COCOのおいしい話

COCOのおいしい話

  毎日のごはんやお気に入りのおやつ、おいしそうなお料理やお菓子が登場する物語やエッセイを紹介しています。


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仙台市出身、LA在住の主婦COCOのブログです。
文中によく登場する夫の銀之丞(ギンノジョー、仮名)はミネソタ州出身のアメリカ人。
ジャスミン(仮名)はDCに住む私の双子の姉で日本人です。


この度(2016年7月)、「COCOの漫画でおいしい話」 も始めてみました


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*Old Time American School Lunch?*

 

前回のピクニックのお弁当についての続きです。

 

このブログでこれまで何度か、ピクニックに持って行ったお弁当を紹介してきましたが、デザートに数度、カスタードクリームが登場しています。

 

 

お花見、イチゴのせカスタード

*Custard with Strawberries Marinated with Sugar & Champagne Cognac
 

日本でカスタードクリームと言ったら、シュークリームやエクレア、クリームパン、ドーナツ等ののフィリングか、ミルフィーユのようなパイ菓子に使われるのが一般的ではないしょうか。

 

少なくとも私は日本では、クリームをそのままスプーンですくって、デザートとして食べたことはありませんでした。

 

その後アメリカにやって来まして。

 

サンフランシスコのフレンチレストランで、初めて「Pot de Crème au Chocolat(ポ・ド・クレーム・オ・ショコラ)」というデザートをオーダーした時のこと。

 

クレームブリュレかプリンのような物を想像していたのですが、出て来たのが文字通り、小さな壷状の容器(Pot)に入った、やわらかいチョコレートクリームだったのにビックリしまして。

 

「美味しいんだけど…クリームをそのまま……?」と、何となく戸惑ったことを覚えています。

 

そして、スーパーで似たような物が子供のお弁当用として、プラスティックのカップに入って売られていたことや。

 

映画「レインマン」でダスティン・ホフマン演じるレイモンドの好物だった「タピオカ・プディング」もこの手のクリーム系デザートだったことを思い出しました。

 

(余談ですが、タピオカ・プディングの姉妹品に「ライス・プディング」という物もありまして…渡米して来たばかりの頃の私には身の毛もよだつようなシロモノに思えたことでした。)

 

「そうか、アメリカ人は固まっていないカスタードクリームそのものを、デザートとして食べるのね!」と。

 

この物語を読んでも何となく腑に落ちず、モノトーンでしか捉えられていなかったお弁当の描写が、総天然色になって見えた瞬間だったのです。

 

 

 
 
アメリカの女流作家、ジーン・ポーター(Gene Porter)著の「リンバロストの乙女(A Girl of the Limberlost)」です。
 
日本語訳のタイトルからも分かる通り、古〜い本です。
 
それにしても、「Girl」がどうして「少女」じゃなくて「乙女」なんでしょう?…高校生の女の子は「少女」というより「乙女」と呼ぶのがふさわしい…?
 
「乙女」なんて単語は、今の日本では果物か植物の名前くらいでしかお目にかかれないんじゃないかと思うのですが。
 
アメリカでの初版が1909年、村岡花子訳の角川文庫版の初版は1912年…昭和ですらなくて大正年間ですから、古めかしさにも納得がいきます。
 
私もこの本については子供の頃は目にしたことも聞いたこともなく。
 

大学時代に読んだ氷室冴子著の少女小説についてのエッセイ、「マイ・ディア——親愛なる物語 (角川文庫)」の中で初めて知った作品だったのですが。

 

氷室氏は「『リンバロストの乙女』こそは、『ハイジ』や『赤毛のアン』をしのぐ物語です!!」と大絶賛しているのです。

 

ここまで言われたら、アンのファンとしては読まないわけにはいかない。

 
「リンバロストの乙女」を一言で説明するならば…「美しいリンバロストの森で暮らす主人公エルノラが、逆境にもくじけず、努力と叡智、また周囲の人々の愛情によって困難を乗り越え、友情を得て恋を知り、成長して行く物語」…とでも言えましょうか。
 
