起きているときは、
なかなかじっとすることのない、
小学生の男の子。

常にうごうごと
身体が動いている息子なのですが、
その動きがピタリと止まり、
しばらく微動だにしない時がありました。

私はベッドで朝の読書を楽しんでいたのですが、
心配になるくらい息子の気配が感じられない。
「ちゃんと呼吸はしているのかな?」
「そのまま寝落ちしたのかな?」
と疑うほどに。

じっとしないお年頃の子が
あまりにも動かないので、
気になって声をかけてみました。

そしたら、
『ベッドの下にもぐった
蜘蛛を観察しているんだ』とのこと。

集中すると、身体は一切の動きを止めて、
全集中で対象物を観察するんだなと感心しました。

実は以前、私にも似たようなことがありました。
「鈴虫の声は本当に【りーんりーん】と鳴くのか」
をじっくり観察していた時のことです。

音を言葉として抽出しようと
ぐーんと集中していると、
まず周囲の音が消え、
私という枠が消えて、
「音そのもの」になっている体感がありました。

音読している時もそうです。
同じ文章をひたすら音読しているとき、
まわりの音が消えて、
フロー状態になる瞬間が時々起こります。

そういう時、私という個体の思考は消え、
心はしんと静まり返った「凪」の状態になっています。

脳がクリアな受信アンテナのようになって、 
言葉に畳み込まれた作者の感覚が映像として結ばれたり、
 登場人物の体感がリアルに自分の中で再生されたりするのです。 

源氏物語を編んだ紫式部さんは、
物語の執筆を通して豊かな情緒を表現する天才でした。

それは、彼女が幼い頃に父親である藤原為時さんの
漢籍の音読(素読)を日々耳にしており、
自らも暗唱するほど響きを受け取っていたことで、
とりまく環境に対して「共鳴する力」が
極限まで高まっていたからではないかと思ったのです。

今回はそんな音読が開くレゾナンスの世界の考察などを、
つらつらとお話ししています。

ぜひ、家事や仕事の合間の
こころ休めに
耳を傾けていただけるとうれしいです。

音声はこちらからどうぞ↓
https://stand.fm/episodes/6a52ed8fe35e6ddc7b85642f