*Travel to Italy - Frascati*
事の起こりは、7月11日の午後にかかって来た、ジャスミン(6分違いの私の双子の姉、DC在住)からの一本の電話でした。
「ねえ、COCOちゃん達、イタリア行かない?」
何の前置きもなく切り出されたこの一言に。
「行く!」
と答えるまでかかった時間は多分、2秒かそこらだったと思います(ジャスミンたら、私の反応を楽しんでいた…?)。
思い返せば、夫銀之丞が早期退職した2020年の11月当時(→「おめでとう銀之丞 —— 何のお祝いかと言いますと…?」)は。
既にコロナ渦中ではあったものの、蟄居生活がまさか3年にも及ぶとは予想だにせず。
「これからは時間を気にせず、ゆっくりあちこち旅行して回れるね。初のヨーロッパはどこにしよう? 前からウチの母が行きたがってたから、いつかクルーズ旅行も考えてみようか?」
と盛り上がっていたのでした。
私の行ってみたい国ベスト3はイギリス、フランス、イタリアでしたが、夫(ミネソタ州出身のアメリカン)の父方がドイツ系だった事もあり、まずは彼がずっと行きたがっていたドイツをメインに考えました。
その後、これも夫の希望でオランダを回り、その後フランスと…ハンガリーはちょっと外れるけど、ヘレンド窯を訪ねられたら素敵だな…と夢は膨らみ。
ドイツのガイドブックやクルーズ船の資料を集め始めたところで、まさかの渡航制限措置。
初のヨーロッパ旅行は絵に描いたモチに終わり、その後、制限が解けたら解けたで。
ヨーロッパ旅行よりも、まず母や家族、友人に会いに日本行きを優先させるようになっていました。
そこに突然の、姉からの「イタリア行かない?」
聞けば、9月にイタリアで開催される学会への出席を上司に打診されたとのこと。
学会は3日間だけれど、夫と私が行けるなら、その後2、3日休みを取るので一緒にローマやフィレンツェを回ってはどうだろう?…と言うのです。
ローマ!フィレンツェ !
「いつか行きたい」と思い続けていたものの、具体化することなく既に十余年。
思いがけなく、決め手の一押しが来たわけです。
ということで。
先月、9月の17日。
夫と私は12時間弱のフライトの後、初のヨーロッパ大陸上陸を果たしたのでした。
8泊9日の旅です。
姉とはイタリアのフィウミチーノ空港(別名レオナルド・ダ・ヴィンチ空港)の手荷物受取所で待ち合わせをして落ち合ったのですが。
私達より1時間程先に着いていた姉は、もう既に疲れ切った様子で。
「遅いから途中で何かあったんじゃないか、具合でも悪くなってるんじゃないかと思って心配したよ〜!」
いえ、特に滞りもなく、普通に入国審査を受けて出て来たんだけど…?
多分、一人で相当緊張して待っていたのでしょうね。
そう、「緊張」。
今回、イタリアを旅するに当たり、下調べをしようとネット検索すれば。
どのサイトを見ても、まず第一声が「スリ、置き引き、ひったくり、ぼったくりに注意」なのです。
多くの日本人旅行者や、イタリア在住の日本人ガイドの方々の体験談をつぶさに読み、また動画を見て…姉も私も心から怯えました。
夫はというと…英語で情報収集しても、スリ、ぼったくりの被害に遭いました、ご用心!…という記事はあまり出て来ないのですよ。
どうも、おっとりしている日本人が狙われやすいらしい…?
