昨日の市議会で令和7年度当初予算(4月からの予算)が否決されました。
大和市議会で通常議案が可決されるのに必要な「過半数」は14ですが、
賛成:公明党(5)、立憲民主党(2)、維新の村田氏、私が所属する自由クラブ(無所属議員の会・3)の計11にとどまり、過半数に達しませんでした。
おそらく大和市議会史上初めてのことで、全国に約1700ある地方自治体でも例年10に満たない程度しか見られない異例の事態です。
では、今回の大和市は何が異例だったかというと最大会派である自民党(10・ただし議長を除くので9)が全員で否決に回った、ということです。これは前市長の時でさえ1度も無かったことです。
どういう経緯だったかというと、まず自民党はこの当初予算の議決に先だって「予算の修正動議」を提案しました。
修正案の内容は、財政難のため
① 「放課後のこどもたちのスポーツ事業」
② 「歌謡イベント開催事業」
③ 「県人会の方たちを中心とした、うまいもの市開催事業」
④ 「青少年の国際交流事業」
の4つの事業を削除あるいは減額して、総額約951万円を縮減するというものです。
しかし、これは
賛成:自民党(9)、神奈川ネットワーク運動(2)、元参政党の星野氏の計12にとどまり、否決されました。
もしこれが可決していれば予算は「修正可決」され、これも異例のことではありますが「予算が決まらない」という結果は避けられました。
自民党もこれをきちんと理解していて、代表者の説明によれば、当初は①~③を全額削除という内容だったものを①と③は減額とし、神奈川ネットワーク運動の賛成を得るために④を追加するなど市政の混乱を避けるために最大限努力をしたとのことでした。
ところが本会議では複数の議員から
「新たなイベント(大和駅東側プロムナードやシリウスでアニメや漫画、ゲームなどのイベント)の開催には約403万円を計上しているのに、それは削減しないのか。自分たちのやりたいことはOK、市民の声を受けて市長がやろうとすることはダメ、というのはおかしい」※3/28の臨時議会にて発言者から訂正がありましたので該当部分を削除しました(3/28 17:06)
「私たち市議会は自分たちが使うタブレットのために約1315万円を予算計上しているが、この額は自民党提案の削減額(約951万)を大きく上回る。お金が足りないならこれを1年先送りにしても良いのでは」
「議員の報酬は減らさずに、こどもや地域の方々のための予算から削るのは理解が得られない」
などの発言が相次ぎ、結果的にこの修正案は過半数の賛同を得るまでには至らず、予算の修正動議は否決されました。
こうなった以上、修正案に賛成した議員は当初予算に反対しなければつじつまが合わなくなりますので、自民党、神奈川ネットワーク運動、星野氏(計12)が反対にまわり、「修正動議に関わらず当初予算には例年反対」の2会派(計4)と合わせて16人が反対。当初予算は否決されました。
今年度の終わりまであと1週間。大和市は4月から市民の生活に深刻な影響が出ないように
「暫定予算(期限を決めて、問題となっている点以外の予算を通す)」
「骨格予算(義務的経費だけを通して、それ以外は問題となっている点も含めて全て先送りする)」
「専決処分(議会はとりあえず無視して、予算を執行する)」
のいずれかを選択することになります(説明は今回のパターンを最大限わかりやすくしたものです。正確には色々あるのですが、かえってわかりにくくなるのでご容赦ください)。
ちなみに、もしこのまま予算が通らなくても、アメリカの予算否決と違って4月からいきなり図書館や市役所が閉鎖などということが無いように日本の制度はできていますので、市民のみなさまにとってはあまり影響を感じないと思います。
とは言え、数カ月先のことを見てみると、例えば中学校の体育館にエアコンを設置する事業に約3億3704万円、学校給食の食材費高騰に対する対応で約2億1426万円など、自民党の否決された修正案とはケタ違いの事業がストップすることになりかねません。
大和市としては昨年から総計60事業を見直し、令和6年度の当初予算比で2億5600万円を縮減したにも関わらず、約951万円が問題とされて全体を否決されるというのは到底納得できるものではないでしょう。さらに、これから市職員はいずれのパターンであっても当初予算否決に伴う新たな業務が降ってくるわけで、そこにかかる追加の人件費だけでも約951万円を超えてしまう、という声も聴かれます。
以上が本日までの経緯です。
政治界隈の人がSNSで他の人を攻撃して誹謗中傷のやりあいになっているのをよく見かけますが、言論の府である議会人にとっては場外乱闘にあたる行為ですので、そうならないように極力客観的に、かつ事実のみを書いてみました。
今回の件に関心を持ってくださった方にとってご理解の一助となりましたら幸いです。