ストーリーは、エルノラが母親の反対を押し切って、高校へ通い始めるシーンから始まります。
 
「逆境」と書きましたが、このエルノラの母親が現代で言うところの「毒親」で。
 
夫を亡くしてから人が変わり、娘を全く愛していないわけではないようなのですが、ネグレクトとモラハラを繰り返し、時には手を上げたりもするので…正直ところどころ、読むのが辛くなる程でした。
 
加えて、私が読んだのは初版から改訳されたらしい文庫版だったのですが、それでも使ってある単語や言い回しが現代とは大分違う所もあって、少し…と言うより、かなり読みづらい印象がありました。
 
何しろ、初版本では「celery」が「オランダみつば」、「popped corn」が「はぜとうもろこし」と訳してあったそうですから(私の持っている改訳版では「セロリ」と「ポップコーン」になっていました)。
 
でも、氷室氏が書いているとおり、エルノラや友人達の服装や持ち物の描写もとても興味深く、何より、彼女が高校に持って行くお弁当の内容が!とんでもなく豪華なのです。
 
母親に冷たくされているエルノラを心配して、何かれと世話を焼いてくれるお隣の親切なシントン夫妻が、高校に進学したエルノラに素敵なランチボックスを贈ってくれます。
 
「本の二冊か、絵の道具か、なにかそういった小ぎれいな、上品なものに見える」と言う、「茶革のランチ・ボックス」の様相からしてもう素晴らしい。
 
「(前略)中にはサンドイッチを入れる場所、冷肉やフライド・チキン用の小さな磁器の器、もう一つおなじような器はサラダ用、隅に環(わ)にはめてあるねじり蓋付きのコップはカスタードやゼリーを入れるため、お茶やミルク用の壜、ホルダーには美しい小型のナイフとフォークとスプーンがさしてあり、ナプキンを入れる場所もあった。」
 
ね、「カスタードやゼリーを入れるためのねじり蓋付きのコップ」がついているんですよ!^^

 

何とかこれと同様のランチボックスの画像を探そうとしたのですが見つからず…(「A Girl of the Limberlost」は1990年にアメリカでドラマ化されていたのですが、残念ながらランチボックスには普通のバスケットが使われていました)。
 
多分こんな風だったんじゃないか、という物を絵本の中で見つけました。
 
 
 
 
アメリカの絵本「ジャムつきパンとフランシス」からの引用です("Bread and Jam for Frances" by Russell & Lillian Hoban)。
 
 
そして、この美しいランチボックスにシントンおばさんが最初に詰めてくれた中身が、「薄紙に包まれたおいしそうなサンドイッチ」「フライドチキン」「サラダ」と、「上に砂糖漬けのさくらんぼを乗せたカスタード」だったのです。
 
この本を読み返したので、前回のピクニックランチのメインはフライドチキン、デザートはカスタードになったのでした。
 
 
 
 
ところが、エルノラはこのお弁当を一口も食べることが出来なかったのです。
 
と言うのは、学校へ行く途中に出会った、母親に捨てられ父親からはネグレクトされ、骨と皮ばかりになっている小さな男の子ビリーに全部上げてしまったからです。
 
「少年はランチ・ボックスを物欲しげにながめた。エルノラはサンドイッチを取り出し、揚げた鶏肉の蓋をはぐった。少年はうれしさに息をのんだ。
 
『ねえ、おいらがそのコップの中にあるもんともう一つの箱にはいってるもんを食べて、パンとチキンはジミーとベルに持ってってやろうかな』少年はこう申し出た。
 
エルノラは無言のまま、上に砂糖漬けのさくらんぼをのせたカスタードの蓋をとり、スプーンと一緒に少年に渡した。食糧がこんなに早く消え失せたためしはなかった。次にサラダが消え、サンドイッチ一切れと鶏の胸肉半分がつづいた。
 