米国に住んで数十年、もはやおっとり…と言えるかどうかは分かりませんが、見かけはバッチリ(?)日本人の姉と私。
まずパスポート、クレジットカード、身分証、少しの現金とスマホ用に、首から下げるポーチを買いました(見た目はイマイチになりますが仕方ありません)。
これは夫にも持たせたのですが、空港での出国、入国手続きの際にパスポートや身分証をサッと出せるので便利だと言っていました。
クレジットカードと現金は数カ所に分けて持った方がいいとのことで、体に密着するタイプのボディーバッグも購入。
電車内でスーツケースを盗まれることもあると聞いて、姉と一本ずつ、自転車用のワイヤーロックまで買って持って行ったのです。
正に「近づいて来る者はドロボーと思え」の心構えで臨んだイタリア観光旅行。
結果から言えば、3人共、何の被害に遭うこともなく、存分に楽しんで帰って来ることが出来たのでした(めでたし、めでたし)。
前振りが長くなりましたが。
最初の逗留地は、ラツィオ州ローマ県にあるフラスカティ——首都ローマの南東約 21kmに位置する街でした。
ここが姉が出席する学会の開催地だったんです。
Frascatiって聞いたことがある気がする…と思ったら、ワインの名産地でした…ワインのラベルで見たことがあったんですね。
駅前に立つと、遠くローマを見下ろす丘に古城が。
こちらはアルドブランディーニ宮殿と呼ばれる、中世ルネッサンス時代に栄えたアルドブランディーニ家の別荘(ヴィラ)だそうです。
現在では美術館になっていますが、一般に公開されているのは、庭園だけとか(帰って来てから調べて分かりました)。
フラスカティに滞在していた3日の間、近くを散歩したのですが、私有地なのか何なのか分からなくて…中に入れるなら入ってみたかったなぁ。
こちらはホテルのすぐそばにあった教会、Frascati Cathedral (サン・ピエトロ大聖堂)。
ホテルまで聞こえて来る、時報の鐘の音がドラマティックでした。
ドアが開いていた時、そっと中を覗かせてもらいました(夫がショートパンツ姿だったので中には入りませんでした)。
着いた日に、夕食に出掛けがてら立ち寄ったお役所らしい建物の裏の駐車場。
小ぶりの鯉が静かに泳いでいました。
そして駐車場の隅っこに黒ネコちゃん発見!
オイデオイデと呼んだら何とやって来て、撫でさせてくれました!!
カリフォルニアの我が家の庭にやって来る野良猫ちゃんに、かれこれもう5年くらいゴハンやオヤツをあげているのですが…未だに半径1メートル以内には近寄らせてくれません。
なので、久しぶりにネコちゃんに触れてすごく嬉しかったんです(髪がボサボサでお恥ずかしいですが)。
姉はラザニアを…普通に美味しかったです。
私は豚頬肉のベーコン入りのトマトソース、アマトリチャーナのスパゲティーを。
このベーコンの脂の部分がサクサクした歯ごたえで、トマトソースも風味があって、とっても美味しかったんです。
「アルデンテってこういうことなのね」と、納得させられたスパゲティーの茹で加減!
運んで来てくれたウェイターのお兄さんが、ニッコリ笑ってポーズを取ってくれたりして。

…見るからにバンズが乾いているような気がしますが…(夫も多くは語りませんでした)。
フラスカティ2回目の朝は、姉と辛うじて朝食をホテルの食堂で一緒に取ることが出来ました(前日も一緒に食べるつもりが、夫も私も見事に寝坊しました)。
イタリア人の朝食は基本甘い物(ペストリーやビスケット等)とコーヒー類のみで、アメリカやイギリス、そして日本の様に卵やベーコン、ハム等、塩気のあるものは食べないのだそうです。
ホテルの朝食のバッフェでは旅行者向けに、生ハムやサラミ(!イタリアならではですよね)やソーセージ、スクランブルエッグ等が並んでいました。
上の写真の赤いジュースはブラッドオレンジのジュースでしたが、今まで飲んだことのない、普通のオレンジジュースとは全く違う、少しお花の様な?風味がしました。
私はクロワッサンが好きなのですが、イタリアのクロワッサンはプレーンでも、上に粉砂糖がかかっていたり、かかっていなくても生地にお砂糖が入っていたりして甘かったです。
そしてこの朝食会場のカウンターにはあの、イタリア名物のヘーゼルナッツとチョコレートのスプレッド「ヌテラ(Nutella)」のポンプ式のディスペンサーが置いてあり、ホテルのマダムがせっせとクロワッサンの中に「ぶちゅーっ」と注入しておられました…一つくらい食べてみればよかったかしら…?
姉を駅前広場で見送って、そのまま夫と朝のお散歩。
前日も来たお役所の駐車場を「またいないかな〜?」と覗いてみたら。
嬉しい!また会えました!!
