英語テープ起こしクリプトンのブログ
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日英混声のテープ起こしは普通のテープ起こしとどう違うのか?

今回のブログ記事では、日英混声テープ起こし(日本語と英語が混ざった音声のテープ起こし)についてご紹介します。

2つ以上の言語のスピーチが含まれるオーディオを、クリプトンでは混声オーディオと呼びます(ここでは2言語を含むオーディオのみを指すことにします)。クリプトンでは主に英語と日本語のスピーチが混じったオーディオのテープ起こしの依頼を受けることがよくありますが、さらに日英混声オーディオのタイプを3種類に分けるとこのようになります。

(1) 逐次通訳の音声
(2) 同時通訳の音声
(3) ランダムに2言語のスピーチが交わされている音声

それぞれの特徴をさらに掘り下げて見てみましょう。

(1)逐次通訳:
会議などで逐次通訳が含まれるオーディオでは、両言語(日英)が交互に続くのが普通です。逐次通訳オーディオのテープ起こしをする場合、同一のオーディオを2名の作業者(英語ライター、日本語ライター)に振り分けます。2名ともオーディオ全体を聞き通さなければならず、それぞれが書き起こし該当箇所をピックアップしてタイピングしていかなければなりません。このようにして出来上がった日本語の原稿と英語の原稿を、今度はスピーチの流れの通りに一つの原稿に噛み合わせていく作業が必要になります。日英スピーチの切り替わり頻度が多ければ多いほど、この原稿噛み合わせ作業にも多くの時間を要します。

(2)同時通訳:
会議やインタビューなどで逐次通訳が含まれるオーディオでは、両言語のスピーチが同時進行で話されるのが特徴です。逐次通訳の場合と同じく、この場合も同一のオーディオを2名の作業者(英語ライター、日本語ライター)に振り分けます。逐次通訳オーディオのテープ起こしと大きく異なる点は、スピーチが同時に進行していくため日英原稿の噛み合わせ作業が発生しないことです。声が重なるため、会場で録音する際にメイン音声(講演者のスピーチ)とサブ音声(通訳者のスピーチ)を別々に録音し、複数チャンネルを作るのが一般的です。両言語をテープ起こしする場合、同時通訳音声をこのように複数チャンネルで録音しないと、どちらの言語が小さな音量でしか聞こえず、またメインとなる言語のスピーチも重複するスピーチに妨げられ、いずれのスピーチもうまく書き起こせなくなってしまいます。

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(3)ランダムに2言語のスピーチが交わされている音声:
上2つのいずれの場合にも当てはまらない混声オーディオが、このカテゴリに該当します。言語の切り替わりに一定のパターンがなく、また話されている内容も両言語で一致しません。この場合、まずはテープ起こし作業をする前に一人の作業者が全体の流れを聞きとおし、言語の切り替わりの頻度やタイミングをマークアップしてから日英それぞれの作業者に振り分けます。またテープ起こし作業後の日英両原稿の噛み合わせ作業は、それぞれの言語を理解する作業者が慎重に行わなければなりません。

ここまで見ていくとお分かりのように、混声のテープ起こしは普通のテープ起こし(単一言語のテープ起こし)と比べてプロセスが複雑で、作業におよそ倍の時間がかかるものです。テープ起こしを実際に行う2名の作業者への割り振り分担役も一通りオーディオを聞き通さなければならず、また多くの作業指示を伝達しなければならないため通常より時間を要するのです。

なぜテープ起こし業界では「分割納品」を推奨しないのか

定義: ひとつの案件のテープ起こし原稿を一括で納品するのに対し、分割してバッチごとに納品することをお客様がご要望される場合、これを分割納品(バッチデリバリー)と呼びます。

クリプトンでは、原則として分割納品はリクエストがあった場合にのみ対応しますが、お勧めはしていません。なぜでしょうか?

分割納品をお客様が望むことはまれにありますが、通常、

1. お客様は大至急の納品を希望していても、現実的にその日のうちに全作業を完了することが出来ない場合、お客様はその案件をバッチに分割し、各バッチごとに納品予定を立てることを希望されることがあります。

2. 例えば複数日程にわたるカンファレンスやシンポジウム全体のような長時間にわたるテープ起こしのご依頼で、お客様による音声ファイルは当日のプログラムが終了した後にアップロードし、それを連日繰り返す場合、納品もファイルごとの納期に応じ分割して予定を立てられることがあります。

$英語テープ起こしクリプトンのブログ-分割納品

分割納品のデメリット:

1. 品質への深刻な影響: 分割納品の場合、短納期で複数の音声ファイルがあります。これらのファイルは通常ひとつの案件としてではなく、各ファイルごとに作業が進められ、別々の編集者に割り当てられることもあります。これにより、全体の仕上がりの質や一貫性に問題が生じます。もしこれが一括納品であれば、常に案件全部を一人の編集者に割り当てるようにするため、その案件の内容をよく理解できたり、ファイル内の話し手らの識別がよくできたりする等、最終的なテープ起こし原稿は正確で高品質なものとなります。

