既に一部報道機関で報じられておりますが、12月13日付けで議会運営委員会の委員長職を辞任しました。
この件についてはご心配の声を多数いただいております。まずもってご心配をおかけしてしまったことにお詫び申し上げ、この場で経緯の説明をさせていただきたいと思います。
端的に言って、理由は11月25日に市議会本会議で行われた、前副市長辞職等に関する調査特別委員会から私の所属する会派代表を含む委員全員の賛成によって提出されていた「大木哲大和市長に対する問責決議案」の採決を「棄権」したためです。
まず、棄権した理由は11月30日に時事通信社の取材に対して回答した通り、趣旨としては「市長がパワハラをしたかどうかは裁判になっていて、もし裁判所がパワハラはあったと決定すれば問責では軽すぎるし、逆に裁判所がパワハラは無かったと決定すれば、今度は無罪の人を議会が有罪にしたということになりかねない」からです。結果として問責決議案は私を除く出席議員全員の賛成で採択されました。
ここで、はっきりと申し上げておきますが、議会には「本会議優先の原則」と言うものがあります。仮に委員会で全員が賛成していたとしても、その委員会に所属していない議員が本会議で賛成・反対・棄権することは議員固有の権利として最優先して保証されており、調査特別委員会のメンバーでない私は何らルール違反をしていません。
さらに、委員会では本会議での全会一致を前提として決議案が策定されたと報告を受けていたことから、全会一致を壊さないように「反対」ではなく「棄権」としたものです。
ところが、この棄権という判断が反市長派と言われている議員たちから見れば「市長の肩を持った」と取られたのか、「みんなが賛成すると思ったのに棄権するのは許せない」として「委員長の辞任を求める動議」を出されてしまいました。
議会のルール上、こういった動議を出されると私は何ら説明をしたり、意見や反論をしたりすることができず、委員会を退席(除斥)させられてしまいます。私が退席した後、何人かの議員がこの動議は議会のルール上おかしいことや、私が棄権した理由、棄権することがルール違反でない以上事実上の罷免となる動議を出すことはやり過ぎである、との意見を述べて下さいましたが、反市長派と言われている議員が多数を占める委員会では一顧だにされず、動議は可決されてしまいました。
私が委員会に戻ることを許可されてすぐに、動議が可決されたことが報告されましたので、私は「議会は法とルールを守ることが何より大切で、この結果は遺憾であるし、今後の悪しき前例となることを憂慮する」と所感を述べ、ただちに辞任願を提出しました。動議には法的拘束力は無く、委員長職に留まるという選択肢もありましたが、こうなってしまった以上、私が居座れば議会運営にさらなる悪影響が及ぶ恐れがあったためです。
それにしても、市長派なのか反市長派なのかだとかと言う以前に議会はルールを守らなければならないと私は思います。動議に賛成した議員は何とかして市長を倒したいあまりの行動だったのかもしれませんが、それならば正々堂々と選挙で民意を問い、政策を戦わせて勝つべきです。あくまでも公平中立の立場を守ろうとした私の行動を感情的に罰しないと気が済まないというのは市議会の正当性を貶めるものに他なりません。
以上が、私が議会運営委員長を辞任した顛末です。
最後に、動議に賛成した自民党会派の一員でありながら「これは問題である」と本会議で指摘してくださった小田博士議員の発言を、ご本人の許しを得たうえで引用させていただきます。
パワハラ疑惑をめぐる管理職アンケートでは、市長のパワハラ行為の代表的事例として、「船から降りてもらうと降格示唆」と書かれていました。皆さんも覚えていると思います。議運委員長の事実上の解任は、サラリーマンの世界では降格に相当します。
今回は、見せしめや村八分の手法の一つとして、「船頭をやめてもらった」ことになります。公衆の面前で多数決で決めているので、気づきづらいですが、本質的にはパワハラに近いものがある。このように私は思います。
政党は伏せますが、つい先日、ある政党に所属する県内他市の県議会議員3人がハラスメントで処分されました。その原因となった訴えは「条例案への賛成強要」「議員辞職の要求」などだったそうです。毎日新聞が14日付朝刊で報じています。本市議会の議運委員長の辞任の話と似ています。
こう考えると、大和市議会がパワハラ体質を内在していると言ったら、言い過ぎでしょうか。私たちは市長の問責に目を向けるあまり、パワハラをなくすといった当初の理念を、早くも忘れ去ってしまったのではないでしょうか。
世の中を良くしたいという欲求、矛盾に対する怒り、社会正義を実現したいという渇望…。私たち政治家は、立場やイデオロギーは違えど、一般の方よりも、そのような思いを強く持っているはずです。
一方、いわゆる「正義中毒」、これは中野信子さんの言葉ですけれども、得てして凶器にもなりやすい。市長も含めて私たち政治家は、職務に熱心であればあるほどパワハラを起こしやすいはずなんです。もちろん、私もそうです。私も自戒しなければなりません。
本定例会にはハラスメント防止条例が提案されています。議員提案で新規条例を作るというのは、調査特別委員会の最大の成果だと思います。その点は市民の皆さんにも適切に評価していただきたいと思います。
ただ、私たちに内在する処罰感情が行き過ぎれば、パワハラにつながりやすいのです。大木市長を追放するための政治闘争、政争ではなく、パワハラ根絶を目指すのであれば、その点を最大限、自覚しなければなりません。私はこのように考えます。