角度のせいでコワモテに写っていますが、人懐っこいネコさんでした…イタリア語でネコはオスなら「Gatto(ガット)」、メスなら「Gatta(ガッタ)」と言うそうですが、ハテ?どっちだったのかな?
姉はミーティングの会場までは駅から出るシャトルバスで通っていたのですが、これが朝は7時半、帰りは8時半の一本ずつのみ!——3日間、時差ボケもあったでしょうに、文字通り朝から晩までお疲れ様でした。
姉には申し訳ないのですが、夫と私は何の縛りもなくのんびり…時差ボケを治すつもりで無理には出掛けず、この後のフィレンツェ 、ローマ観光に備えて体力の回復・温存に努めました。
事実、3人共酷い時差ボケで…姉は仕事があるので無理やり起きて出掛けるから多少はマシだったかもしれませんが(お昼頃、ものすごく眠くなって意識が飛ぶことがあったと言っていました)、夫も私も夜殆ど眠れなくて。
疲れもあって9−10時頃ベッドに入るのですが、2時間も眠ると目が覚めてしまい、それからは目が冴えてしまって朝方まで一向に眠れないのです。
探せば名所旧跡や、ワイナリー巡りなど、色々見どころもあったようでしたが、二人とも寝不足で今一つ元気が出ず、連日ホテルの回りを散歩したり、カフェに入っては行き交う人々を眺めたりして過ごしました。
カプチーノはどこで飲んでも、本当に美味しかったです。
イタリアでは基本、コーヒー(カフェ)=エスプレッソなので、夫も私も殆どカプチーノばかり頼んでいました…お店によってはアメリカーノ、と言ってエスプレッソをお湯で割ったブラックコーヒーもありました。
特にコーヒー好きの夫は、アメリカではホテルやレストラン、カフェで出されるコーヒーを手放しで褒めることはまずないのですが、今回の旅行中は、ひとくち口に含んでは「美味しい!」と目を輝かせていたのが嬉しかったです。
上の写真はホテルの近くのカフェで。
夫はラムババ(ブリオッシュ生地にラム入りのシロップを染み込ませたケーキ)の美味しさに感動していました。
ここのカフェではジェラートもトライしました——メロン味とカスタードクリーム味のジェラートが、とっても!美味しかったです。
お昼はいよいよ本場のピザを。
生地は薄くて周りはカリカリ、でも中はふっかふか。
トマトソースが、やはりアメリカで食べるのとはどこか香りが違うんです。
ご覧の通り大きなピザで、寝不足で食欲がイマイチだった夫と私は「半分も食べられないかも…?」と危ぶんだのですが食べ始めたら美味しくて、思ったよりスイスイ、3/4くらいは食べられました。
夕飯は…こうなりました。
別にお寿司が食べたかった訳ではないのですが、夫と「イタリア料理は美味しいけれど、続けてはキツい」と言うことで意見が一致しまして。
カリフォルニアを出てから殆ど野菜を摂れてなかったので、夫の好きなほうれん草のおひたしくらい食べられれば…と思って探した、ホテルから歩いて15分ほどのところにあった日本食レストラン「Hokkaido Sushi」。
野菜は…お寿司に一本ずつ添えられていた、豆苗らしきもの、だけ。
枝豆は美味しかったのですが、厳密には野菜ではないですよね…緑色だったからまあ、いいか…(?)。
フラスカティ3日目のお昼は、最初の夜に食べたパスタが美味しかったので同じカフェへ行って、二品をシェアしました。
ローマが発祥の地だと言うカルボナーラ。
卵黄の他にクリームを使うか否かは賛否両論だと聞きましたが、ここのお店のにはちょっとクリームが入っていたと思います…滑らかで、私は好き。
絶妙な茹で加減の麺に、そしてやっぱりサクサク美味しい、ベーコンの脂!堪能しました。
もう一品は野菜〜、野菜〜と言うことで。
牛肉と野菜のグリル。
どれも思ったより薄切りでしたが、夫と貪るように(笑)完食!
