こんにちは培養部門です。

体外受精や顕微授精は卵子の質に注目されることが多いです。それは、卵子の方が年齢の上昇や体調、社会的要因に影響を受けやすいと考えられているからです。

しかしながら、卵子の質が良好でも精子の質が不良であると体外受精・顕微授精の成功率が低下する報告があります。

 

精子のDNA断片化率( 精子の遺伝子が損傷を受けている割合 )が30%を超えていると受精、良好胚、着床、妊娠の割合の大幅な低下が確認されました。

卵子は精子DNAの損傷を修復する能力を持っているのである程度の損傷であれば問題はないと言えますが、DNAの損傷度合いが大きいと卵子が持つDNAの修復能力の範囲を超えてしまい、受精やその後の成長に影響が現れてしまいます。

 

 

男性も女性と同様に採卵日に向けて体調を万全にする必要があります。

精子の質に影響する要因として、過度な飲酒、喫煙、過度なカフェイン摂取、肥満、運動不足が挙げられます。

また、精子は卵子とは異なり精巣で3カ月間かけて射精される精子に成長します。よって、射精される精子は3カ月前につくられ始めた精子です。生活習慣に不安がある場合は採卵の3カ月前から準備が必要です。

体外受精・顕微授精はパートナー双方の協力が必要不可欠であると言えます。

精子DNAの損傷は年齢の上昇や生活習慣によって増加します

 

当院では精子のDNA断片化率を軽減させる治療として、ザイモートスパームセパレーターとPICSIを先進医療として導入しています。

ぜひ、顕微授精を行っても良好な受精卵が得られない、妊娠されない場合は精子の質が低下している可能性も十分に考えられます。ぜひ、ご相談ください。

先進医療としてザイモートスパームセパレーターを導入いたします

PICSI:ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術について

 

参考:Daniela P et al. The effect of sperm DNA fragmentation on ICSI outcomes depending on oocyte quality. Andrology. 2023.

 

お知らせ

 

当院の初診について

当院の不妊外来を初めて受診される際にお電話での予約が必要な理由

 

当院は不妊治療に関わる先進医療を行なっております。

当院の不妊治療に関わる先進医療の種類と効果

 

大垣市在住のご夫婦を対象として、自費診療でAMH( 抗ミュラー管ホルモン )検査、精液検査を実施した場合に大垣市から助成金を受け取ることができる制度が開始されました。

当院で行うことができます。お電話にてご予約をお願い致します。

大垣市在住のご夫婦を対象に妊活検診費( AMH検査・精液検査 )が助成されます

 

当院はPGT-A実施施設として日本産科婦人科学会に承認されています。

PGT-Aを行うことによって、複数回の妊娠不成立や流産を繰り返す方に妊娠率の向上と流産率の低下が期待できます。

↓詳しくはこちらをご覧いただければ幸いです。

PGT-A( 染色体異数性検査 )の要件が変わりました

 

※PGT-A対象者の方で当院に胚盤胞を凍結保存している場合、採卵を行わずに保存してある胚盤胞を用いてPGT-Aをすることができます。

 

当院でPRP療法を行うことができます。

PRP療法とは再生医療の一つです。

様々な医療分野でPRP治療は行われており、不妊治療分野ではPRP療法を行うと子宮内膜が厚くなるという報告が専門の学会から報告されています。

子宮内膜が厚くなると、移植した胚の妊娠率、出産率が向上します。

 

先進医療、PGT-A、PRP療法をご希望の方、ご興味がある方は当院の不妊外来診察を受診ください。

 

文責:培養部門

 

 〔生殖医療専門医〕古井憲司