【著作者の権利】著作者には「著作者人格権」と「著作権」の2種類の権利が与えられます。3/4

 

▶権利の束と支分権

 

上述した「著作権」(狭義の著作権、著作財産権)は、以下に示すように、複数の権利から構成されています。これを称して「著作権は、権利の束である」と言ったりします。権利の束である著作権は、別の言い方をすると、(1つの)「著作権」から複数の権利が分かれている、とも表現できます。そして、この「枝分かれ」しているそれぞれの権利を「支分権」と呼んでいます。

 

本条の第1項に明記する「支分権」は、次のとおりです:

〇複製権(21条)

〇上演権・演奏権(22条)

〇上映権(22条の2)

〇公衆送信権・公の伝達権(23条)

〇口述権(24条)

〇展示権(25条)

〇頒布権(26条)

〇譲渡権(26条の2)

〇貸与権(26条の3)

〇二次的著作物の創作権(27条)

〇二次的著作物の利用に関する原著作者の利用権(28条)

 

著作財産権としての著作権は、著作物の「複製」や「上演」「演奏」「公衆送信」「展示」等といった、著作物の「利用行為(利用態様)」に着目して、それぞれに応じた権利(支分権)が規定されています(他人の著作物を欲する第三者からすると、「どのような“利用”をすれば、どの“支分権”が働くのか」といった点を押さえることが重要です)。このことから、著作権は、著作物の利用行為について、権利者(著作権者)だけが排他的に第三者に許諾できる権利、第三者による無断の利用行為を排除できる(やめさせる)権利と言えるでしょう。

 

以上のように、さまざまな支分権を持つ著作権ではありますが、わが国の著作権は、著作物(2条1項1号、10条1項)の利用態様をすべてカバー(網羅)しているわけではありません。とりわけ情報技術の進展が目覚ましい現在、今まで想定されなかった「新しい利用形態」が出現する可能性が大いにあるため、このような利用形態に対し、著作権法上何らかの手当てが必要であるとの社会的要請が高まれば、「新しい著作権(支分権)」がさらに追加される可能性があります。

【より詳しい情報→】http://www.kls-law.org/