする)」
「専決処分(議会はとりあえず無視して、予算を執行する)」
の3つを挙げました。
しかし、結果的にはそのどれでもなく、市長は24日に否決された自民党提案の修正動議をほぼ丸のみした
「修正予算」
を作成し、ギリギリ年度内に再提出・可決させました。
これは市長側からすればほぼ「無条件降伏」に等しいので、私も想定外でした。
市側は、例えば議会の予算も削るとかアニメイベントをやめるなど、なんらかの対抗策を併せてくることも予想されましたが「市民生活への影響を回避するためにはなりふり構わず、とにかく予算の成立を最優先にする」という異例の選択をしたことになります。
その修正の内容は以下のとおりです。
①「放課後のこどもたちのスポーツ事業」を約284万円減額
②「歌謡イベント開催事業」を全額削除
③「県人会の方たちを中心とした、うまいもの市開催事業」を約350万円減額
④「青少年の国際交流事業」を全額削除
合計約851万6千円を縮減
ちなみに24日に否決された自民党提案の修正動議の内容は、
①「放課後のこどもたちのスポーツ事業」を約384万円減額
②「歌謡イベント開催事業」を全額削除
③「県人会の方たちを中心とした、うまいもの市開催事業」を約350万円減額
④「青少年の国際交流事業」を全額削除
合計約951万6千円を縮減
でしたから、変更された点は「①の減額幅が100万円回復された」だけです。
この修正予算案に対し、可決に必要な票数は14ですが
賛成:自民党(9)、公明党(5)、神奈川ネットワーク運動(2)、北島氏(立憲民主党)、私の所属する自由クラブ(3)の合計20
で可決されました。
自民党と神奈川ネットワーク運動は24日に否決された修正動議とほぼ同内容ですので賛成するのは自然であった一方、公明党、自由クラブ、北島氏は修正動議に反対していたにも関わらず、ほぼ同内容の修正が加えられた予算に一転して賛成することになりました。
これについては、
「修正された事業内容については議員からの意見・要望に十分配慮したものである」
「市民生活に影響が無いよう、円滑な予算成立を期すことから賛成する」
「様々な議員の意見を取り入れたものであるから、単に反対というわけにはいかない」
などの発言がありました。
いずれにしても、前回は修正動議に反対であった議員が今回の修正予算に反対すると賛成が11に留まって予算が成立しないことから、市民生活に悪影響が出る事態を回避したいという心理が働いたと考えられます。
結果として、先日の修正動議は否決されたものの、当初予算を否決することで行政や修正動議に反対した議員を揺さぶり、最終的にほぼ完全に要求を飲ませたわけですから、今回は自民党の粘り勝ち、作戦勝ちだったのではないでしょうか。
市長と議員のそれぞれが市民からの投票によって選ばれ、市長は予算を提案できるが議決できず、議会は予算を提案できないが議決できるという「二元代表制」ならではの攻防戦だった一連の騒動。
いったい本当の勝者は誰だったのか、それとも元から勝者のいない戦いだったのか・・・その答えは今後の市民のみなさまの評価に委ねられることになるでしょう。