木材にはそれぞれ匂いがあります。
木は良い香りがする、と信じている人は多そうですが、そんな事は全くありません。
良い匂いなのは杉檜とバラ科の木と香木系くらいなもので多くの木はあんまり良い匂いじゃありません。
うちの主要材のケヤキ、実は独特なにおいがします。
匂いというより臭いと書いたほうがいいようなのが。
とは言え、製材されて時間が経っていたり、少しでも塗装されていれば遮断される程度のものなのですが、敏感な人は感じ取ってしまうと思います。
具体的にどんな臭いというと、アンモニア臭いです。
普通に悪臭ですね。
個体差はかなりあるのですが、製材している時にでる粉末を浴びた日に風呂に入って水と混ざるとほんのりアンモニア臭を感じるので、それがケヤキの臭いの原因物質のようです。
全ての材料で感じるので、これは木が腐っているとか管理上の問題ではなく、ケヤキ本来の臭いです。
おそらく水と合わさる事で、空気中の水分であってもそれと反応して臭いが強くでやすいみたいです。
とは言え、ほとんどの人は気にならないレベルだとは思いますし、経年で薄れていきます。
もし誰もがNGなら家具材としてこんなに使われませんからね。
ケヤキ山積みの中で仕事している僕はすでに麻痺して匂いがわかりにくくなっているのですが、慣れていない人はこの作業場の乾燥しているケヤキでもそれなりに臭いと感じると思います。
倉庫内は9割ケヤキです。
クラフトノラの製品の多くにケヤキを使用しているのですが、その理由は強度と価格のバランスが完璧だからです。
強度は全木材中最高クラス、価格は広葉樹材の中では平均以下で、国産材が多い為安定しています。
ケヤキは高級材と言われ昔は実際に高級だったので大量に植樹されていたのですが、現在は洋風建築が主流のために家具材として極めて不人気なのと大量に植樹されたり在庫されてる関係でやや値崩れしており、オシャレ家具に使われるブラックウォルナットやメープルなどの輸入材よりかなりの低単価で購入できます。
しかし、繰り返しますが強度はそれらより上です。
本当に、本当に強靭な材料。
ただ硬いんじゃなくて強靭、粘りがある感じ。
木製道具に使うには最適なわけです。
しかし数年に一度「臭います」というお問い合わせがあります。
問い合わせないだけで臭いなと思ってる人もいるはずです。
今回これを書こうと思った理由もAmazonのレビューに書かれていたからです。
お問い合わせがあった場合は、通気を概ね止められるならどんな塗料でもいいので全体塗装をお勧めしています。(特に木口面)
この対策方法についてもしっかりわかりやすいところに書いておこうかと思います。
なかなか匂いについては難しいです。
個体差も個人差もかなりあり、また自然の香りで害があるわけでもないので神経質になり過ぎるて全部塗装するなんてなれば当然価格は超上昇してしまいます。
僕が作っているのはあくまでも実用品としての道具ですので、まずは道具としての必要十分な機能性を持たせて価格を抑える事が大事。
匂いだとか触感だとか色だとかの家具的な要素は二の次なので、個別に相談してもらうかDIYでの解決が最前なのかなと考えています。