2. 一貫性の問題: 分割納品では複数のファイルが存在し、複数の編集者が同時にそれらのファイルの作業をすることで、フォーマットや、話し手の識別に関する一貫性等の問題につながったりします。例えば最初の音声ファイル内で、メインの話し手がシンポジウムやインタビューの開始時に自分のことを明らかにするようなケースもあります。分割納品なので2本目以降のファイルを作業している編集者が最初のファイルを作業する同一人物とは限りません。そして2番目の編集者は最初のファイルにある情報を見逃すかもしれません。よって、後のファイルでは話し手の識別が不正確だったり、識別ができていないという結果になり、その案件で深刻な一貫性の問題につながるのです。

3. 納品の遅延: ひとつの案件で3~4個のバッチを3~4日にわたって納品するような場合、納品が遅れるバッチがでてくる可能性が高くなることもあります。これは作業工程の管理者にとってこれら全てのバッチの追跡が一括納品に比べて難しくなるからです。

したがって弊社では、不明確さがなく最高品質の完成品をタイムリーに納品できることを確実にするため、分割納品スケジュールを避け、ひとつの案件全部を一括で納品するスケジュールにすることをお客様に推奨しております。

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テープ起こし業者を選ぶポイントとコツ

テープ起こしが必要となる職業は、出版・映像制作といったメディア関連業界のエディター・ライターや大学やシンクタンクの研究者、あるいは映像やインタビュー音声を翻訳する翻訳者まで様々です。自分で録音取材したテープを自分でテープ起こししてしまう、という方もたくさんいると思いますが、業者を使うとしたらどのようなポイントで自分に合った会社を選ぶべきなのでしょうか?

【テープ起こし業者を選ぶポイント】

(1)テープ起こしの専門会社かどうか

インターネット上ではあらゆる形態・あらゆる業種に特化した多くのテープ起こし業者を探すことができます。または別のサービス(データエントリー、翻訳、印刷など)で利用したことのある業者がテープ起こしも引き受けてくれる場合があります。英語テープ起こしに限って言うなら、翻訳専門会社がテープ起こしも引き受けてくれるケース、国際会議の運営代行会社が引き受けてくれるケースなどがあります。このように「英語テープ起こしの専門」ではない(=専門業者に外注している)業者に依頼する場合、デメリットとなるのは価格がやや高めに設定されている点、納期もやや長めになっている点、そして細かな融通が利きにくい点でしょう。もちろん、既に付き合いがあり仕事を頼みやすい関係ができている、他の付随するサービスもまとめて依頼できるといったメリットもあります。テープ起こしの専門業者か、取り扱いサービスの一つとして扱っている業者なのか、どちらの利点を重視するかによって業者を選ぶのがいいでしょう。

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(2)業者の規模の大小

テープ起こしの専門業者を選ぶ場合、業者規模も重要なポイントです。法人として登録されておりオフィスがきちんと構えられている会社の場合と、ホームページでのみサービスを受け付けているようなフリーランサー個人が事業主である場合とがあります。個人経営のような小さな業者に依頼する場合、窓口となった人自身がテープ起こしを作業する本人である(または知人の同業サークルの作業者)ことが多く、細かなニーズをしっかり把握し、原稿フォーマットを要望に近い形にカスタマイズしてもらうことも可能でしょう。ただし、10時間以上のような大規模なテープ起こしを依頼する場合は作業日数が非常に長くなる可能性があります。

一方、大規模(といっても、数十名程度が一般的だとは思いますが)なテープ起こし会社の場合、価格はやや高いかもしれませんが、大量作業を短期間でこなす作業収容力があったり、ニッチな専門分野のテープ起こしができる作業者が在籍していたりと、大きいからこその広範な対応力が強みとなります。また万が一原稿に不満があった場合も、しっかりした会社であればきちんと応対してくれる安心感があるでしょう。この場合もやはり、ケースバイケースで業者の規模も考慮して外注先を選ぶ必要があります。

(3)料金・納期・品質のバランス

最も分かりやすく、業者選びとなるポイントはここでしょう。安く・早く・品質が確かなものがいいのは当然ですが、万能な業者というのは存在しません。腕のいいテープ起こし作業者というのは高く請求するものです。複数業者から相見積りを取る際にチェックするべき点は、「その価格は本当に品質に見合った価格かどうか」です。例えば、テープ起こしを依頼した業者が実は別の中間業者に外注しており、さらにその業者がまた別の中間業者に外注している…という具合で、いつの間にか正味コストの何倍ものマージンを上乗せされているといったケースも少なくありません。この場合、納期も必要以上に長くなるでしょう。業者をチェックする際は、外注していないかどうか、作業しているのはテープ起こし専業のプロなのか、といった点を見抜く必要があります。本当に品質に見合った対価が提示されているかどうかを調べるためにも、可能であればトライアル依頼をしてみるのがいいでしょう。

(4)アフターケアが充実しているかどうか

最後のポイントは、意外と見落とされやすいが重要な点です。クレームとなった場合に誠実に対応してくれるかどうか、こちら側が指摘した間違いを公正に判断し、それ相応の対応(割引や無料再作業など)をしてくれるのかどうかを、できれば事前に確認するのがいいでしょう。また、対応は後回しにされず即返事してくれるかどうかも、問い合わせ段階でつかんだ印象を手がかりに業者を選ぶべきです。


以上、テープ起こしの一業者の視点から重要と思われるポイントを挙げました。コスト、品質、信頼感など、人それぞれに優先順位は異なるものです。自分のニーズに合った業者を見つけるための手がかりとなれば幸いです。
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