久しぶりにブログを書いてみました。
以下の内容は昨年の7月に視察した青森県むつ市の「むつぼし健康マイレージ事業」についてです。
こういった行政視察の報告書は市役所で申請すれば見られるのですが、なかなかそこまでして読んでみようという方は稀です。
そこで、「報告書なんて誰も読まないんだからどっかからコピペすればいいや!」ということで今時は大学生でもやらない、わかり易すぎるコピペで報告書を出し、問題になる議員が出ています。
『<岡山県議>海外視察報告書使い回し 同じ変換ミスもコピペ』
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180131-00000004-mai-soci
問題になっていなくても調べればこういうのいっぱいありそうですが・・・・
と、よそのことはさておき私が市議をしている大和市では、海外視察は認められませんし、新幹線で37分のところを2時間半かけて鈍行で行かされたり、二千円代でホテルを探せと言われたりと、市役所に厳しくもしっかりと管理されております(笑)
もちろん報告書でこんなことやってたら到底受理されないと思います。
さて、前置きが長くなりましたが、実は青森県は全国一の短命県として有名。
男性の平均寿命でなんと40年以上(女性も20年ほど最下位)全国最下位を守っています。
わりと観光地とか、大成功して全国的に視察申し込みが殺到している自治体を視察したがる議員さんが多いと聞きますが、私たちの会派「明るいみらい大和」ではなるべく課題の多い地域(先方には失礼ですが!)にあって、現在進行形で戦っている自治体の取り組みを視察しようというポリシーがありまして、毎回視察先では「どうやってウチのこと知ったんですか?」とか「こんなところまでよく来ましたね!」と驚かれます。
そして今回(といっても半年以上前ですが)も始発から6時間以上かかって「むつ市」に到着。

以下は実際の報告書です。
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青森県は全国一の短命県であり生活習慣病での死亡率も高い。昨今、青森県では県を挙げて健康事業に着手しているところであるが、今回は最も人口が少ない地域医療圏である下北区域の中心都市であるむつ市の取り組みを調査した。
【下北地域の医療について】
むつ市は下北半島の中心都市であり、大間町、東通村、風間浦村、佐井村などと下北地域を構成している。人口は約5万6000人。
県内の多くの中小都市同様、人口減少都市である。
圏域の医療資源をみると病院及び一般診療所数は人口10万人対比で全国平均を下回っているが有床診療所数及び一般診療所の病床数は全国平均を上回っている。病床利用率や平均在院日数をみると療養病床の利用率が92.3%(県90.8、全国89.4)、療養病床の在院日数が211.6日(県131.6、国164.6)となっており、圏域の面積が大きいうえ医療資源が偏在している影響が伺える。
むつ市の保健師によれば患者が退院しても在宅で療養することが難しいためこのような数字になっているのではないかとの事だった。

【むつ市の健康事業】
むつ市では、平成27年に「むつ市健康づくり宣言」をし、おおむね全県的に取り組まれている40~60代の死亡率を低下させる事業に加え、むつ市で顕著にみられる喫煙率の高さ(40代女性で25%、20代男性で60%など)等を健康課題として様々な取り組みを行っている。
例をあげると、社員の健康づくりに積極的に取り組む事業所を認定する「すこやかサポート事業所」認定制度、弘前大学と連携して地域の健康リーダーを育成する「健やか隊員」育成プログラム、市庁舎敷地内の全面禁煙の実施、ヘルシーバランス弁当の開発などがあり、それらの一つが今回調査した「むつぼし健康マイレージ事業」である。

【むつぼし健康マイレージ事業の概要】
「むつぼし健康マイレージ」は様々な健康増進へのチャレンジを設定し、それを達成するごとにポイントがたまり、1000ポイントになると地元商店で割引が受けられる健康マイレージカードと地元商店で使える商品券がもらえるというもの。
ポイントはチャレンジシートに書き込んでいくか、スマートフォン用のアプリで集計する。
またこのアプリではウォーキングアプリにもなっており、ゲーム感覚でウォーキングが楽しめる工夫がされている。
このアプリは平成28年にNHKで特集されたこともあり、現在までに4500件ほどがダウンロードされている。
この事業は各課横断のプロジェクトとして取り組まれ、経費は初年度約1300万円(うち開発費約450万)、昨年度約530万円、今年度約570万円となっている。年間のランニングコストはおよそ80万円~110万円程度。その他は仕様変更などにより年度での経費にバラつきがある。財源構成としては現在は3分の2が県費である。
成果としては、冬は雪が多い地域でありながらこの事業によってウォーキングに取り組む人が増え、各種検診での結果でも効果が現れてきていると言う。一方、課題としては一度チャレンジをクリアしてしまうと、満足してしまって反復に繋がらなかったり、健康への意識が低い層へアプローチが十分できていないこと、健康マイレージカードの協商店を増やす必要があることなど。

【本市に活かせること】
大和市でもヤマトン健康ポイント事業を行っているが、むつ市のウォーキングアプリ「むつぼしWalker」は非常に完成度が高く、本市でも同様のものが導入できれば各種健康事業、また昨今力を入れている「ウォーキングの普及」にも効果的であろう。
また本市では万歩計を配布するなどの取り組みをしているが、このアプリに代替することも可能である。むつ市の健康事業については、この健康ポイント事業だけでなく、さまざまな形でアプローチを行っており非常に参考になった。特に子どもたちへのアプローチという点でも積極的で、子ども発信での食生活改善、禁煙を狙って中学校で6コマの授業時間を確保し健康教育をしたり、「健康川柳」を募集したりとユニークな取り組みをしている。
喫煙率の高さや市民の10.2%の人が1日3合以上飲むという飲酒習慣の改善は気候や風土、地域の週間に因るところが大きいことから、これらの取り組みは必ずや近い将来、地域の健康増進に活かされるであろうし、健康都市を標榜する本市でも見習うべき取り組みである。
以上