本日の3題です。
声に出して英文を言ってみましょう。このクイズ、いつでも答えは一つではないので、ご自分の英文をまずは言ってみて下さい。
1)「彼は何でも借りに来る」
しょっちゅう物を忘れてきて、借りに来る人。ご近所さんで、あれ貸して、これ貸して、と来る人を表現する単語が実はあるのです。mで始まる単語なのですが・・・
He is such a moocher. A
moocherは人を表す名詞で「いつも借りているやつ」「たかりや」という意味です。辞書にはもっと悪い訳語も出ていますが、NHKラジオ英会話で出てきた人は、単に物を借りに来る人でした。
これについてはもう少し下でお話させてください。類似表現もあります。
では、第2問です。
2)「全部食べてしまおう」
今日はバレンタインデーですから、義理チョコ、友チョコ、本命チョコ・・・最近では自分へのご褒美チョコ。ええいっ!いっそのこと・・・
I might as well eat all. E
この表現で使われるmight as wellは、高校の英文法の授業では「助動詞」で習う慣用表現ですね。「~した方がいい」といった意味だと習ったと思います。「しないならしなくてもいいけど、した方がいいよ」というニュアンスということで、例文はたいてい主語が"you"ですね。ちょっとお節介かもしれないが、アドバイスを・・・という場面が描かれることが多いと思います。
また、had betterという表現が「~した方が良い」と同じ日本語で表現されるので、かなり紛らわしいですが(どちらの方が強いとか、助言VS忠告だとかblah, blah blah...)、ここでは"I"を主語にしての文に絞っていきましょう。
"I"で言うと「(他にないから)~でもするか」という感じ。または「~とするとしましょうか」「~しちゃいます?」くらいの軽いニュアンスだそうです。
I eat all.
と現在形で言ったり、
I'll eat all.
その場の意志の"will"を付け足しても結構。わかります。でも、
I might as well eat all.
といえたら、こういう場面ではとてもナチュラルになります。
では最後です。
3)「ただ見ているだけです」
お店に入りました。店員さんが寄ってきて、"May I help you?"
I’m just looking. A
このあとに"Thank you."と付け足しておけば、失礼にはあたらないです。
こんな簡単な表現ですが、とっさに口から出るか、というとそうとも限らない。
"Ah..."
と口ごもっているうちに、色々説明を始めてくださったりすることもありますね。
この一言で、一人でじっくり見る時間がもらえますよ。
He's such a moocher!
この会話をNHKラジオ英会話で聞いたのはもう半世紀ほど前ですから、ひょっとしてこういう表現はもうすたれているのかな?と思いました。あるいは、当時この会話の場面がアメリカの町だったと記憶しているので、ひょっとしてアメリカ英語で、イギリスでは使われないのかな、とか。
アメリカ人の若いネイティブですが、若い人でもわかりますよ、使って大丈夫ですよ、とのことでした。イギリス人ネイティブにも確かめました。イギリスでも使うそうです。
もちろん、悪い意味です。それから彼らの印象では、この言葉はお金がらみのことが多いそうです。
「たかりや」言えば、別の表現で"parasite”がありますね。「寄生虫」という意味ですが、何年か前にそういう題名の韓国映画がカンヌ国際映画祭最高賞や、アカデミー作品賞を受賞したことは記憶に新しいでしょう。
「彼女は援助や助言を求めてあまり人にまとわりつくので「たかりや」と呼ばれている」
She clings to people so much for help and advice, she is called ‘the parasite’. M
この例文は後に、NHKやさしいビジネス英語の中にあり、メモしてあったものです。
さて、最初のmoocherですが、一家のお父さんがご近所さんがこちらへ向かってくるのを見て、「あ、Mr. So-and-soが来るぞ。梯子を借りに来るな。隠しておこう」と言って隠しておくのです。やっぱり、梯子を借りに来たのですが、今ないんだよね~と言うと、そのMr. So-and-soが涼しい顔で、「それじゃ○○貸してくれる?」と別の物を指名しして、それを貸さざると得なくなったというシチュエーションでした。(梯子を貸さざるを得なくなった、だったかもしれません)
本当に、毎日聞いていて飽きることのない、ユーモラスな場面、会話を提供して下さった番組でした。