演芸(単独ライブ)で使用する小道具の著作者が問題となった事例
▶令和7年4月24日知的財産高等裁判所[令和6(ネ)10079]
⑵ 本件各小道具のうち、前記⑴に掲げたもの以外の小道具について、被告は、着想したのは被告であり、被告は原告に作成依頼するに当たり、大きさ、形状、色等を具体的に指定するなどして、立体化作業を依頼したから、著作者は被告である(少なくとも、本件小道具66、74、75については、原告は著作者ではない。)などと主張する。
しかしながら、小道具の着想自体はアイデアにすぎず、思想又は感情の創作的表現ということはできない。また、証拠上、被告が原告に対し作成依頼をするに当たり、一定の形状を示すなどして、自分のイメージを伝えたものがあることは認められるが、詳細な設計図が示されたわけではなく、実際に三次元の作品を制作するに当たり、選択可能な具体的表現行為の幅が制作者の著作者性を否定するほど小さいものであったとは到底認められない。すなわち、制作に関するメッセージの原被告間のやりとりは、アイデアやイメージの交換にとどまるものであり、被告が原告に作品のイメージのスケッチを手書きで示したものは、ラフな描画にすぎず、いずれも、本件各小道具について、その制作者である原告の思想又は感情の創作的表現が含まれていることを否定するに足りるものではない。
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