『あとはジミーとベルにとっといた方がいいね。二人ともめっぽう腹をへらしてるんだもん』
 
エルノラは念入りに調理してある昼食の残りの分を少年にあたえた。少年はそれをぐいと掴むと、野獣のように横っとびに飛んで行った。
 
エルノラは皿やカップに蓋をし、スプーンをみがいて元の場所におさめ、美しいボックスを閉じた。」
 
この日エルノラは、乏しいお小遣いの中から町のお店でサンドイッチを買って、自分の昼食にしたのです。
 
さて、この翌日。
 
お隣のシントンおばさんへの対抗心から、何と母親が!立派なお弁当を作って渡してくれます。
 
学校に着くまで待ちきれず、エルノラは途中でランチボックスを開けてしまいました。
 
「エルノラは自分が正気かどうかを疑った。パンの場所には卵黄を散らしたバタつきパンの優美なサンドイッチがそのなかばを占め、残りの半分は想像も及ばぬ香料菓子(スパイス・ケーキ)が三切れもはいっていた。肉の場所には薄切りのハムが詰めてあった。(中略)サラダはトマトとセロリだった。カップには琥珀のように透明な梨の砂糖漬けがはいっていた。びんにはミルクが入れてあり、折り畳み式のカップには薄紙にくるんだきゅうりのピックルスが二包みはいっており環にはあたらしいナプキンが挟んであった。」
 
このメニューが頭にチラついて、先日、私は卵のサンドウィッチを作り…。
 
 
 
 
(↑ちょっとでも「優美」にしようと卵にパセリを混ぜてみたのですが…不発。^^;)
 
ピクルスを作り…。
 
 
 
 
「琥珀のように透明」ではありませんが、洋梨のコンポートを乗せたカスタードをデザートにしたわけです。
 
 
 
 
ここでエルノラはケーキを一切れとサンドイッチ、サラダと梨の4分の1とピクルスを「味見」してしまうのですが…しておいて、本当に良かったのです。
 
何となれば。
 
昨日のビリーが、きょうだい2人(前述のジミーとベル、9つと7つくらいの兄と姉と思われる)を連れて待ち構えていたからです。
 
ビリーは「父ちゃんが酔いから覚めてすまないと言って、食い切れない程買ってきてくれた」と言う「カビ臭いパンと古いボロナソーセージ」をエルノラに差し出し、「姉ちゃんはその箱ん中にはいってるもんと、こんな古ぼけたパンやボロナととりかえちゃくれないだろうね?」と迫ります。
 
エルノラは毒味を済ませておいたことに感謝しつつ、残りのランチを公平に三等分にして、子供達に分け与えてしまうのです。
 
その翌日もまた、意外にも料理上手な母親が、お弁当を用意してくれていて…。
 
「ケーキはまだできたてで、四切れあった。サンドイッチは二口食べて初めてそれがピーナッツのかわりに、ぶなの実をつかってあることがわかったが、この方がずっと味がよかった、カップには苺の砂糖漬けがはいっており、皿には薄荷ときゅうりをあしらったポテト・サラダと、厩の棚からとって来た雛鳩を見事に狐色に焼いたのが載っていた。」
 
「お母さんがこの中に愛情はこめていないにしても、なにかそれに代わるものがはいっているのだわ。一人占めはしたくないけれど、このお弁当はあげてしまいたくない…」と足取りが重くなるエルノラ。
 
果たして、二度あることは…と言う通り、今度は子供3人にハラペコの犬まで加わって、エルノラを待っているではありませんか。
 
「エルノラはボックスをひらき、牛乳はビリーと女の子に分けてやり、菓子はめいめいに一切れずつ与え、あとの一切れとサンドイッチを一個残しておいた。ビリーは失望をはっきりあらわしてせかせかと前へにじり出るし、兄の方も犬の監督を忘れてしまった。
 
『ああ、あれ肉かと思ったんだよ!』ビリーは嘆いた。
 
エルノラは負けてしまった。
 
『ほら、ここにあるわよ!』エルノラは快く言った。『小さな雛鳩が一羽あるわ。私は胸のところをほんのぽっちり、一口だけ、記念に欲しいのよ。残りは全部あなた方に上げるわ』
 
