今回はビタミンDが含まれたサプリメントは必要かどうか説明していきます。
以前のブログではPCOS( 多嚢胞性卵巣症候群 )の方はビタミンDが不足している場合が多く、ビタミンDを摂取すると症状が改善する可能性があることを説明しました。
PCOS( 多嚢胞性卵巣症候群 )の女性に対してビタミンDは有効か
では、PCOSではない方はビタミンDをサプリメントで摂取する必要ないのでしょうか?
ビタミンDの効果について調べた複数の論文をさらに解析し調べた論文があります。
結果は、ビタミンDの補給により化学的妊娠率が向上する可能性が高いことが分かりました。ビタミンDの摂取はPCOSの方に限らず必要ということが言えます。
さらなる研究が必要ではありますが、ビタミンD欠乏症で治療に通院されている女性には、ビタミンDを含むサプリメントの処方が推奨されています。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書より、厚生労働省が定めるビタミン D 摂取量の基準値は 8.5 µg/日とされています。
ビタミンDにはカルシウムの吸収を促進するという作用があるため、妊娠中・授乳中にも重要な栄養素です。
ビタミンDは、日光を浴びることで自身の体からも産生されますが、自身のビタミンD産生のみでは、必要量を補うことができません。サプリメントや食事からも摂取することが必要です。
ビタミンDは魚類やきのこ類に多く含まれています。秋はしいたけやまつたけなどのきのこ類、さんまや秋鮭などの魚類が旬を迎えます。食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。
ビタミンDに限らず、バランスの良い食事や適度な運動、規則正しい生活を送ることはとても大切です。
参考
X Zhou. Effect of Vitamin D Supplementation on In Vitro Fertilization Outcomes: A Trial Sequential Meta-Analysis of 5 Randomized Controlled Trials. Front Endocrinol (Lausanne). 2022.
厚生労働省HP「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書
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文責:培養部門
〔生殖医療専門医〕古井憲司