家庭菜園でブルーベリーを育てたい方向けに実際に多品種育てた経験からオススメを書きます。

最低限の本数で植えるならどれが良いか、また安定して収穫する育て方をまとめます。


まずは品種選び。

家庭菜園では日本のような高温多湿でも生育旺盛で自根でも土壌phに寛容で管理しやすいラビットアイ系一択です。

ラビットアイ系は2品種ないと着果しないので、花期の合う2品種というのが条件です。


今の僕なら、加工用に「ブライトウェル」と生食用に「タイタン」を選びます。

まず、静岡の温暖地では花の時期は3月下旬〜4月上旬でほぼ重なります。

収穫時期はタイタンが早生で6月中旬から、ブライトウェルは6月下旬頃からになります。

タイタンは大勢ナーセリーでしか売ってないのでこの2品種にするならまとめて注文すれば良いでしょう。


ブライトウェルは最大20ミリくらいの中粒品種ですが、加工用商用栽培でトップクラスというだけあり超豊産性です。

若干の種感がありますが、加工用であればそれほど気になりません。

風味は総じて良好で早採りしても酸味や雑味は抜けやすい品種なので青くなっていれば早めにとっても、逆に遅くても特に問題ないです。

大生産地だと機械収穫するくらいなので多少の前後ではまとめて加工する時には全く影響しません。

種の参考に、上からオースチン、ブライトウェル、タイタンです。



タイタンは25ミリくらいになり、ラビットアイではクレイワーの次に大きい品種です。

この5ミリ差はかなり違います。

左がタイタン、右からブライトウェル。


実の着色過程が独特で、通常は緑から急に赤くなって一気に青くなりますが、タイタンは薄紫色グラデーションの期間がかなり長くあって徐々に青に変わります。

しかも果軸が青くなる収穫サインがほぼ出ないので、もう取ってもいいのかな?って期間がしばらくありますが少し我慢して、果皮が濃い青になってしばらくしたら採る感じになります。

こちらも早採りしても雑味はないので、青ければ美味しく食べられます。

果皮がトップクラスに硬いので、パリッと良い食感で種感はほぼ無く、ハイブッシュ系やサザンハイブッシュ系にかなり近い食味だと思います。

ただ皮が硬いので熟してから雨が降ると一気に割れます。


もし、もう2品種選べるなら「オクラッカニー」と「クレイワー」です。

オクラッカニーはブライトウェルの食味上位互換という感じの品種ですが花期が少し遅くて4月上旬から、実は晩成になります。

クレイワーはタイタンより平均的には僅かに大きくて食味は同程度ですが、花期が少し早くて3月中旬から、実はタイタンより少しだけ早い時期です。

この2品種だけで植えてしまうと実が付きにくくなってしまうので品質は良いのですが、最低限には選べませんでした。


育て方は、ラビットアイなのでそのまま庭に植えても育ちます。

日本の土壌は何もしなくてもph5.5程度の弱酸性土壌なのでラビットアイなら少しだけ好適条件に外れる程度で問題なく育ちますが、より健全により美味しくしたいなら硫黄華を軽く撒いてph4.5程度を目指した方が良いです。

明らかに品質は変わります。


肥料は少しだけ育てるなら専用肥料が良いです。

ブルーベリーは酸性土壌を好む特殊な果樹なので苦土石灰が使えません。

苦土石灰にはマグネシウムやカルシウムなどブルーベリーにとっても重要な栄養素が含まれているため、そのまま育てるとそれらが不足してしまいます。

なので必要な要素を全部含んだ専用肥料を使った方が簡単なんです。

魚粉などの有機質にはカルシウムや微量要素が含まれている上に酸度も調整されています。

ただ、ちょっと割高ですが。


ブルーベリーにとっては鳥が1番の敵でどのフルーツより集中狙いしてくるので、良いものをたくさん取りたいなら防鳥ネットが必須です。

実が青くなり始めたら木全体を巻くように覆ってしまうのが良いです。

防虫用の1ミリ目くらいのネットなら枝葉に絡まず、光も通します。

大きい木でもそれに合わせたサイズのネットで地面まですっぽり覆ってしまえば被害はかなり減ります。

地植えの成木で周囲7〜8m程度、25ℓ鉢植えだと3mで十分です。

収穫期のみであれば味や収量への影響は感じません。

また、ネットで覆う時には直立性の品種でないと枝が横に張り出してきて邪魔になります。

オススメ品種は全部直立性です。


ブルーベリーは害虫はほとんど気にしなくてもよいですが、収穫時期にイラガ幼虫(いわゆる電気虫)がつくのでこの対策が必要です。

完全に寄せ付けないのであれば6月上旬のうちに防虫ネットで完全に覆えばよいですが、あまり長期だと生育に影響あるかもしれません。

僕は見つけ次第捕殺しています。

孵化してからしばらくは産まれた葉近辺にとどまって固まっていますので、食害された葉を見つけたらその周囲をよく探してまとまっている葉っぱごと切り取ります。

これをステンレスボールなどにいれてガスバーナーで焼却するか、袋に入れて燃えるゴミに出してください。

毛虫は死んでも毛に毒がありますが、完全に燃やすと無毒化します。



オマケで逆にオススメしない品種も書いておきます。

古いラビットアイの品種全部です。

最初の写真のオースチンなどは種ジャリジャリです。

ラビットアイはおそらく昔は加工専用に割り切って育成されていたため、古い品種は味が良くても種感が非常に強いです。

生食では不快感しかないですが、新品種はかなり種感を低減させる方向に改良されています。

よってどれを選ぶにしてもブライトウェルより新しい品種にした方が無難です。