エルノラはホールダーからナイフを取り出し、暢思骨(ウィッシュ・ボーン)を切り取った。それから鳥を女の子の方に差し出した。
 
『あんたが分けて上げてね』
 
犬がぱっと飛び出し、雛鳩をくわえると一目散に橋から逃げ出した。女の子と男の子はあわててそのあとを追った。ビリーはものすごい目でにらみつけ、猛烈に口汚くののしった。」
 
この修羅場に、エルノラからこの子供達のことを聞いていたクラスメートがたっぷりのパンやハム、オリーブの瓶詰め、マカルーンやチョコレートやヌガーを持って、ナイス・タイミングで駆けつけて来ます。
 
エルノラのランチボックスは再び一杯に満たされ、残りは全部子供達がもらって大団円…でこの章は終わります。
 
この後物語は、森の昆虫を集めて売ったお金で学費をまかないながらのエルノラの学校生活や友人達との交流、父親の死の真相にまつわる母親との軋轢と和解、そして19歳の夏に訪れる恋へ…と展開して行きます。
 
当時のアメリカンガールの生活が細やかに描かれた、眩しい青春小説ではあるのですが…私にとって「アン」を凌ぐ作品になり得なかったのは、きっと大人になってしまってから読んだせいもあるのでしょう。
 
子供の時に…少なくとも高校生の時に出会っていたら、もっとわくわくと、切実な気持ちで文字を追うことが出来たに違いない…と、少し残念に思われます。

 
もう一冊。
 
上で紹介した絵本は、バジャー(アナグマ)の女の子、フランシスが主人公のお話のシリーズで、確か江國香織著の「絵本を抱えて部屋のすみへ」の中で紹介されていたのを読んだ姉が、プレゼントしてくれた本なのですが。
 
 
 
 
朝ごはんのゆで卵より、昼ごはんのチキンサンドウィッチより、夕ごはんの仔牛のカツレツより、何よりジャムつきパンが大好きで、それ以外は食べたがらないフランシスちゃん。
 
心配したお母さんが一計を案じて…というお話です。
 
余談ですが、姉が言うには、この食卓で涙をこぼすフランシスが。
 
 
 
 
子供の頃の私にソックリ!なのだそうです(どこがだろう…?)。
 
そう、そして、この物語の中にも。
 
彼女の友達のアルバートくんが、お弁当に「カスタード(a cup custard)」を持って来ているシーンがあるのです。
 
日本語訳では「カスタードプリン」となっていましたが、プリンなら英語では「ベイクト・カスタード(baked custard)」か「フラン(flan)」と呼ぶのが一般的なので、多分、クリーム状のカスタードだったのではないかな、と思うのですが…?
 
彼らのお弁当もゴージャスです。
 
 
 
 
お話の最後に出てくるフランシスのお弁当は、保温容器に入れたトマトスープ、ロブスターのサンドウィッチ、セロリと人参のスティックにブラックオリーブ、プラムが二つと小さなバスケットに入ったチェリーに、チョコレートを散らしたバニラ・プディング!(カスタードとどこが違うのでしょう?)
 
「アメリカの子供達のお弁当はこんなに豪華版なの?」と思いきや、どうやらこれは、古き良き時代の遺物であるらしい…?
 
身近なアメリカンである夫に聞いてみると「ミラクル・ホイップ(味つきマヨネーズの一種らしいですが、私は食べたことなし)を塗った白パンにハムの類とレタスを挟んだサンドウィッチ、牛乳、デザートにオレンジかリンゴ、ぶどう等の果物とチョコチップクッキーかブラウニー」が定番メニューだったそうです。
 
必ずお菓子のデザートが付くのがアメリカ人らしいですよね。
 
 

というわけで。

 

私がアメリカ風のお弁当のデザートにカスタードクリームを持って行きたくなる理由、何となくおわかりいただけたでしょうか?

 

どうでもいい話を長々とスミマセン…ピクニックのお弁当を作る度に書きたいと思っていた話だったので、ようやく気が済みました^^。

 

お付き合い下さって、どうもありがとうございました。

 

 

今日のシャーマンオークスの最高気温は体温越え、昨日、今年初めてエアコンをつけました。

 

どうぞ良い週末をお過ごし下さい。

 

 
 
 
 
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