こんにちは、培養室です。
胚盤胞のグレード評価は妊娠率の予測に大きく役立ちます。グレードが高いと妊娠率が高いと予測することができます。また、近年の技術の発展により胚盤胞への成長過程をタイムラプスシステムで観察できるようになりました。胚盤胞への成長過程を観察することでさらに精度の高い妊娠率・出産率の向上が期待されています。
デンマークのグループは胚盤胞のグレードは妊娠率・出産率以外に生物学的な性別に関係する可能性があると報告しました。
胚盤胞は大きくなるにつれて1→2→3→4→5と数字が大きくなります。
3の大きさの胚盤胞と5の大きさの胚盤胞で男女比を比べると5の大きさの胚盤胞は生物学的な男児となる確率が34%高いこと、また将来胎盤になる細胞( 栄養外胚葉 )に関しては男児となる確率がAグレードはBグレードに比べて31%高かったことが報告されました。
生物学的な男児となる胚は成長スピードが速く、胎盤になる細胞のグレードが高い可能性が示唆されました。
受精してから5~6日目に胚盤胞へ成長します。生物学的な性別の違いで成長速度に違いがあるかもしれません。
デンマークのグループはこのデータは偏りがある可能性があり、さらに詳細に調べる必要があるとしています。現在のところ可能性の範囲として考えることが適切です。
参考:Developmental stage and morphology of the competent blastocyst are associated with sex of the child but not with other obstetric outcomes: a multicenter cohort study. Human Reproduction, 2022
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当院の不妊外来を初めて受診される際にお電話での予約が必要な理由
当院は不妊治療に関わる先進医療を行なっております。
大垣市在住のご夫婦を対象として、自費診療でAMH( 抗ミュラー管ホルモン )検査、精液検査を実施した場合に大垣市から助成金を受け取ることができる制度が開始されました。
当院で行うことができます。お電話にてご予約をお願い致します。
大垣市在住のご夫婦を対象に妊活検診費( AMH検査・精液検査 )が助成されます
当院はPGT-A実施施設として日本産科婦人科学会に承認されています。
PGT-Aを行うことによって、複数回の妊娠不成立や流産を繰り返す方に妊娠率の向上と流産率の低下が期待できます。
↓詳しくはこちらをご覧いただければ幸いです。
※PGT-A対象者の方で当院に胚盤胞を凍結保存している場合、採卵を行わずに保存してある胚盤胞を用いてPGT-Aをすることができます。
PRP療法とは再生医療の一つです。
様々な医療分野でPRP治療は行われており、不妊治療分野ではPRP療法を行うと子宮内膜が厚くなるという報告が専門の学会から報告されています。
子宮内膜が厚くなると、移植した胚の妊娠率、出産率が向上します。
先進医療、PGT-A、PRP療法をご希望の方、ご興味がある方は当院の不妊外来診察を受診ください。
文責:培養部門
〔生殖医療専門医〕古井憲司