夜はちょっと本格的なイタリアレストランに行こうと計画していたので、軽めで丁度良かったです。
夫と私の夕飯は、いつも6時15分〜7時くらいに取るのですが、イタリア人の夕食は比べてかなり遅めで、8時からが一般的なのだそう(昼食も1時以降が普通とか)。
なので7時から空いてるレストランはごく僅かだったのですが、夫がホテルのすぐそば、歩いて2、3分の所に良さげなリストランテ、「Al Posticino」を見つけてくれました。
7時になるのを待ってホテルを出て、お店に入ってみると。
ご主人らしきおじさまが「ノー、ノー」と言って、壁の時計の9の所を指差すのです。
えっ、サイトには7時開店って書いてあったのに…45分からってこと?
仕方ありません、また付近をそぞろ歩いて時間を潰し、7時45分に戻ってみました。
良かった、「Open」のサインが出ていました。
お店の名前の「Al Posticino(アル・ポスティチーノ)」は英語で言うと「Little Place」だそう。
文字通り小さな可愛い店構えで、楽しい、美味しい夜になりそうな予感がしました。
黒板のおすすめメニューの文字も絵も可愛い。
テーブルの横のミニチュアの椅子は、バッグや上着用のフックだったのかな?
アミューズ(イタリア語ではStuzzichino、ストゥッツィキーノ?舌が回りません!)に出てきた、シンプルなナスのマリネのブルスケッタがものすごく美味しかったです。
ワインは地元フラスカティのVilla Siomoneの赤のハーフボトルをもらいましたが、重すぎず軽すぎず、ほんのり果実味があって…私好みのワインでした。。
「Cesanese(チェザネーゼ)」はラツィオ州唯一土着の黒ブドウ品種なのだそうです。
ウェイターさんが「二人でハーフじゃ少ないですよ!」とビックリしていましたが、夫も私も量は飲めないんです…。
オマケに寝不足続きで飲んだものだから、結構回りました…もう少し飲めたらなあ、といつも思います。
英語のメニューはなかったので、翻訳アプリを駆使しながら選んだプリモは…。
「ペコリーノチーズのラビオリ、グアンチャーレ(豚頬肉の塩漬け)と黒胡椒添え」をシェアしました(豚頬肉、私どれだけ気に入ったんでしょうね^^)。
パスタは全て自家製だそうで、滑らかで風味があって、とっても美味しかったのですが、お昼に食べたカルボナーラとちょっと被ってしまったかな…。
食べながら黒板のおすすめメニューを見ていたら、「イチジクとオレンジのソースのラビオリ、グアンチャーレ添え」という一品が。
ああ、そっちも食べてみたかった!と思いましたが…このお店を再訪する機会は果たしてあるでしょうか?
セコンド・ピアットは夫が選んだ、仔羊の香草焼き、ポテト添えをシェア。
人間、疲れると食べ慣れたものが…(笑)。
事実、夫は嬉しそうに熱々のポテトを食べていました。
カリッと焼き上がったラムもアメリカで食べるのとはどこか一味違い、ワインとも合って美味しかったです。
一皿一皿の量はさほど多くなかったので、普段ならこの後ドルチェも食べられたのですが…やはり連日の寝不足と疲れのせいか、二人共今一つ調子が出ず。
翌日はフィレンツェに移動する予定だったので、早くホテルに帰って体を休めたかったこともあり。
横のキャビネットに置いてあった数種類の自家製ケーキが、私は最初からとても気になっていたのですが…やはりパスすることに。
私、余程未練がましく眺めていたのでしょうか…?ウェイターさんが小さく切ったケーキをサービスしてくれました。
ほんの少しバニラの風味がする、優しい味のシンプルなケーキ…しみじみと美味しかったです。
旅先での親切って、ひとしお、身と心に沁みますね。
姉が遅くまで仕事で、一緒に来れなかったのが残念でした。
さて、次回はいよいよ、楽しみにしていた次の目的地フィレンツェ へ!
犯罪のドツボ、じゃない、るつぼとして悪名高い、ローマのテルミニ駅から電車で向かいます。
いつものことながら、長々しいブログにお付き合い頂き、どうもありがとうございました。
ではまた。
きっと、きっと、近いうちに。