今では全く飲まなくなってしまったビール。以前は日にスーパードライを３缶、４缶空けていました。その頃でも、経済的なのは分かっていても発泡酒は飲みませんでした。発泡酒で妥協するくらいなら、いっそ飲まないかノンアルコールビールの方がまし。私は発泡酒が苦手。
そんな発泡酒嫌いの私ですが、年に数回は買います。飲むためじゃないのよ。お料理に使うためです。そのまま飲んだら不味い発泡酒も、１時間半、２時間とじっくり煮ると、最高に美味しいソースに変身します。
牛肉を煮込んでも良いけれど、オススメはリンゴと共に発泡酒で煮た豚。まるでサイダー（＝シードル）で煮たような甘酸っぱい美味しいシチューが出来上がります。昨日はそれを晩御飯に作りました。冬になると恋しくなる料理の１つ。旦那も前日から楽しみにしていました。
豚とリンゴの発泡酒煮
豚はロースブロックを使うのが良いです。余分な脂肪は苦手な私でも、寒い冬にはちょっぴりこってりなものの方が体の芯から温まって良い。ももの様な脂肪が少ない部位を使う場合は、ベーコン又は豚バラを２、３枚一緒に使うと良いです。
ロースブロックは大きい物であればタコ糸で縛ってポットローストにしても良いし、昨日私がしたように４～５ｃｍの大きな角切りにしても良いです。いずれの場合も、テフロン加工のフライパンで油を引かずしっかり全面に焼き目をつけます。
全面がこんな風にこんがり色づくまで、ここで豚の脂肪を出来る限り燃焼させてしまいます。そしてペーパーの上に取り出して脂切りをし、フライパンの底に溜まった脂は惜しみなく処分します。
こうして脂肪を燃焼させてから煮ても、出来上がったシチューはかなりこってりです。ここでしっかり脂抜きをしておかないと、口当たりの悪いシチューになります。
別の鍋、または同じ鍋を使うなら豚の汚れをペーパーで綺麗に拭き取ってから、オリーブオイルでたまねぎ１個、人参１本、セロリ１本、ニンニク２～３かけを炒めます。もも肉を使う場合は先にベーコンか豚バラを炒め、その脂肪で野菜を炒めれば良いです。
野菜にしっかり油がコーティングされ汗をかいたようになったら、小麦粉を大さじ１．５ほど加えます。小麦粉を全体に混ぜわせるとパサパサ状態になりますが心配無用です。発泡酒３５０ｍｌ１本と水２００ｍｌを加え、粉のダマが出来ないようよく混ぜながら煮立てます。
煮立ったらコンソメ１個を溶かし、皮を剥いて芯を取り除き大きく切り分けたリンゴ小１個、パセリの葉の刻んだもの大さじ２ほど、それに脂切りした豚を加えます。昨日私は粗く刻んだキャベツ１／４個も加えました。
ブラックペッパーをたっぷりし、フレッシュタイム２～３本なければドライタイム小さじ１／２ほど、ローリエ１～２葉、そして、あればジュニパーベリーを小さじ１ほど加え、再び煮立ったら火を弱めて蓋をし１時間じっくり煮込みます。
１時間経ったら味見をし、必要に応じて塩を少々加えて味を調えます。キャベツも加えるとかなり甘口になるので、私は粒マスタード大さじ１とリンゴ酢（なければホワイトワインビネガーもしくは米酢）大さじ１加え、甘味を少し押さえました。
１時間煮た時点ではまだビール独特の苦味が残っていると思います。ビールはソースに変身すると美味しいけれど、変身するまでかなり時間がかかります。ギネスなどは２時間煮てもまだ独特な苦味が残っています。
たわしで汚れをしっかり洗い流したMサイズくらいのメークイン６個を丸ごと加え、再び蓋をして更に１時間弱煮ました。
水分の割りに小麦粉の量は少ないですが、リンゴやキャベツを２時間も煮ると、ほぼ完全に溶けて良い塩梅のとろみがソースに付きます。ビールの苦味も完全に消え、甘酸っぱいとても美味しいソースに変身！
イギリスの冬って、午後３時過ぎには暗くなり始め、朝は８時ごろまで夜が明けません。朝夕の気温は氷点下。日中でもせいぜい５度くらいまでしか気温は上がりません。暗くて寒い、そして長い冬なのです。
そんな寒いイギリスには体の芯から温まる煮込み料理が沢山あります。豚は通常サイダー（フランスではシードル）と呼ぶリンゴの発泡酒で煮るのが一般的です。そのポーク・イン・サイダーと呼ぶ煮込み料理に限りなく似たものが、お安い発泡酒代用で作れます。
フルーツをセイボリーな料理に使うのを嫌う人が結構多いですが、そんな人でも気が付かず食べちゃうのではないかと思うほど、２時間近く似たリンゴはほぼ完全にソースに溶けちゃいます。
子供の頃から冬になるとこうした煮込み料理をしょっちゅう食べていた旦那は、発泡酒煮も大好き。昨日も大きなジャガイモを２つに割って、恐ろしいほどの量のバターを載せて溶かしながら、めっさ満足気に食べていました。
アルコールで煮ていますがソースになるとそれは完全に飛び、リンゴが溶けて甘口なので、お子さんも大好きな味だと思います。豚もホロホロに柔らかいです。昨日我が家はパンと共に食べましたが、ご飯と食べても美味しいですよ。
放置プレーで煮込むなら、オーブンやスロークッカーを使用しても作れます。オリジナルの料理が寒い国の冬料理だから、間違いなく体はぽかぽか温まります。是非この冬に作ってみて下さいませ。
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